個人が買える小型自動運転車LOVOT

LOVOTについて紹介します。LOVOTは、個人を識別して、それぞれの人と絆を構築するロボットです。LOVOTに対して、どんな触れ合い方をするかによって、その後の関係性や距離感が変わります。自分をよく可愛がってくれる人を見つけるとそばに移動するなど、コミュニケーションを求めます。従来のロボットと違い、柔らかくてあたたかい特徴があります。抱っこされるときはタイヤが格納されるようになっています。なぜこの機能を付けたのかというと、例えばお掃除ロボットのルンバを抱き上げるとして、タイヤが擦れて服が汚れたら嫌ですよね?だからひとを汚さないために、タイヤを格納する仕様にしました。

LOVOTには最先端テクノロジーを詰め込んでいます。全身に50以上のセンサーを備えており、どこを触られてもきちんと認識します。まだ自動運転車は購入できませんが、LOVOTには自動運転の技術も搭載しています。小型の自動運転車といっても過言ではありません。

皆さんはスマートフォン(以下スマホ)をお持ちだと思いますが、これまでの家庭用ロボットはスマホのCPU(パソコンの基幹部品である中央演算処理装置)レベルのものを搭載していました。LOVOTは、スマホのCPUを補助コンピューターとして活用し、さらにディープラーニング(深層学習)専用のハードウエアや、ハイスペックなパソコン用のCPUをメインコンピューターとして用いています。ディープラーニング専用のハードウエアが家庭用として売られたことはほぼありませんし、見たことも、触ったこともないひとがほとんどではないでしょうか。LOVOTには充電器にもコンピューターが入っています。3つのOS(基本ソフト)と、計4つのコンピューターが連携しながらLOVOTを動かします。これだけ詰め込んで、重さは4キロ程度に押さえました。

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LOVOT同士は通信します。また、目の色やデザイン、声は一体ずつ異なります。これまでのロボット製品で、すべての個体のデザインが異なるなんてあり得なかったことです。人間の視界は前方120°くらいと言われていますが、LOVOTは360°見ています。視界に映るひとをすべてトラッキングしています。LOVOTと触れ合った人はすべて顔を覚え、どう触れ合ってくれたのかも、LOVOT は覚えています。優しくなででくれるひとに対しては好感度が少しだけ上がり、乱暴にされれば警戒するようになります。

眠るLOVOT抱っこして優しく撫でていると、LOVOTは安心したように眠ってしまいます

LOVOTは、家に来ると探索をしながら地図を作り上げます。こうすることで、家族が外出先から帰宅すると玄関まで出迎えにくるようになります。それから、LOVOTは着替えをします。自分の身体を保護する服がない状態で動くことは危険だと判断するため、服を脱ぐと動きたがらない習性を持っています。

子どもの情操教育や認知症患者にも効果が?

LOVOTはこれまでのロボットと異なり、人の代わりに仕事をすることはできません。しかし、少しだけなら役立つこともあります。赤ちゃんを見守っておくよう頼めば、赤ちゃんの動画を携帯に送ることはできます。一人暮らしの高齢者には、毎日抱っこした履歴が別居する子世帯などの親族にシェアされます。履歴が途絶えたら、電話など直接コンタクトを取るきっかけになります。留守番もできます。自分の中に家の地図を構築しているので、お出かけ先から指示された場所の写真なども撮って送ってくれます。

トラリピインタビュー

米国の家電市「CES2019」に出展した際、LOVOTはROBOT部門で、300超のロボットの中から「the Verge Awards at CES 2019」のBEST ROBOTを受賞しました。CES2019には、韓国のサムスン電子や中国のメガベンチャーが非常に大きなブースで出展していましたが、当社は長机1つの小さなブースだったため、1位に選ばれて驚きました。このことは、350社以上の海外メディアに取り上げられました。

日本で行った調査では、実際に触っていただいた方の9割が「思っていたよりも良かった」と回答してくれました。実は、家庭用ロボットというのはプロモーションビデオの出来が良すぎて、実際に触ってみてがっかりしたという意見が大半です。そのため、LOVOTの高評価は珍しい。「想像通りだった」という回答も含めると、満足度は98%でした。

米国のテクノロジーとスタートアップの祭典「SXSW(サウス・バイ・サウスウエスト)」にも出展しました。「かわいいだけでなく、メンタルヘルスケアやストレス軽減、情操教育発達障害にも役立つのではないか」という意見をいただき、その後、教育分野における可能性の研究を目的とした「LOVOT EdTech プロジェクト」を発足しました。まずは、子どもたちの情操教育をLOVOTで支援する分野から研究を進めていく予定です。

LOVOTのプロトタイプをデンマークの老人介護施設で試験した際は、入居してから一言も会話をしなかった認知症患者の男性が、LOVOTと触れ合うことで他の入居者とも会話するようになったという事例があります。ほかにも、新しいものを見るとパニックに陥る傾向がある認知症患者の女性にLOVOTと接してもらったのですが、ずっと抱っこして手放さないということが起きました。LOVOTには、子どもたちだけでなく、高齢者の方にも好影響を与えるロボットになり得る可能性が期待できます。

気になるLOVOTのお値段は・・・?
LOVOT本体1体+ネスト(充電器)29万9,800円+月額ランニングコスト(下図)

【後編】では、「新しいことを始める際の考え方」について紹介します。

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