現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第96回は、高級路線のファミリーレストラン「ロイヤルホスト」や、手頃な価格で人気の天丼チェーン「天丼てんや」などの飲食店を運営するロイヤルホールディングス(8179)をご紹介します。
- ロイヤルHDの主力は外食事業。ホテル事業も満足度評価で上位にランクイン
- 直近の1~6月期決算は増収減益。米などの原材料費高騰が響くがホテル事業は好調
- ボックス圏で推移していた株価は底値を切り上げる動きへ。今後は海外事業を拡大
ロイヤルホールディングス(8179)はどんな会社?
ロイヤルホールディングスの主力は外食事業で、「ロイヤルホスト」「天丼てんや」「シェーキーズ」などのブランドで全国にチェーン展開しています。
そのほか「リッチモンドホテル」のブランドを展開するホテル事業、空港や高速道路のサービスエリアの商業施設で飲食サービスを受託運営するコントラクト事業、グループ内向けや企業向けに食品・料理を提供する食品事業の4つで構成されています。
同社は戦後間もない1951年に、創業者の江頭匡一氏が福岡空港で機内食事業と喫茶店の運営を開始し、祖業となりました。1953年には福岡市の東中洲に本格フランス料理店を開業し、マリリン・モンローとジョー・ディマジオ夫妻など多くの著名人が来店し話題となりました。
1971年にはファミリーレストランのロイヤルホストの1号店を北九州市に出店、その後も事業拡大を続けていきました。
品質や顧客満足度へのこだわりが強み
ロイヤルホールディングスの強みは、品質や顧客満足度へのこだわりです。保有する約3000種類のレシピを元に材料や調理工程をデータベース化しており、消費者が納得できる味をセントラルキッチンで大量生産できる体勢を整えています。
また、国内外でのネットワークを生かした独自のルートで厳選した素材を、安定して仕入れることが可能となっています。
ホテルブランドの「リッチモンドホテル」についても、質の高いサービスにより消費者から高い評価を受けています。
J.D.パワーによる「ホテル宿泊客満足度調査」のミッドスケールホテル部門でNo.1を獲得するなど、毎年上位にランクインしています。特に「客室」「料飲」「チェックイン・チェックアウト」の3つのファクターが評価されました。
ロイヤルホールディングス(8179)の業績や株価は?
ロイヤルホールディングスの今期2025年12月期決算は、売上高が前期比10%増の1666億円、営業利益が6%増の78億円と、ともに過去最高を見込んでいます。
8月5日に発表した25年1~6月期決算は売上高が9%増の788億円、営業利益が7%減の31億円と増収減益になりました。外食・コントラクト事業が好調だったものの、原材料費の高騰や国内外の出店費用などが重荷となりました。米の価格上昇や米国産牛肉の仕入れ価格が高止まりとなりました。
ホテル事業では、インバウンド効果で福岡や首都圏で客室稼働率が上がりました。

8月8日の終値は2669円で、投資単位は100株単位となり、最低投資金額は約27万円です。予想配当利回りは1.2%です。株主優待はグループの店舗で利用できる食事券です。金額は持ち株数に応じて変わり、例えば100株以上500株未満の株主には1回あたり500円相当となります。権利確定月は6月と12月です。
2027年度までの新たな中期経営計画では、27年度に売上高1875億円、経常利益100億円を目指し、特に海外事業の拡大やM&Aを積極的に推進します。具体的には、アジアや北米を中心に直営・FCで150店舗の海外展開や人的資本投資の強化 、データ分析基盤の整備などを通じて持続的な成長と企業価値向上を実現する計画としています。
株価は中長期でボックス圏で推移しています。近年では23年の高値2968円から上値を切り下げる展開が続いていました。
25年に入ってからは年初の安値の2236円を底に、株価は下値を切り上げる動きに変わってきています。8月5日には2785円の年初来高値を付けましたが、決算後は減益を嫌気して株価は下落したので良い押し目となっています。
国内ではインバウンド需要、海外で国内ブランドの店舗展開により、まだまだ成長の余地は大きいとみています。