自分や家族の一大事に備えて、保険に加入している人は多いでしょう。しかし、もしものことが起きた後に受け取る保険金には、税金がかかるかもしれないことをご存知ですか? 保険金の種類や受け取り方によっても異なりますので、今回はどの保険金でどんな税金がかかるか、概要を見てみましょう。

  • 保険金は保険の種類や受取人、受け取り方などによって税金の種類が変わる
  • 契約者と受取人が同じなら所得税、契約者・被保険者・受取人が異なれば贈与税など
  • 身体の傷害や、突発的な事故などで損害を受けた場合には税金がかからない

保険金の種類や受取人が誰かによってかかる税金が変わる

税金がかかる保険金には、以下のようなものが挙げられます。

【税金のかかる保険金・給付金の例】

・死亡保険金
・満期保険金
・個人年金保険金
・健康祝金(生存給付金)
・解約返戻金
……など

さらに、受け取り方、保険の契約者・被保険者・受取人の関係性などによって、かかる税金の種類が変わります。夫と妻、子ども1人の場合で見ると、次のようになります。

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■保険金と税金の種類の違い
保険金の種類 契約者 被保険者 受取人 税金の種類
死亡保険金 相続税
所得税
贈与税
満期保険金 所得税
贈与税

契約者と被保険者が同一かつ受取人が法定相続人の場合には相続税、契約者と受取人が同一の場合には所得税、契約者・被保険者・受取人がすべて異なる場合には贈与税がかかります。

入院や手術で受け取る給付金や事故での損害保険金には税金がかからない

ここまでは税金のかかる保険のお金を説明してきましたが、税金がかからないお金もあります。税金のかからない保険金・給付金は、主に以下のようなものがあります。

■税金のかからない保険金・給付金の例
生命保険 損害保険
・入院給付金
・手術給付金
・通院給付金
・がん給付金
・がん診断一時金
・就業不能給付金
・先進医療給付金
・介護保険金
・リビング・ニーズ特約保険金
……など
・対人賠償保険金
・対物賠償保険金
・人身傷害保険金
・搭乗者傷害保険金
・無保険車傷害保険金
・自損事故保険金
・車両保険金
・火災保険金
・傷害保険金
……など

※保険会社によって保険金・給付金の名称が異なる場合もあります

何故これらのお金に税金がかからないかというと、所得税法(所得税法施行令第三十条 非課税とされる保険金、損害賠償金等)に基づきます。
この法令では、身体の傷害や、突発的な事故などで損害を受けたことなどを理由に支払われたお金については、税金がかからないとされています。

病気やケガで入院をして大きなお金が必要になって、給付金を受け取れて安心したところに税金の負担がかかってきて……ということはありませんので、安心してくださいね。

トラリピインタビュー

税金が掛からない保険金
身体の傷害や、突発的な事故などで損害を受けたことなどを理由に支払われたお金については、税金がかからない

税金の種類を意識した受取人の設定を

先に書いたように、死亡保険の場合は受取人の設定によってかかる税金の種類が変更されます。その税金の種類によって、受け取った金額のどこまでが非課税になるかも異なります。

たとえば相続税の場合、500万円×法定相続人の数までが非課税となっています。妻と子ども1人のいる夫が亡くなり、死亡保険からの保険金を妻が受け取った場合、500万円×2人=1,000万円までが非課税となり、それ以上の金額を受け取っていた場合はその金額部分は課税対象になります。

所得税の場合、受け取った保険金の総額から払込済みの保険料と特別控除額の50万円を差し引き、さらに2分の1にした金額が課税の対象です。保険金1,000万円の保険に加入をして、払込済みの保険料が150万円の場合、(1,000万円-150万円-50万円)÷2=400万円が課税対象、600万円が非課税になります。

贈与税では、基礎控除額が110万円と決まっており、保険金1,000万円であればそこから110万円を引いた890万円が課税対象になります。

受取人が誰かによって税金の負担も大きく変わる可能性がありますので、その点も考慮して受取人を設定するのが望ましいでしょう。

もしもの時の家族の生活のため、あるいは老後の生活のためにせっかく保険に入ったのに、後から税金がかかることに気付いて、予想より受け取り額が減ってしまってはもったいなく感じるでしょう。慌てることのないように、しっかりと準備をしておくことが大切です。

※ここでは制度の概要をご説明しています。詳しい情報は国税庁のウェブサイトなどをご確認ください。
※ページ内で挙げている金額はあくまで一例です。個別のケースについては保険会社や所轄の税務署にご相談ください。

<参考URL>
国税庁「保険と税」
国税庁「No.1750 死亡保険金を受け取ったとき」
国税庁「No.1755 生命保険契約に係る満期保険金等を受け取ったとき」
国税庁「No.4114 相続税の課税対象になる死亡保険金」
国税庁「No.4402 贈与税がかかる場合」
生命保険文化センター「入院給付金などには税金がかからない?」
損害保険Q&A「解説 ①保険金と税金の関係」

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