700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家、そして彼らと関わる様々な業界人たち・・・と書き手のバトンは次々に連なっていきます。ヒット番組やバズるコンテツを産み出すのは、売れっ子から業界の裏を知り尽くす重鎮、そして目覚ましい活躍をみせる若手まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜くユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第174回は、ラジオ番組「JA全農COUNTDOWN JAPAN」、YouTube「やかんとアイドル」を手がける、放送作家のサービスカード高柳さん。
いま、1番アツいアイドルは東北にいる!
はじめまして。サービスカード高柳と申します。1997年~2005年にかけて、オールナイトニッポンやJUNKなどの深夜ラジオに投稿していた、いわゆる「ハガキ職人」でした。現在はラジオや配信番組を中心に放送作家をしております。
さて、学生時代からアイドルを追いかけてきた私が、
いま1番アツいと感じているグループが【いぎなり東北産】です。
「いきなり」ではなく、「いぎなり」です。
「いぎなり」は、宮城の方言で「とても、すごく」という意味があります。
この【いぎなり東北産】は、その名の通り東北に住むメンバーで結成した9人組で、
ももいろクローバーZと同じスターダストプロモーションに所属しています。
そんな彼女たちの最新アルバム『東北産万博』に収録されている傑作が…
『東京アレルギー』という曲です。
「高けぇよ、恵比寿の駐車場。田舎のコンビニの広さ見習え」
「新宿駅から徒歩5分は信用するな、ダメ絶対」など、
東北に限らず地方出身者なら誰でも感じる東京へのコンプレックスを痛快に歌い上げています。
……と、コレだけ読むとコミックソングだと思われるかもしれませんが、
じつは最後まで聴くと、自分達とファンの夢である日本武道館での
ワンマンライブへの想いがこもった、魂のメッセージソングになっています。
私の中で変わったこと
- ① 彼女たちのホーム・仙台へ定期的に行くようになった。「思ったよりも近い!」
- ② 仙台に通い慣れると、今度は岩手や秋田も近く感じるようになる。
- ③ 旅の楽しさに目覚め、関西や九州にも足を運ぶようになる。
- ④ 出不精だった自分が、初めての土地で見る初めての景色に感動する。
- ⑤ 地方グルメは東京でも食べられるけど、やはりその土地で食べるのは格別!
- ⑥ もらう一方だったお土産を、買って帰ることも楽しくなる。
- ⑦ まだ行っていない地方にも足を運びたくなる。
- ⑧ ライブや遠征のために、普段は堅実にお金を使おうと意識が変わる。
- ⑨ このコラムを通じて、いぎなり東北産と地方の魅力を伝えようと決意する。
彼女たちのおかげで、すっかり旅の魅力にハマった私。じつはこの文章も、
いぎなり東北産の岩手公演(5月6日、岩手県民会館)の会場前で書いています。
これほどまでに私が沼っている【いぎなり東北産】の魅力を、
最後に1つ挙げるとするなら……それは「本気」であること。
同じスターダストプロモーションに所属するグループが一堂に会し、
さまざまな競技で戦って優勝グループを決める「スタプラアイドルフェス」では、
熱血指導をしたマネージャーが骨折するほど本気で取り組んだ結果、見事優勝!
その一方、2023年にパシフィコ横浜で行ったライブでは、
圧倒的なパフォーマンスを披露しながら、8割ほどの入りだった会場で
「満員に出来なかった」と涙を流しました。8割も埋まっていれば「大成功!」「次なる目標へ!」という見出しが躍ってもおかしくない中、
「本気でいること」をあきらめない彼女たちは、2024年末に再びパシフィコ横浜でリベンジ公演を行います。
もちろん、私もパシフィコ横浜でペンライトを振って、喜びの涙を流しに行く予定です!
あっ!そうこうしているうちに、岩手公演の開演のアナウンスが聴こえてきました。
彼女たちの夢が次こそ叶うことを願って、このコラムを締めさせていただきます。ありがとうございました!!!!!!!!!
次回は鈴木収春さんへ、バトンタッチ!
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。