「日本人は預金好き」「アメリカ人は投資好き」は本当
「日本人は預金が好きで、アメリカ人は投資が好き」なんてよく言われますが、それって本当なのでしょうか?
統計データで見てみましょう。
日本銀行調査統計局が2018年8月14日に発表した、「資金循環の日米欧比較」という資料で示されていた図がこちらです。
【図表1】日米欧の家計の金融資産構成
出所:日本銀行
「日本人は預金好き」は事実でした。差は歴然です。
日本の家計では金融資産の半分以上が「現金・預金」となっていますが、米国ではわずかに13.1%。一方で、値動きが発生する(元本割れの可能性が少なからずある)「投資信託」と「株式等」の合計は、日本が15%程度なのに対し、米国では48%とほぼ半分を占めています。
おもしろいことに、ユーロ圏は預金も投信・株式も、日本と米国のほぼ中間の割合となっています。
なぜ日本人は投資をせず、アメリカ人は投資をするのか?
米国で投資が盛んな理由はいろいろありますが、ひとことでいうなら「投資する習慣が社会に広く根付いている」ということです。投資する習慣が根付くためには、「投資で成功した人が周りにいる」という環境が必要です。
ここで日経平均株価と、米国を代表する株価指数であるNYダウの推移を見てみましょう。
【図表2】日米の株価指数の比較(1988年12月~2018年11月、月次)
日経平均株価は、1980年代末のバブル崩壊で値崩れを起こし、2018年12月時点でも当時の水準に届いていません。
一方のNYダウは、過去30年間で10倍以上に上昇しました。もし1988年12月に、NYダウに連動するタイプの投資信託を1000ドルで買っていたら、今ではそれが1万ドル以上の価値になっているわけです。買った株が値上がりし、たくさんの配当を受け取っていい思いをした人たちが、友達や子どもにも株式投資を勧めている姿が想像できます。
日本はその逆で、株式投資でたくさんの人が損をしてしまったために、友達や子どもに「株には手を出すな」と戒めた人も多かったことでしょう。これでは投資する習慣なんてとても根付きません。
今は当時と違い、外国の株式に投資できる投資信託などを、身近な金融機関で誰でも気軽に買えるようになりました。もし1988年の日本人が今のように簡単に米国株式に投資できて、投資した人が実際にお金を増やせたとしたら、日本の家計における株式や投資信託の割合はいくらか高まっていたのかもしれません。