「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回からは「NISA利用の出口戦略を考える」というテーマで、投資でお金を増やした後の行動について考えます。その初回として、NISAの「ゴール」とは何なのかをあらためて確認します。

  • NISAのゴールは目的、時期、金額などさまざまで、人によって違う
  • NISAのゴールを目前に金融危機が起きた場合、備える方法は主に2通り
  • ゴールとすべき金額の目安は、生命保険文化センターの調査報告が参考になる

月の下旬に「為替は円高に反転か?」と思わせるような変動がありました。そして、その後に金価格や銀価格が著しく下落する局面がありました。

読者の皆さまの中には「売却のタイミング」を探っておられた方もいたと思います。こういうことがあると、焦ってしまいますね。
さて、焦らずに構えるには、どうしたら良いでしょうか? いずれにせよ「ゼロになったわけではない」のですから、まずは落ち着くことですね。ゼロでなければ、そこから、また芽吹く可能性もありますから。

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NISAのゴールとは?

そもそも何のためにNISAを利用しているのか、この機会に整理しておきましょう。

NISAの利用にあたり「ゴール」を明確に定めて利用している方はいらっしゃいますか?
ゴールとひと口に言っても「目的」「時期」「金額」など、いくつか考えられますね? もちろん「生活の余剰資金の範囲で投資を楽しんでいる」という、いわば趣味のような感覚で、NISAを楽しんでいらっしゃる方もいると思います。人、それぞれですね。

趣味の範囲で楽しんでいらっしゃる方は、「上がったとき」の喜びや、「下がったとき」の驚きなど、その時々の感情を、今後も楽しんでいただければ良いのではないでしょうか?

ゴールの「時期」と「金額」が明確な場合

2024年に始まった、いわゆる新NISAの特徴の一つに「恒久」というのがあります。つまり期限がなく、いつまでも利用できる、という意味です。しかし、人の命は有限ですし、できれば元気なうちに有意義なことに使いたいものです。

さて、ゴールの「時期」とゴールの「金額」が明確だけど、そのゴールを目前にして、例えばリーマン・ショックのようなことが起きてしまったら、という想定があろうかと思います。
では、その想定に備えるためには、どのような方法があるでしょうか? 2通りの方法があろうかと思います。

NISAのゴールと金融危機が重なったら……対策①

一つ目は「利益確定の分散」です。
然るべき「ゴールの時期」や「ゴールの金額」で一度に利益を確定するのではなく、何回かに分けて利益を確定するのです。

つまり「ゴールの時期」より前にも、「利益の確定を始める」のです。もちろん、利益確定後に大きく上昇したらしゃくですが、利益確定後に大きく下がることを防げます。

NISAのゴールと金融危機が重なったら……対策②

もう一つは「リーマンショック直後」が参考になろうかと思われます。

リーマン・ショック直後は、むしろ投資のチャンスでした。毎月分配型のリート投資信託が、わずか4か月で、基準価額(分配金込み)が倍近くになったお客様もいらっしゃいました。

このケースから学べることは2つあります。一つは「ショック後」は投資のチャンスの可能性があること。
もう一つは「投資のチャンス」ということは、その後に「株価などの上昇(=回復)」を見込めます。つまり株価などが回復するまでの間の「つなぎの現金」も準備しておいた方が良い、ということです。

ゴールの「時期」は明確でも、「金額」は明確か?

NISAのゴールの「時期」は、例えば「定年を迎えたとき」とか、「子どもが就職したとき」など、明確な方は多いのではないでしょうか?
問題は金額ですよね。金額は、お一人おひとり異なってくると思います。生活の事情が異なりますからね。

ここで一つ、目安となるものを挙げてみましょう。

【図表】生活に必要な老後資金に関する調査結果
2024年調査 2004年調査
最低限の生活費として必要な額はいくらだと思いますか? 23.9万円 24.2万円
ゆとりある生活を送るための上乗せ額はいくらだと思いますか? 15.2万円 13.7万円
合計 39.1万円 37.9万円

出所:生命保険文化センター「生活保障に関する調査」(2025年度、2005年度)

表は生命保険文化センターの調査報告より引用したものです。生活に必要な老後資金として「最低限の日常生活費として、いくら必要だと思いますか?」という問いに対しては、2004年に比べて2024年の方が、額が低くなっています。これは意外でした。

また「ゆとりある老後生活を送るための上乗せ額として、いくら必要だと思いますか?」という問いについては、2004年よりも2024年の方が、金額が高くなってはいますが、筆者はもっと高額になっていると思っていました。

まとめに代えて

さて、生命保険文化センターから引用することで、老後に必要な月々の生活費の目安を知ることができました。この月々の額に12をかければ、おおよそ1年分の金額にはなろうかと思われます。

問題は「いつまで」という期間ですよね? 何歳まで生きるかという、根源的な問いに対する答えを考えなくてはなりません。

この問いに対する答えは……次号に譲りたいと思います。