株式投資に対して「一攫千金のギャンブル」「素人は手を出さない方がいい」というイメージが今も残る一方で、若い世代で投資や資産運用を始める人が増えています。投資初心者の女性を対象とする株式投資スクール「未来デザイン・資産運用アカデミー ハナミラ」を主宰する松下りせさんは、株式投資を「推しを愛すること」ととらえて、その楽しさを伝える活動をしています。会社を「推す」とはどういうことか、どんな基準で「推し」を選べばいいのか、松下さんにお話をうかがいました。

松下りせさん

株式会社ハナミラ 代表取締役CEO
松下りせさん
1990年生まれ、慶應義塾大学文学部卒。好きな仕事をする中で、お金やキャリアについて悩みを抱え、将来の不安を解消すべく株式投資をスタート。「自分の人生が好きになり、未来が楽しみになる女性を増やしたい」と、2020年3月より女性に株式投資を教え始める。最愛の“推し”銘柄を見つけるという独自の投資方法を実践すると、投資初心者でも、月に100万円の利益を出したり、資産を10倍にしたりする女性が続出。現在は、女性向けの株式投資スクール「未来デザイン×資産運用アカデミー ハナミラ」を主宰。

株式投資は最初のハードルだけが高かった

「ハナミラ」は、どのようなコミュニティなのでしょうか?

松下さん 女性向けに、株式投資や資産運用を学ぶスクールを運営しています。今では年間200~300人の方が参加してくださって、受講後に参加できるコミュニティには250名くらいの女性が在籍しています。

資産運用なので「お金を増やすこと」はもちろん大事ですが、ただお金を増やすだけでなく、「自分がいいと思った企業に投資できる」ことを大切にしています。いい企業に投資をして、企業が発展したら社会が良くなる、そんな思いを伝えられればと考えています。

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いい企業に投資をしようとする人が増えれば社会は良くなるので、そんな投資家の方が増えるといいですよね。一方で株式投資というと、今もネガティブなイメージを持っている方もいます。松下さんはどうだったのでしょうか?

松下さん 私も以前は、お金とは仕事の対価であって、「お金のために投資をがんばる」というのは違うのかなと思っていました。そんな考えが変わったのは、転職したときでした。転職のときはやりがいを重視して、実際に好きな仕事に就くことができたのですが、お給料は下がってしまいました。

当時の会社では、私は26歳でいちばん年下でした。私と同じ頃に転職してきた方が8つ年上の34歳で、その方は奥さんと子どももいたのですが、「給料が下がって、会社の稼ぎだけではやっていけないから」と、株式投資を始めたんです。

身近な先輩がそう言うなら、私も投資をした方がいいのかなと思って。性格的に素直なところがあるので、その日のうちに証券会社の窓口へ行って口座を開いたことが、株式投資の始まりでした。

仲のいい人や、同じ会社の人が投資をしているというのが、「自分もやってみよう」という入り口としては、いちばん入りやすいですよね。実際に投資を始めてみて、これまで投資に対して抱いていたイメージが変わったところはありますか?

松下さん 投資といえば、株で大金持ちになったとか、いくら損したとか、そういうギャンブルみたいなイメージが昔はありました。

私が最初に買った株のひとつは、誰でも知ってるような大企業でした。買ったら、その株が一気に上がったんですね。今思えばビギナーズラックでした。そしてもうひとつ買った株は、少しプラスにはなったけど、株価はあまり動かなくて。それを見て、株で極端に得をしたり損をしたりするのは、実はレアケースなんだなって思いました。

実際に株を買ってみたら、最初にイメージしていたような恐怖心はそんなに感じなくて、最初のハードルだけが高かったという印象でした。

投資に成功した人は、会社を好意的に見ていた

著書『知識ゼロからの女子株』では、株式投資をアイドルなどの「推し」になぞらえています。私も女性アイドルを応援していた時期があったのでわかるのですが、推しのことは「もっと知りたい」と思うもので、そういう心理を株式投資に応用する考え方はとても共感できました。この「推し」という概念を投資にあてはめたのは、どういったきっかけだったのでしょうか。

松下さん スクールを受講してくださった方のおかげです。投資がうまくいっている受講生の方たちに、どんなことを考えながら銘柄を選んだりしているのか聞いてみたら、共通点として、みんな会社を好意的に見ていて、会社を探したり調べたりするのを楽しそうにしていました。

松下りせさん

株主総会の動画を見て「今日も○○はがんばってるな」みたいな感覚になるのは、アイドルなどの「推し活」との共通点が多いことに私も気付きました。株主総会へ行くと、会社の社長と会えたり、なんなら会話もできたりして、それもひとつの推し活であり、投資する人にとっては楽しいイベントになると思います。

確かに株主総会って、アイドルで言えば「現場」ですよね。

松下さん 会社の社長=推しと話せる機会は、普段はほとんどありませんが、株主総会ではそれがリアルでできますし、社長の声を生で聞いて「今日もいいこと言ってるな」「業績も上がったし、やっぱりいい会社だな」と実感できると、株主としてうれしい気持ちになれると思います。

ファンが推しのSNSを見に行くように、投資する人がIR情報(投資家向けの情報)などを自分で調べて、それを投資判断に生かすという流れもできそうですね。

松下さん そうです。やっぱりIRをたくさん出してくれる会社はありがたいなって思います。ファンとしても、情報発信に積極的な、“動きがある会社”の方が推しがいがあると思います。

「推し」を損切りするための3つの心構え

一方で、たとえ「推し」であっても、業績が悪くなったら損切りする判断を下す場面も出てきます。損切りは、経験を積んだ投資家でも難しいことです。「推しとともに過ごした過去の自分」を否定するのは苦しいことだと思います。どんな心構えが必要だと思いますか?

松下さん 3つあると思います。1つ目は、最初に損切りする条件を決めておくことです。私はスクールやコミュニティで、株を買うときには「推す理由」をノートに書き留めておくことを推奨しています。迷った時にノートを見返すんです。会社の方針が変わるなどして「推す理由」が成り立たなくなったと思えば、撤退を検討すべき時だと思います。

買ってから出口を決める方は多いですが、できれば買う前の段階で、「どうなったら売らなければならないか」を決めておくといいと思います。最初から出口を想定できていれば、それは「不測の事態」ではなくなります。

2つ目はマインドの話になるのですが、「残るものに目を向ける」ことです。例えば10万円を投資して、株価が下がって9万円になったとします。今損切りをすれば9万円残りますが、このまま持ち続ければ8万、7万とさらに含み損が増えるかもしれない。9万円残っているときに売って、また次の銘柄を探せば、少しがんばれば10万円に回復できます。でも、損切りの判断が遅くなるほど回復が難しくなり、次の推し活がやりにくくなってしまいます。

3つ目は「トータルで見る」という感覚です。1回の失敗を恐れてしまうと、なかなか投資に踏み出しにくいものですが、世の中に百発百中の投資家は存在しません。たとえ何回か失敗したとしても、推しのうち1人が大きく育って、それでトータルでプラスになればいいのです。1回の失敗、1回の損切りを気にしすぎないことが大切だと思います。

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