特定の品目に対して軽減税率8%が適用
日本における消費税の歴史は、1989年(平成元年)までさかのぼります。まず3%の消費税が導入され、1997年に5%、2014年に8%へと増税が行われてきました。その後、2015年10月に10%への引き上げが予定されていましたが、経済や生活などに与える影響を懸念し、政府は2度にわたり先送りしました。そして2019年10月、「3度目の正直」でようやく10%への引き上げが決定しています。
◆消費税の導入・増税の変遷◆
1989年3月 消費税3%導入
1989年4月 3%から5%への増税
2014年4月 5%から8%への増税
2019年10月 8%から10%への増税(軽減税率適用品目は8%)
これまでの消費増税と大きく異なるのは、「軽減税率」の制度が設けられたことです。軽減税率とは、特定の品目に対して消費税を軽減するしくみのこと。「日々の生活において幅広い消費者が消費・ 利活用している商品の消費税負担を直接軽減する」という考えに基づき、特定の品目に対して軽減税率(8%)が適用されることとなっています。
今回の増税で軽減税率の対象となる品目は、「酒類・外食を除く飲料食品」と「週2回以上発行される新聞(定期購読契約に基づく)」です。
コンビニのイートインコーナーは外食?
この軽減税率は一見分かりやすいようですが、実は少しややこしい面があります。何が問題かというと、「外食を除く」という文言です。
「政府広報オンライン」によれば、牛丼屋やハンバーガー店、蕎麦屋、ピザ屋などでの「店内飲食」は外食にあたり、標準税率(10%)の適用対象となります。一方、「テイクアウト」や「出前」、「宅配」は外食にあたらず、軽減税率(8%)の適用対象になるとされています。同じものを注文しても、外食かどうかによって支払額が変わるのです。
同じおでんでも、持ち帰るか店内で食べるかで税率が変わる
もっとややこしいのは、コンビニエンスストアなどで弁当を購入するケースです。最近よくある店内のイートインコーナーで食べたら外食扱いになるのでしょうか?
同じく「政府広報オンライン」によれば、イートインコーナーがある場合でも、持ち帰りとして販売されるときは軽減税率(8%)を適用するそうです。一方、イートインコーナーでの飲食を前提に提供される飲食料品(トレイに載せて座席まで運ばれたり、返却の必要がある食器に盛られたりする食品)は標準税率(10%)を適用とのこと。
コスト意識の高い消費者は、増税以降は外食を控える傾向を強めるでしょう。危機感をつのらせた飲食店街では「宅配はじめました」ののぼりが増えるかも?