高成長を続けるアメリカの株式市場。過去に一時的に落ち込む局面はあったものの、長期的には安定成長を続けています。成長の恩恵を受けたいと考える投資家であれば、つみたてNISAの投資先もアメリカ株100%にすることを考えるかもしれませんが、投資先を株式に絞るリスクも知っておきたいところです。

時々値下がりしながら、確実に成長してきたアメリカ株

アメリカ株式市場の過去30年の動向を見ると、基本的に右肩上がりで成長を続けています。もちろんITバブルやリーマン・ショック、ブレグジット(英国のEU離脱)、コロナショックなど短期的には大幅に値を下げることもありましたが、下落後は必ず成長を続けてきたのが特徴です(図表1)。

多くの投資家が、アメリカ株は今後も成長を続けるという強い信頼感を抱いているため、アメリカ株は価格下落局面が「安く買える絶好の買い時」とも考えられているふしがあります。

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【図表】NYダウと日経平均株価の推移
NYダウと日経平均株価の推移
月足、終値。上昇率および年率は1985年1月末と2021年3月末との比較

上の図からもわかるように、いまだに史上最高値を更新できない日本株とは対照的に、一時的に落ち込むことはあっても安定的な成長を続けてきたアメリカ株は、投資信託などの積立投資にも向いているとされています。

アメリカ株に投資するインデックスファンドを活用

つみたてNISAで投資できるのは金融庁が認可した投資信託に限られます。つみたてNISAを使ってアメリカ株に投資するには、アメリカの株価指数に連動するインデックスファンドを購入することになります。

先ほども説明した通り、時々値下がりしながら成長を続けてきたアメリカ株は積立投資に向いているといえます。対象商品が限定的なつみたてNISAでも、アメリカ株に投資できるインデックスファンドの選択肢は複数あります。アメリカの株価指数といえばNYダウを想像する人も多いと思いますが、実は現時点において、NYダウに連動するインデックスファンドはありません。

よって、アメリカではNYダウと並ぶ代表的な株価指数である「S&P500指数」に連動したインデックスファンドから、つみたてNISA口座がある金融機関で取り扱っているファンドを選ぶとよいでしょう。

アメリカ株100%か、先進国株か、バランスファンドか?

ニューヨーク
今まで着実に成長を続けてきた米国株

ところで、つみたてNISAのポートフォリオ(資産配分)はどんなバランスが理想的なのでしょうか。これは投資家によって意見が分かれるところです。

アメリカ株の強さを信じる人は、高成長で信頼度の高いアメリカ株100%でよいと言い切る人もいます。しかし、アメリカ株の強さは評価しながらも、さすがにアメリカ株だけでは心配だからと、アメリカ以外の先進国株式の組み入れをすすめる人や、成長率は落ちるものの急な値下がりのリスクが少ないとの理由で、債券などを含むバランスファンドをすすめる人がいるのも事実です。

投資信託のメリットは、世界の株式や債券など幅広い資産へ手軽に投資できるため、リスクを分散して安定的な成長を得やすい点でしょう。できるだけリスクを分散して値動きを安定させたいと考えるなら、アメリカ株100%のポートフォリオは向いていないともいえます。

アメリカ経済の強さを信じて、一時的な値下がりも気にしないのであれば、つみたてNISAはアメリカ株100%でも問題はありません。しかし、いつでも換金できるように値下がりを抑えながら、資産を安定的に増やすためのつみたてNISAと思うならば、アメリカ株だけではなくほかの先進国株や債券などにも投資したり、バランスファンドを選んだりするなど、リスク分散の方法についても考えたいところです。

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