最近話題の「SDGs」がテーマのETFへ投資する方法を知りたいという人も多いでしょう。SDGsをテーマとした投資は、利益を狙えるだけでなく、社会問題の解決にも貢献できるということで注目を集めています。本記事では、SDGsをテーマにしたETFについて解説します。
SDGsに配慮した投資は世界的な潮流に
SDGsとは「Sustainable Development Goals」(持続的な開発目標)の略で、読み方は「エスディージーズ」です。SDGsの概要について解説します。
SDGsは17の目標と169のターゲットで構成
SDGsは2015年のサミットで発表された国連加盟国の共通目標のことで、17の目標と、それらを達成するための169のターゲットによって構成されています。17の目標の概要として、以下のようなものが挙げられます。
- 貧困・飢餓の撲滅
- 男女平等
- 健康・福祉
- 地球環境や気候変動の改善
SDGsの目標は、社会問題やモラルの面などの課題を中心に構成されています。
SDGsは世界の投資家に注目されている
近年、SDGsは重要な投資テーマのひとつとして、世界中の投資家から注目を浴びています。実際どのような試みがなされているのかを見てみましょう。
年金積立管理運用独立法人(GPIF)
日本の厚生年金や国民年金を運用している年金積立管理運用独立法人(GPIF)は2021年1月、SDGsに関連する投資情報やアイデアの募集をおこないました。投資の有効性を判断するパフォーマンス指標や、関連する学術研究などを年金の運用に役立てるようです。
GoogleのSDGsに対する投資
Googleは2020年8月に、社会問題や環境などSDGs関連の課題解決に向けた投資のために、57億5000万ドル(6060億円)の社債を発行しました。報道によると、当時のSDGs関連の社債発行において過去最大の規模ということです。
「SDGs」の名が付くETFは海外にある
現在のところ「SDGs」と名のつくETFは国内には存在しません。しかし、アメリカには「iShares MSCI Global Impact ETF」と呼ばれるETFがあります。このETFは、SDGsの理念に沿う世界の企業の株価を指数化した「MSCI ACWI Sustainable Impact Index」という株価指数に連動するように作られています。
ETFは個別株式と同じ手続きで売買できるので、証券会社でアメリカ株に投資できる口座を開けば、日本からでもこのETFに投資できます。
どのようなETFかを確認するために、米国株式市場全体の値動きを表す株価指数「S&P500」への連動を目指すETFと、値動きを比較してみましょう。
2020年1月からの比較では、「コロナショック」の2020年3月の下落幅はS&P500より小さく、直近の価格でもSDGsの方が大きく上回っています。この期間の値動きだけで判断するのは気が早いとはいえ、やはりSDGsをテーマとする投資はひとつの有力な選択肢だといえそうです。
国内ETFでは「ESG関連指数連動型ETF」に注目
前述の通り、国内にはSDGsの名がつくETFはありませんが、SDGsと重なる概念である「ESG」関連のETFは多数上場しています。
ESGとは「環境、社会、企業統治」の英語の頭文字を取ったもので、いずれも企業の長期的な成長に関わる要素と考えられます。例えば、企業が従業員や顧客などに対してどのような配慮をしているかに注目することで、長期的に利益を挙げられる会社かどうかを判断します。ESGの主体はあくまで企業です。
一方で、SDGsは企業だけでなく、個人や教育機関、地方自治体、あるいは国も含めた社会全体で取り組むものです。このようにESGとSDGsは理念が重なるところもありますが、その主体が異なります。
国内市場に上場しているESG関連のETFは、日本取引所グループの以下のページで確認できます。
ESGに関連する国内のETFの中でも、脱炭素による温室効果ガスの削減に着目した「S&P/JPX カーボン・エフィシェント指数」は、地球環境保全という理念がSDGsと同じです。現状でこの指数への連動を目指すETFが、SDGsの理念と最も親和性が高いといえるかもしれません。
ただし、国内株式市場でも完全なSDGsのETFを求める場合は、今後の動きを待つしかありません。SDGsのさらなる発展に期待しましょう。