どんな場面でも常に高いリターンを上げられる金融商品はありません。どんな金融商品にも必ず「得意な局面」と「苦手な局面」があります。現役証券アナリストの佐々木達也さんが、今人気の金融商品や注目セクターの「とくい」と「にがて」を徹底分析する連載。第6回のテーマは、過去に「レバナス」と呼ばれる商品が大きな話題となり、現在の株高局面でも注目を集めている「レバレッジ型」です。
- 指数の日々の変動率に対して値動きが数倍になるように設計された金融商品
- ナスダック指数が対象の「レバナス」や、日経平均株価を対象とした商品などがある
- 一本調子で上昇する相場は得意で、ボックス相場は苦手。短期の値幅取りと割り切る
レバレッジ型投資とは?
近年、より前向きにリターンを求める個人投資家の間で「レバレッジ型」への投資が主流となりつつあります。
レバレッジには「てこの原理」という意味があります。レバレッジ型とは、日経平均株価やナスダック総合株価指数などの対象となる原資産の指数に対して、てこのように日々の変動率に対して2倍、3倍など数倍の変動率になるよう設計された金融商品です。
レバレッジ型投資は少額で大きなリターンが狙える反面、損失も大きくなることがあり、ハイリスク・ハイリターンの側面があります。
指数や倍率の多様化が進む
レバレッジ型は少額で大きなリターンを狙える、個別株の知識がなくても投資できるなどの特徴が個人投資家に支持され、現在は対象となる指数や倍率が非常に多岐にわたっています。レバレッジ型に投資したことがなくても、SNSなどで「レバナス」「日経レバ」などのキーワードを目にしたことがある方は多いのではないでしょうか?
「レバナス」というのは、ハイテク株の比率の高い米国のナスダック総合株価指数に対して、日々の値動きの倍動くように設計された投資信託やETFを指します。たとえば大和アセットマネジメントの『iFreeレバレッジNASDAQ100』や、楽天投信投資顧問の『楽天レバレッジNASDAQ-100』がこれにあたります。
「日経レバ」もメジャーなレバレッジ型の1つです。日経平均株価を原資産とする商品で、『NEXT FUNDS 日経平均レバレッジ・インデックス連動型上場投信』(1570)を筆頭に、さまざまなETFや投資信託が設定されています。
よりハイリスク・リターンを求める投資家のため、楽天投信投資顧問の『楽天日本株4.3倍ブル』など原資産に対して約4倍の値動きとなる投資信託も登場しました。
対象となる指数も、米国ではナスダック総合株価指数のほか、S&P500種指数、日本株ではTOPIX、JPX日経インデックス400、さらに商品では金先物、原油先物など、さまざまな指数や商品に連動するレバレッジ型が存在します。米国のフィラデルフィア半導体株指数(SOX)など特定のセクターに特価したレバレッジ型も設定されており、こちらも個人投資家に支持されています。

※始点を100として指数化。レバレッジ型は『iFreeレバレッジNASDAQ100』の基準価額。NASDAQ-100は前日(米国時間)の値
レバレッジ型の投資の得意な局面・苦手な局面は?
一本調子で上昇する強気相場が大得意
レバレッジ型の投資が得意とするのは、2025年4月のトランプ関税ショックからの戻り相場のように一本調子で上昇が続く局面です。株式指数が大きく上昇する強気(ブル)相場では、少額の投資で大きなリターンが見込める場面となります。
ボックス相場では通常のインデックス商品より不利
反面、指数がレンジ内で行ったり来たりするボックス相場にはレバレッジ型の投資は向いていません。レバレッジ型は「日々の値動き」に対して倍数のリターンを目指すという仕組みです。例えば日経平均が10%ずつ10日間上げ下げを繰り返した場合を想定します。非レバレッジ型の投資であれば基本的には元の価格に戻ります。しかしレバレッジ型投資ではその設計上、指数が元に戻っても少しずつ価値が目減りしていく特性があるのです。
通常のインデックスの積立投資などであれば問題のないボックス相場でも、レバレッジ型では資産価値が目減りしてしまう点には留意すべきでしょう。
レバレッジ型の活用は短期投資と割り切る
ちなみに株式市場の暴落局面で変動率が大きくなっている背景のひとつには、個人投資家によるレバレッジ型の投資信託などの投げ売りなども挙げられます。「これだけ下げたのだから大きくリターンが見込めそうだ」と、レバレッジ型による逆張り投資などを安易に考えるのはおすすめできません。
2024年から制度が新しくなったNISAでは、基本的にレバレッジ型の投資信託やETFなどは対象になっていません。「長期・分散・積み建て」を主眼とするNISAとは相容れないのです。レバレッジ型の投資はあくまで短期の値幅取りと割り切って行うべきでしょう。
レバレッジ型の活用法と注意点
- 日経平均株価やナスダック総合株価指数といった指数の2倍、3倍などの変動率となるようにつくられた投資信託やETF。少額・短期で大きなリターンが狙える
- 一般的に長期の資産形成には向かないとされるため、NISAの対象外。短期投資で活用する
レバレッジ型の得意・有利な局面
- 株価が一本調子で大きく上昇するとき
レバレッジ型の苦手・不利な局面
- 株価が暴落する局面では、短期的に大きな損失を被ることになる
- 指数がレンジ内を上下するボックス相場では、商品の設計上、価格が徐々に下落していくため、通常のインデックス型よりパフォーマンスが劣ってしまう
次回(1月27日公開予定)は、高配当株式の“とくい”と“にがて”を見ていきます。


















