「退職すると健康保険が切れてしまうのは知っているけど、どんな選択肢があるのか複雑でよくわからない」「自分がどの方法を選べばいいかわからない」──。そのような方のために、退職後の健康保険の選び方のポイントを簡潔にまとめてお伝えします。退職後の健康保険は3パターンあるため、最適な方法を選びましょう。

  • 定年後にも支払い義務のある税金の中で社会保険料は最も高額になる可能性が高い
  • 定年後の社会保険料の支払額を少なくする方法は大きく3つある
  • 新規で国民健康保険に加入すると、保険料が高額になる可能性があるので注意が必要

定年後の健康保険はどうなる?

もうすぐ定年退職を迎える方にとって、退職後の健康保険をどうしたらよいかというのは悩みの種でしょう。75歳になれば全員が後期高齢者医療保険に移行するため、保険料はかかりません。しかし、退職から後期高齢者医療保険に移行するまでの数年間は、年金や貯蓄の中から保険料を支払わなくてはなりません

リタイア後に支払いが発生する場合がある税金で代表的なものとしては、所得税や住民税、健康保険料、介護保険料があります。意外と知られていませんが、この中で一番高額になる可能性が高いのが健康保険料です。

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健康保険料は所得額によって金額が異なるため、全員一律ではありません。そのため、退職していても所得がある方であれば、支払額が年間数十万円に及ぶこともあります。

よって、退職後の健康保険の加入方法を選ぶ際は、もっとも支払額が少なく済む方法を選ぶことがとても重要です。

選択肢は3つ。いきなり国民年金に加入するのはダメ?

退職後の健康保険には3つの選択肢があります。それぞれの特徴を簡単にまとめました。

1:会社員の家族の扶養家族になる

自分の子どもや妻、夫などの被扶養者になることで健康保険料を払わなくても扶養者の健康保険に加入できます。3親等までの家族であれば、扶養家族として健康保険に入ることが可能です。

扶養で健康保険に入る条件は

  • 75歳未満で生計維持関係にあること
  • 60歳以上の人の場合は、年収180万円未満(60歳未満の場合は130万円未満)で扶養者の年収の1/2以下であること

などとなっています。退職日から5日以内に扶養者の勤務先で手続きする必要があり、時間の余裕がないため、できるだけ早めに手続きを済ませましょう。なお、扶養家族として健康保険に加入しても扶養者の保険料が増えることはありません。条件を満たしている場合は、まず扶養家族になるパターンを検討するべきでしょう。

扶養家族になるイメージ
3親等までの家族なら扶養家族として健康保険に加入することが可能

2:任意継続被保険者になる

任意継続被保険者とは、それまで勤務していた会社の健康保険に全額自己負担で加入を続ける方のことです。会社に勤めていた間は、会社が健康保険料の1/2を負担してくれていましたが、任意継続被保険者は健康保険に任意で加入することになります。

そのため、これまでの健康保険料より負担が大きくなりますが、保険料には上限額が設定されています。上限額は退職時の標準報酬月額(ほぼ平均月給と同じ)もしくは30万円で、その金額に居住している都道府県の保険料率をかけた金額が保険料になります。

また、任意継続被保険者に扶養家族がいる場合は、扶養家族も保険料負担なしで健康保険に加入できる点がメリットです。

3:新規で国民健康保険に加入する

国民健康保険は自営業やフリーランス、無職の方などが加入する健康保険です。国民健康保険は誰でも加入できますが、扶養家族を同じ健康保険に含められないため、家族それぞれで加入手続きをする必要があります。

収入や自治体によっても保険料率が変わり、計算方法も複雑です。先の2つの方法に比べて保険料がかなり割高になるケースもあるため、できれば国民健康保険ではない選択肢を選べるよう早めに対策を検討しておきましょう。

検討は早めに
定年後の健康保険には、すぐに手続きが必要なケースもあるので、早めに検討することが肝心

早めに検討して定年後に備えよう

定年後の健康保険は、すぐに手続きが必要なものもあり、退職してひと息ついている間に選択肢がなくなってしまったということにもなりかねません。自分はどの方法が選べるのか、退職前に考えを決めておくことが保険料の節約につながります。

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