2025年12月22日の長期金利が一時2.100%と、1999年2月以来(26年10カ月ぶり)の高い水準になりました。長期金利は固定金利の住宅ローン金利にも影響を与えるものでもあり、今後の金利の動向に関心が集まっています。
長期金利とは、10年固定利付国債の利回りのことを指します。この記事では、長期金利の値動きの仕組みと、新窓販国債を通して債券の基礎的な知識について説明します。
- 債券の募集価格と額面金額は異なり、表面利率と募集価格で応募者利回りが決まる
- 人気のある債券は募集価格が額面金額を上回り、応募者利回りは低下する
- 新窓販国債は中途換金すると市場価格での売却となり、売却損が発生することもある
現在の長期金利はどの国債の利回りになるか
2025年12月24日時点の長期金利は、10年利付国債の第380回債(募集期間2025年12月5日~24日、表面利率1.7%)の最終利回りです。
国債は日々市場で売買が行われているため、長期金利の利回りは時々刻々変動します。
最終利回りは、10年利付国債の、その時点の価格で購入して満期まで保有した場合の年利回りです。最終利回りの計算方法については、次の章の「新窓販国債で学ぶ債券の基礎」のところで説明します。
新窓販国債で学ぶ債券の基礎
ここでは、新窓販国債を参考に、債券の基礎的な内容について説明していきます。
個人が購入できる国債には「個人向け国債」もありますが、債券価格の変動がない仕組みの国債なので、債券の特徴について学ぶ際には適切ではありません(商品性を批判しているわけではありません)。
新窓販国債とは
新窓販国債は、個人や法人が購入できる固定金利の国債です。
償還までの期間は2年、5年、10年の3種類があり、毎月発行されます。額面金額は5万円となっており、「募集価格」で購入します。
募集価格は、額面金額を100円としたときの価格で表示されます。先の章で詳しく述べますが、需要と供給の関係などによって募集価格と額面金額には差が生じます。
図表1は、2025年の7月債から12月債までの10年利付国債(新窓販国債10年)の表面利率と募集価格、応募者利回りの推移です。
| 表面利率 | 募集価格(円) 額面金額100円 に対して |
応募者 利回り |
|
|---|---|---|---|
| 7月債 | 1.50% | 100.90 | 1.396% |
| 8月債 | 1.50% | 100.72 | 1.416% |
| 9月債 | 1.50% | 99.45 | 1.565% |
| 10月債 | 1.70% | 100.95 | 1.588% |
| 11月債 | 1.70% | 100.75 | 1.611% |
| 12月債 | 1.70% | 98.97 | 1.824% |
出所:財務省「新窓販国債10年の発行条件」をもとに筆者作成
募集価格が100円を上回ると「表面利率>応募者利回り」になり、100円を下回ると「表面利率<応募者利回り」となります。
以下では表面利率、額面金額、募集価格、応募者利回りのそれぞれの用語について説明します。
表面利率とは
表面利率は、債券の額面金額に対して年間で支払われる利子の割合を表したものです。新窓販国債の額面金額は5万円なので、表面利率が12月債と同じように1.7%ですと、年間の利子(税引き前)は850円(5万円×1.7%)になります。
表面利率は、日々の売買で決まる利回りのように変動することはなく、発行時に決まった利率が償還(満期)まで変わりません。
額面金額とは
額面金額は、償還時にその債券の保有者に支払われる元本のことです。発行前に額面金額を決めて債券を発行します。例えば、新窓販国債ですと額面金額は5万円、個人向け国債は1万円です。
また、額面金額を100円として募集価格を表示するのは、個々の債券により額面金額が異なるので、単位を揃えて比較しやすいようにするためです。
募集価格とは
募集価格は、その国債の販売時の価格です。財務省がその債券を入札にかけて、決定した価格が募集価格となります。
国債の入札参加者は銀行や証券会社、保険会社などで構成されています。2025年4月9日現在の参加者は221法人です。
入札参加者は、提示される表面利率や発行額、今後の金利動向などを考えて札入れを行います。人気のある債券は募集価格が額面金額の100円を上回り、不人気の債券は100円を下回ります。
応募者利回りとは
応募者利回りは、募集価格で購入し償還まで保有していた場合の年間の利回りを表します。
計算式は、

になります。
額面金額より募集金額が高ければ応募者利回りは表面利率を下回り、低ければ応募者利回りが表面利率を上回ります。
次に長期金利の利回り計算について説明します。
長期金利(最終利回り)の利回り計算
長期金利(最終利回り)の計算式のかたちは同じですが、「募集価格」のところが「債券価格」に変わります。

最終利回りは応募者利回りと違い、債券価格の変動により利回りが上下します。
新窓販国債の購入に際しての注意点
ここでは、新窓販国債の購入に際しての注意点を説明します。
中途換金で売却損(売却益)が発生する可能性
新窓販国債の価格は市場での取引により日々変動します。そのため、中途換金した場合はその時点の価格で販売することになります。
募集価格より換金時の債券価格が低いと売却損が発生し、高いと売却益が発生します。
トータルリターンは応募者利回りを見る
新窓販国債の発行条件の表(下記リンク先参照)には、表面利率と応募者利回りの表示があります。
利子は表面利率で計算されますが、その債券のトータルリターン(発行から満期まで)は応募者利回りになる点に注意する必要があります。
最後に
過去に行われた「異次元の金融緩和」の影響で、長期金利も日本銀行がコントロールしていると思われている方もいられるかと思いますが、実際の長期金利は債券市場での日々の取引により決まるということを覚えておきましょう。















