「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回も前回に引き続いて、「分散投資」の肝となる「偏らない投資」について掘り下げていきます。
前稿では筆者のスイーツに偏った食生活を紹介しつつ、「食事も投資もバランス良く」が大切である旨を述べ、投資においては「4つの偏らない」を提唱してみました。
本稿では、この「4つの偏らない」をもう少し掘り下げて考えてみたいと思います。
前稿で紹介した「4つの偏らない」とは、以下の4つでした。
今回は、「①特定の国に偏らない」について詳しく考えていくことにしましょう。
和食ならヘルシー! でもね……
突然ですが、読者の皆さん、ランチによく行くお店は和・洋・中華、それともイタリアンのいずれですか?(スイーツの次はランチがテーマか、と飽きれないでくださいな)
最近は中華やイタリアンが人気らしいと聞くことがありますが、筆者はだんぜん和食です。
中華やイタリアンもいいですが、やはりこういう食事がいちばん安心します
和食というと「ヘルシー」というイメージがあるかもしれません。しかし「和食はたんぱく質がイマイチ心許ない」とおっしゃる方もいるでしょう。日本は世界的に見ても長寿の国ですが、和食中心の食生活に肉や乳製品を適度に加えれば、さらに栄養のバランスが良くなり、より長生きできるようになるかもしれません。
やはり、日々の食事は和食に偏りすぎない方が良いかもしれませんね。
例えば日本のほかに、どこの国に投資をするのか?
ところ読者の皆さまは筆者とは大いに異なり真面目な方だと思いますので、
「私たちは日本に住み、日本で働いている。だから、日本への貢献という意味も込めて日本への投資は欠かせない」
とおっしゃる方も多いことでしょう。
では「日本だけに偏った投資」をしない、バランスの良い投資をするために、日本とあわせて、どこの国に投資をしましょうか?
ところで、例によって、また話題をお食事に移します。老若を問わず、カレーライスって人気があるみたいですね。カレーライスといえば、発祥はインドでしょうかね。
ということで、「日本以外の投資先」としても、インドは検討の対象になるのでしょうか?
(バナナが好きな方ならフィリピンとか?)
カレーライスはもはや「国民食」と呼べるほど日本人に人気ですが……
さて、カレーライスで選んだインドは、そもそも投資先として検討に値するのでしょうか?
下記の表をご覧ください。
少子高齢化が今後も続く日本とは異なり、インドは人口が今後も増え続けますし、2027年にはインドの人口は中国のそれを上回り、世界一の人口を持つ国になるとも言われていますね。
経済の伸びも、日本のそれとは比較にならないくらいの数字になっています。人口が増えれば、労働力と消費者が増え、内需の拡大が見込まれます。
日本にはなかった食材を私たちにもたらしてくれたカレーライスだけでなく、インド経済の将来性は日本経済の弱みを補ってくれそうなイメージですね。「なら、日本のほかは、インドへの投資だけで十分」と考える方もいらっしゃるかもしれません。
2050年までに人口増加が 見込まれる国(増加順) |
2018年の GDPの伸び |
---|---|
インド | 6.8% |
ナイジェリア | 1.9% |
パキスタン | 5.5% |
コンゴ民主共和国 | 5.8% |
エチオピア | 7.7% |
タンザニア | 6.9% |
インドネシア | 5.2% |
エジプト | 5.3% |
米国 | 2.9% |
日本 | 0.8% |
出所:IMF
ところで、和食とカレーライスの組み合わせは、バランスの良い食生活なんでしょうかね?
日本とインドの2か国を組み合わせて投資するのは「バランスの良い投資」と言えるのでしょうか?
12月16日の新聞には「インド首都、移民関連新法巡る抗議活動で100人余りが負傷(朝日新聞)」という見出しとともに、バスが炎に包まれる写真が載っています。東京では、政府への抗議活動でバスが燃えるなんてことは、とても起こりそうにありません。
こうしたインドの暴動が、インドの経済の伸びに影響を与えるのか、インドの株価を引き下げることになるのか、なんとも言えません。ただ、このように外国では日本では想像し得ないような出来事が起きたりするものなのですね。日本以外の投資先をインドだけに絞ってしまうのは、ちょっぴり不安じゃないでしょうか?