一般NISAの投資可能期間は2023年12月末までで、5か月を切りました。2024年1月からは一般NISAとつみたてNISAに代わって新しいNISAがスタートしますが、今回は「これから始める一般NISA」というテーマで、一般NISAの活用法について見ていきます。
- 一般NISAは非課税期間が最長5年間だが、新しいNISAより投資対象が豊富
- 信託期間が短いテーマ型の投資信託も、一般NISAなら活用できる
- 一般NISAでは約4年の間に値上がりが期待できる投資信託や株式を選びたい
一般NISAの特徴
一般NISAの主な特徴は、以下の3点です。
- 非課税期間が最長5年間
- 非課税投資枠は年間120万円
- つみたてNISAや新しいNISA(成長投資枠)に比べ投資対象が豊富
1. 非課税期間が最長5年間
一般NISAの非課税期間は最長5年間なので、2023年~2027年末まで配当金および譲渡益が非課税で運用ができます(ただし、2024年以降は売却のみが可能で、新規購入はできません)。
2. 非課税投資枠は年間最大120万円
2023年に一般NISAで投資を始めた場合、年間投資枠120万円がMAXの投資元本になります。
3. 投資対象が豊富
一般NISAの投資対象となる金融商品は、
- 株式投資信託
- 国内株、国内ETF、国内REIT(J-REIT)
- ETN(上場投資証券)
- 外国株、海外ETF、海外REIT
- 新株予約権付社債(ワラント債)
と豊富です。
また、以下のような新しいNISAの成長投資枠にあるような制限がありません。
成長投資枠で対象商品から除外される主な基準
- 信託期間20年未満の投資信託
- 毎月分配型の投資信託
- デリバティブ取引を用いた一定の投資信託
- 整理・管理銘柄の上場株式
※最近、新しいNISAの成長投資枠の投資対象商品になる目的で、信託期限を延長するテーマ型の投資信託などや、分配頻度を毎月から隔月など約款で変更する投資信託が見受けられます。
逆に、一般NISAで投資対象とならない金融商品は、非上場株式、預貯金、債券、公社債投資信託、MMF、MRF、eワラント、上場株価指数先物、FX(外国為替証拠金取引)、金・プラチナなどです。
一般NISAのメリット・デメリット
一般NISAのメリットとデメリットは下記の通りです。
一般NISAのメリット
上の特徴3にあるように、投資対象が豊富な点です。
新しいNISAの成長投資枠のように、信託期間や分配金頻度などの制約がないので、信託期間が短い(数年で自動的に売却されることもある)AIやロボット、バイオといったテーマ型の投資信託などにも投資することが可能です。
また、つみたてNISAのように投資を複数回に分ける必要がなく、1回で120万円投資できることもメリットです。
一般NISAのデメリット
一般NISAのデメリットは、非課税期間が2027年末までと短い点です。
一般NISAは、新しいNISAの成長投資枠へのロールオーバー(保有する金融商品の移行)ができないこともあり、この間(2027年末まで)に値上がりをしていないと、非課税のメリット(譲渡益に関して)を享受できません。
また、非課税期間が終わる2027年末時点で、保有する投資信託などが投資した時点の価額(元本)よりも下落した場合で、課税口座(特定口座または一般口座)に移管すると、2027年末の価額が新しい元本になります。損失が出ているのに税金を支払うケースもありうるので、注意が必要です。
これから一般NISAを始めるにあたって
これから一般NISAの口座を開設した場合、上で見てきたように、投資可能期間は約4カ月、運用期間は2027年12月末までの4年ちょっとです。非課税のメリットを生かすには、2027年12月までの間に値上がりが期待できる投資信託や株式での運用を考える必要があります。
投資可能期間と運用期間の面から、新しいNISAで提唱されている「長期」「分散」「積立」といった投資方法のうち、「長期」と「積立」を実行することは難しくなります。また、「分散」に関しては、投資信託を利用すれば銘柄の分散は可能ですが、時間分散(複数回に分けて投資すること)は諦めなければなりません。
そのような条件のもとに一般NISAの運用先を考えると、先程挙げたAIやロボット、バイオなど成長が期待できる分野を投資対象とした投資信託が、選択肢の1つとなるかと思われます。
ただし、成長分野は期待先行で株価が上昇している銘柄も多いため、1つの成長分野に一括投資するのではなく、複数の成長分野に分散投資してリスク軽減を図る必要はあります。
以上、新しいNISA(生涯投資枠1800万円)とは別枠で利用できる、一般NISAの特徴と活用法について見てきました。これから、一般NISAへの投資を考えている方の参考にしていただければ幸いです。