株式投資をしている投資家が最も恐れるものが市場の大暴落です。過去に証券市場では大暴落が起きたことが何度かあります。過去の大暴落の様子を知ることは、今後投資をするうえで参考になるでしょう。当記事では過去の大暴落について、その背景とその後の影響について解説します。

  • 1929年のウォール街大暴落では、その後ピーク時から80%を超える下落
  • 1987年のブラックマンデーでは、自動売買の機能が下落を加速させた
  • リーマン・ショック後の株価は長期低迷、コロナショック後はいち早く回復

1929年 ウォール街大暴落

ウォール街大暴落は金融の歴史上最も有名な大暴落で、大暴落の初日だった1929年10月24日が木曜日であったことから暗黒の木曜日とも呼ばれています。その後、週明け以降も継続して株価が下がり続けました。ウォール街大暴落の影響は世界に広がって「世界恐慌」を引き起こす要因となり、ヨーロッパや日本も長く不況に苦しむことになりました。

1929年のアメリカは、大暴落が起きる前は好景気でした。第一次世界大戦で疲弊したヨーロッパ各国にとって代わる形で、アメリカは繁栄していました。アメリカは戦争によって生産能力が衰えたヨーロッパに代わり大量生産で経済成長を続けますが、ヨーロッパの生産能力が回復するにつれて需給のバランスが崩れていきます。

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しかしその頃、株式投資はアメリカ市民にも浸透しており、特に電話が普及したことによって株式取引に参加する大衆が増えたのです。株式の知識に乏しい大衆は「株式は永遠に上昇し続けるはずだ」と過度に楽観し、先物取引などお金を借りてまで投資をする人も増えていました。

1929年の高値から1932年にかけて株価は下がり続け、一時はピーク時の80%を超える下落。しかし、その後ルーズベルト大統領のニューディール政策などによって景気は回復し、株価も徐々に回復していきました。

1987年 ブラックマンデー

ブラックマンデーは1987年に起こった株価の大暴落です。1987年10月19日月曜日に大暴落が起こったことからブラックマンデーと呼ばれています。ブラックマンデーの始まりは香港市場からでした。香港市場が大暴落したことを受けて、欧州、米国、日本と株価の暴落が連鎖していきました。

1日だけで米国の主要株価指数であるNYダウは22.6%下落。日経平均株価も14.9%下落しました。ブラックマンデーの後、日本ではいち早く株価が上昇に転じて、その後のバブル経済へと続いていきます。

下落を加速させた原因のひとつが、当時急激に普及した自動売買の機能だとされています。自動売買には相場下落時に自動で売却する機能があり、この自動売買の機能によって売りが売りを呼ぶ大暴落につながったといわれています。


1987年10月19日の1日の取引でNYダウは508ドル(22.6%)下落。各国で同時株安に陥った

2008年 リーマン・ショック

2008年9月15日に発生したリーマン・ショックは、アメリカの大手投資銀行であるリーマン・ブラザーズの経営破綻を機に、世界的に株価の暴落を引き起こしたことを指します。

リーマン・ブラザーズが破綻した原因のひとつはアメリカの住宅バブルの崩壊です。当時のアメリカでは「サブプライムローン」と呼ばれる、信用力の低い人への融資が頻繁に行われていました。信用力が低い、つまり貸したお金が返ってこない可能性が高い人にお金を貸しても、不動産の価値が下がらなければ、不動産を売却して貸したお金を回収できます。しかし、不動産バブルの崩壊によって、不動産の価値が下がってしまい、売却しても融資元本を回収することができなくなったのです。

そして、このサブプライムローンが組み込まれた金融商品を、リーマン・ブラザーズだけでなく欧米の多くの金融機関が大量に買っており、その価値が暴落したことで莫大な損失が発生しました。日本の金融機関はサブプライムローンの影響が相対的に小さかったために、リーマン・ショック後は日本円が「安全資産」として買われる動きが強まりました。それが急激な円高を呼び、日本の輸出は鈍化、日経平均株価は一時6,000円程度まで下落しました。

リーマン・ショック後、ヨーロッパではギリシャの財政危機をきっかけとした欧州債務危機、日本では東日本大震災の影響もあって、世界的な株価の低迷は4年程度続き、長期間の不景気となりました。

2020年 コロナショック

2020年2月末から3月にかけて起きたコロナショックでは新型コロナウイルスの感染症が世界的に拡大し、各国でロックダウンなどの様々な行動制限が課されることを予想した投資家が、株式などあらゆる資産をいっきに売却したことで、株価が激しく値下がりしました。

しかし、一時的に株価は暴落したものの、政府の金融緩和などによって株価はすぐに回復し、コロナワクチンの早期実用化の効果もあってNYダウは過去最高値を更新するに至りました。2021年9月時点で新型コロナウイルスは完全に収束していないため、今後の株価については予測が難しい部分もありますが、ひとまず株式市場については早期に落ち着いたといえるでしょう。

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