少子化が叫ばれる日本。生涯未婚率が上昇を続ける一方で、「婚活」という言葉はすっかり市民権を得て、近年ではマッチングアプリに出会いの場を求める傾向が強まっています。そんな中でにわかに注目を集めているのが「結婚相談所」。婚活市場の拡大をビジネスチャンスととらえて、副業として結婚相談所を開業する人も増えているそうです。
国内最大級の結婚相談所のネットワークを運営する、IBJ(日本結婚相談所連盟)の土屋洋和さんに、最近の婚活事情や結婚相談所のお仕事についてお話をうかがいました。

IBJ 土屋さん
IBJ
加盟店本部 連盟運営部 部長
土屋 洋和さん

結婚相談所の会員数はコロナ前より増えた

最近、個人的に結婚相談所に関するニュースやブログを見かける機会があって、私も独身ということもあり興味を抱いていました。最近はコロナで出会いの場も減っているかと思いますが、結婚相談所、あるいは「婚活」の市場は今どのような状況なのでしょうか?

土屋さん 各種婚活サービスを通じて結婚した人の割合は、このところずっと右肩上がりで増えているというデータがあります。リクルートのブライダル総研によると、特にマッチングアプリを利用する人が増えているようです。家にいながら出会いのチャンスを広げられることで、需要が高まったのだと思います。

【図表1】婚活サービスを通じて結婚した割合は20年間で16倍に増加
婚活サービスを通じて結婚した割合は20年間で16倍に増加
出所:「平成27年国勢調査 抽出速報集計結果 結果の概要(男女別15歳以上人口)」(未婚者男女)、リクルート ブライダル総研「婚活実態調査2021」(婚活サービスを通じて結婚した人の割合)をもとにIBJ作成

結婚相談所も、業界全体で会員数は増えていると思います。IBJではコロナの感染が始まった最初の2カ月ほどは会員数もお見合いも減りましたが、それ以降は右肩上がりで、今はコロナ前より会員数もお見合いも多くなりました。

【図表2】IBJの会員数・お見合い成立数推移
IBJの会員数・お見合い成立数推移
出所:日本結婚相談所連盟

マッチングアプリで婚活のハードルが下がる

まだコロナが終わっていないのに、会員数がコロナ前を超えたのはすごいですね。どういった要因が考えられるのでしょうか?

土屋さん ひとつは、婚活そのものが世の中に浸透したことだと思います。婚活パーティーやマッチングアプリがライトな婚活の入り口になったことで、今まではハードルが高いと思われていた結婚相談所も視野に入ってきたのではないかと思われます。

そして、マッチングアプリでの婚活がうまくいかなかった人が、より安心して活動できる、より真剣度が高い場所として結婚相談所を活用するという流れですね。アプリのデメリットとしてよく言われるのは「温度感の違い」で、誰でも気軽に利用できるゆえに、結婚相手を真剣に探す人もいれば、恋人探しが目的で結婚は先の話という人もいて、そこでギャップが生まれてしまいます。こうしたきっかけで結婚相談所に来ることが増えているようです。

IBJの加盟店からはマッチングアプリにお客さんを取られるのでないかと心配する声もありますが、我々としては婚活のユーザーのすそ野が広がるメリットの方が大きいと考えているので、マッチングアプリの流行をむしろポジティブにとらえています。

IBJではどんな方が登録されているのでしょうか。最近の傾向や変化などありますか?

土屋さん 男女比で言えば以前から変わっていなくて、6:4で女性が多いですね。最近の傾向では若い方が増えている印象があります。これもマッチングアプリの影響が大きいと思います。

副業や出産後のセカンドキャリアとしての結婚相談所

2006年に設立したIBJは、加盟する結婚相談所同士をつなぐネットワークのシステムを提供しています。たとえばIBJに加盟する結婚相談所A社の会員は、同じA社の会員同士だけでなく、IBJのシステムを通じてB社やC社の会員ともマッチングできる仕組みです。
2020年には結婚相談所大手のツヴァイを子会社化し、IBJのネットワークに加わったことで、都市部以外の地域でのお見合いや成婚が増えました。2022年7月時点で、加盟する結婚相談所は3300社以上、会員数は約8万人という日本最大級の結婚相談所ネットワークを運営しています。

土屋さんはどんなお仕事をされているのでしょうか?

土屋さん IBJのシステムをどう改善すればお見合いや成婚が増えるか、仲人さんにとって使いやすいかを考えながら、システムのアップデートを進めています。それだけでなく、加盟店へのアドバイスや研修などを通じて、成婚を増やすメソッドを加盟店にお伝えするのが我々の役割です。

全国の結婚相談所での成功したノウハウを広めていくということですね。

土屋さん 私たちの研修だけでなく、加盟店同士の横のつながりも増えていて、おたがいに切磋琢磨しながら伸びている面もあると思います。ありがたいことに、IBJ全体で成婚率は上がっています。

そんなIBJでは、個人が副業で結婚相談所を開業して加盟される例が増えているそうですね。

土屋さん 婚活がメジャーになったことに加えて、大企業を中心に副業が認められるようになったことが大きいと思います。もともとプライベートで結婚したい人にお友達を紹介していたような「お世話好きな方」が、副業として結婚相談所を始めるのに向いているのではないかと思います。

【図表3】IBJの結婚相談所の開業件数に対する副業の割合
IBJの結婚相談所の開業件数に対する副業の割合
出所:日本結婚相談所連盟

あとは副業ではないですが、結婚を機に仕事を辞めた方で子育てが落ち着いたタイミングで、再就職するより新しい事業を始めたいということで加盟する方も多いですね。仲人の仕事は、パソコンひとつあれば始められて、働く場所も時間も自由に選ぶことができます。本職が終わった後の時間を会員様との面談に充てたり、子どもが保育園に行っている時間にサポートを行ったりと、自分のライフスタイルに合わせた働き方ができることも、個人の副業として結婚相談所の人気が高まっている要因となっています。

先日、夫婦で運営している加盟店の方と食事する機会があったのですが、やはり自由な時間が増えたそうで、「家族と過ごす時間を持てるようになった、この結婚相談所の仕事を始めてよかった」とおっしゃっていただきました。

結婚相談所はやりがいがわかりやすい仕事だと思います。結婚はほとんどの人にとって幸せな瞬間で、その幸せを自分のサポートによって実現できるのは、仲人さんにとってもうれしいことですよね。

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