私事ですが、2020年10月に次男が生まれ、1カ月育児休業を取得しました。まだ一般的とは言いにくい男性の育休。「取りたいけど言い出しにくい…」「手続きってどうするの?」「お金は大丈夫なの?」など、気になっている方は多いのではないでしょうか。本記事では、私なりに体験して感じたことを紹介します。

夫婦の話し合いで1カ月の育児休業を決める

4歳の長男と生まれたばかりの次男
家族が1人、増えました

「今回は育休を取ってほしい」

妻の希望をきっかけに夫婦で話し合い、育休を取ることは早い段階で決めていました。もっとも大きな理由は、長男の存在です。家族構成は私(36歳)、妻(32歳)、長男(4歳)、次男の4人。現在は妻の実家に住んでいますが、義父母ともに働いており、平日の日中は手伝ってもらえません。1人だけでもものすごく大変だったのに、今度はそこに遊び盛りの4歳児が加わるわけです。

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もし私が仕事に出れば、妻は2~3時間おきの授乳でまともに眠れないまま朝を迎え、長男の面倒を見つつ、家事もこなし…と想像するだけで倒れそうな毎日を過ごすことになります。しかも長男は幼稚園の送り迎えもあり、新生児のお世話と両立することはとてもできません。「今回は育休を」というのは自然の流れでした。

一方で、気になるのはお金のことです。家族が増えると当然支出も増えますが、育休中は無給になります。育児休業給付金をもらえるとはいえ、給料の67%(6カ月以降は50%)ですから、あまり長期間休むのは現実的ではありません。そこで、「産後の痛みや疲労が回復するまでの1カ月」ということで、会社に申し出ることにしました。

会社に相談、1カ月の育休が現実に

出産予定から2カ月前の8月中旬、上司のしらこしらおさんと社長に相談しました。

それまで社内の男性で育休を取った人はいなかったため、どういう反応が返ってくるか読めません。少人数のチームで1人が抜ける大変さは自分でも分かっていますので、申し訳ない気持ちもありました。

「ダメ」と言われることはないだろうとは思いましたが、2人はためらうそぶりも一切見せず、「制度として設けているので使ってもらってもちろん構わない」(社長)、「みんなで分担すれば何とかなるよ、大丈夫だよ」(しらこしらおさん)と快諾してくれました。前向きな言葉に安心すると同時に、このとき初めて「本当に1カ月休むんだ」と現実のこととして育休を認識した気がしました。

会社に育休相談

社外の皆さんから温かい励まし

そこからしばらくは通常通り仕事を続けました。出産日が近づくのに伴い、少しずつ仕事を調整していきます。9月頃からは、仕事で付き合いのある方たちにも1カ月不在にする旨を伝えていきました。

とてもありがたかったのは、皆さん一様に好意的に受け入れてくださり、温かいメッセージをいただいたことです。その一部を紹介させていただきます。

「育休ですか、おめでとうございます!それは素敵なことですね。頑張ってくださいね」
「お忙しいところ嬉しいご連絡をありがとうございました。よかったですね!母子ともにご健康であることを引き続きお祈りしております」
「育休を取られるのですね。時世にかなった素晴らしい事ですね。我々としては困りますが(笑)。しばしご家庭に注力して頂き、引き続き宜しくお願いいたします」

引継ぎはもちろんするものの、普段やり取りしている私がいなくなると不便なことも多いと思います。それにもかかわらず、このようなお言葉をいただけたことが嬉しかったです。「良い方たちと仕事をさせてもらっている」と改めて実感するとともに、「復帰したらこの感謝を仕事で返そう」と思いました。

後ろめたさ、心苦しさはある

社内の負担を増やしてしまう後ろめたさ、心苦しさは休んでいる間もずっとありました。私が所属するコンテンツ部の業務は、MonJaの取材・執筆に加え、広告やパンフレットの制作、外部ライターとのやり取り、新規企画の立案など、多岐にわたります。常に複数の案件が同時に進み、どれかが落ち着く頃にはまた別の案件が始まるという感じで、感覚的には「1年中ずっと忙しい」。余裕のある人が1人もいないなかで1カ月も休むのですから、大きな負担をかけたことは間違いありません。

実際、不在中の仕事は相当あったはずです。それをチームのしらこしらおさん、MonJa編集長まわたさんの3人で分担してもらいました。いまでも感謝の気持ちでいっぱいです。

就業規則に定められている育休は“権利”であるものの、それを使うには周りの方の理解と協力が欠かせません。幸いにも私は人に恵まれ、権利を行使することができましたが、「取りたいけれど厳しいだろう」と最初から諦めてしまう人もいるでしょう。私をきっかけに社内で育休を取りやすい雰囲気になればいいと思いますし、実際に取ろうとする人がいれば私も喜んで協力します。そうしたサイクルが繰り返されることで、希望する人が当然に使える権利として定着していくのかもしれません。

今回は育休に入る前までの出来事を中心に紹介しました。次回は育休に必要な手続き、育休中の生活などについて書きたいと思います。

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