投資で高いリターンを得るためには、相応のリスクを取る必要があります。高いリターンを得るために有力な選択肢となるのが、先進国よりも高い成長力を期待できる新興国の株式です。ETFや投資信託を使えば、新興国の株価指数に連動する運用も可能。今回は、新興国の代表的な株価指数を紹介します。

  • 高い成長が期待できる新興国の代表には、中国やブラジル、インドなどがある
  • 日本にいながら、各新興国に投資できるETFやインデックスファンドがある
  • 新興国は「攻めの投資」と位置付け、投資資金の一部に留めたい

中国「上海総合指数」

「上海総合指数」は中国の代表的な株価指数の一つです。主に中国本土の投資家を対象とする人民元建てのA株と、中国本土の投資家以外も投資できる米ドル建てのB株があり、いずれも時価総額加重平均指数。1990年12月19日の時価総額を100として算出されています。

時価総額加重平均の説明は、日本取引所グループホームページの「株価指数の仕組み等 Q5」をご確認ください。

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現在中国は、アメリカに次ぐ世界第2位の経済大国です。対アメリカの貿易問題や人権問題など懸念材料を抱えているものの、世界一の人口を背景に、今後も経済成長が期待できる国といえるでしょう。

中国経済のイメージ
中国は世界一の人口を背景に成長を果たした

上海総合指数に関連するETFの一つに、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS ChinaAMC・中国株式・上証50連動型上場投信」があります。このファンドは、上海総合指数に採用されているA株の中から、規模が大きく流動性が高い(取引量が多い)50銘柄で構成されているため、中国の代表的な企業に投資ができるETFといえるでしょう。

ブラジル「ボベスパ指数」

ボベスパ指数は、ブラジルのサンパウロ証券取引所に上場する銘柄の中で、流動性の高い銘柄で構成されている指数です。ボベスパ指数は配当込みのトータルリターンで算出される指数であり、浮動株調整済時価総額平均加重方式です。

ボベスパ指数はブラジル一国だけでなく、南米経済を代表する株価指数といってもいいでしょう。ボベスパ指数に投資をすることで、南米経済全体の成長の恩恵を受けられるかもしれません。

ボベスパ指数に投資できる代表的なETFとしては、野村アセットマネジメントの「NEXT FUNDS ブラジル株式指数・ボベスパ連動型上場投信」が挙げられます。

ブラジルのイメージ
ブラジルは、南米を代表する市場 marchello74/Shutterstock

ロシア「RTS指数」

ロシアを代表する株価指数としては、RTS指数があります。モスクワ取引所に上場する銘柄で構成されおり、指数の計算方法は、ブラジルのボベスパ指数同様、浮動株調整済時価総額加重平均方式です。1995年9月1日を基準日とし、その日の指数値を100として、米ドル建てで算出されています。

RTSに連動するETFには、NEXT FUDNS ロシア株式指数・RTS連動型上場投信」(野村アセットマネジメント)があります。

インド「SENSEX」

インドのSENSEXは、ムンバイにあるボンベイ証券取引所に上場する銘柄のうち、流動性や取引規模が大きく、各業種を代表する30銘柄で構成される時価総額加重平均指数です。

インドは、2027年に中国を抜いて人口世界一になるといわれています。一般的に人口規模は、経済成長のドライバーの一つと考えられています、その意味で、インドは今後とも高い成長力が期待できる新興国といえるでしょう。

インド経済のイメージ
2027年には中国を抜いて人口世界一になるといわれているインド

SENSEXに連動するETFや投資信託は、残念ながら今のところ日本国内では設定されていません。証券会社で中国株式(香港市場)の口座を持っていれば、ブラックロックの「iシェアーズ・コア S&P BSE SENSEX インディア・インデックスETF」を通じてSENSEXに投資できます。

【図表】過去5年間の新興国指数の比較
過去5年間の新興国指数の比較
※2016年9月21日時点の株価指数を100として指数化、期間は2021年9月17日まで

MSCIエマージング・マーケット・インデックス

世界中の新興国市場をカバーするもっとも代表的な株価指数が「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」です。2020年8月末時点では、新興国27カ国の、1,406銘柄で構成されています。

MSCIエマージング・マーケット・インデックスに連動するETFは、国内ではなく海外ETFになってしまいますが、ブラックロックの「iシェアーズ MSCI エマージング・マーケット ETF」です。投資するには米国株式の口座が必要となります。

国内の投資信託では、三菱UFJ国際投信の「eMAXIS Slim 新興国株式インデックス」がMSCIエマージング・マーケット・インデックス(配当込み・円換算ベース)に連動する運用を目指しています。円換算なので、為替の影響のため値動きが指数と少し異なります。

新興国指数に投資したい場合は、まず「MSCIエマージング・マーケット・インデックス」に連動する投資信託を検討するのが無難かもしれません。

FTSEエマージング・インデックス

FTSEエマージング・インデックスも新興国全体の株価に連動する指数で、中国やインドなど多くの国の企業で構成されています。FTSEエマージング・インデックスに連動するETFには、バンガードの「バンガード・FTSE・エマージング・マーケッツETF」がありますが、米国市場に上場する海外ETFなので、こちらも投資するには米国株式の口座が必要です。

投資信託では、「SBI・新興国株式インデックス・ファンド」がFTSEエマージング・インデックス(円換算ベース)に連動する値動きを目指しています。MSCIエマージング・マーケット・インデックスとFTSEエマージング・インデックスの組み入れ銘柄は、同じ銘柄も多く入っているため、似たような値動きとなるでしょう。

新興国への投資は、高い成長が期待できる分、値動きのリスクが大きいものです。あくまでも「攻めの投資」として、投資資金の一部で行うということを肝に銘じておきましょう。

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