iDeCoのメリットの1つは、掛け金が全額所得控除の対象になることです。iDeCoの掛け金で所得控除を受けるためには年末調整の際に手続きが必要ですが、うっかり手続きを忘れてしまうケースも考えられます。そこで本記事ではiDeCoの概要と、年末調整の際の手続きを忘れてしまった場合に確定申告で対処する方法について解説します。
- iDeCoの節税メリットの一つは掛け金が全額所得控除されること
- そのメリットを享受するには、会社員の場合、年末調整で申告する
- もし年末調整で申告するのを忘れたら確定申告して取り戻す
iDeCoの所得控除を受けるには年末調整が必要
iDeCoは私的年金制度の1つで、正式には「個人型確定拠出年金」といいます。私的年金制度のため加入は任意です。加入者が自分で運用方法を選べることや、税制面でのメリットが大きいことは特徴です。
通常、会社員の方がiDeCoの所得控除を受けるには、年末調整で書類に年金の拠出額を記入する必要があります。具体的には、年末調整の際に会社から「給与所得者の保険料控除申告書」を受け取り、書類の中の「小規模企業共済等掛金控除」の欄へiDeCoの内容を記載します。
記載内容は、毎年10~11月に郵送されてくる「小規模企業共済等掛金払込証明書」で確認可能です。なお、年末調整関係の書類を会社へ提出する際は、「小規模企業共済等掛金払込証明書」も一緒に提出する必要があります。
こうした年末調整の手続きを行うことで、iDeCoの拠出額に相当する税金の還付を受けることが可能です。また、自営業者などの方は確定申告で書類へ年金の拠出額を記入する必要があります。
ここからはiDeCoの3つのメリットについて振り返るとともに、会社員の方が年末調整で手続きし忘れてしまった場合の対処法についても解説していきます。
iDeCoの3つのメリット
iDeCoの税制面のメリットには、以下の3つがあります。
- 掛け金の金額が所得控除の対象になる
- 運用益の全額が非課税になる
- 受け取りの際にも所得控除が受けられる
iDeCoのメリット① 掛け金の金額が所得控除の対象になる
iDeCoの税制面でのメリットの1つ目は、掛け金が所得控除の対象になることです。iDeCoの掛け金は、その全額が「小規模企業共済等掛金控除」の対象となります。そのため、iDeCoの掛け金が課税所得額から差し引かれ、所得税や住民税を軽減することが可能です。
iDeCoのメリット② 運用益の全額が非課税になる
iDeCoの税制面でのメリットの2つ目は、運用益の全額が非課税となることです。一般的な投資信託などを運用して利益が発生した場合は、利益の約20%に所得税が課税されます。しかし、iDeCoで運用益が発生した場合は運用益の全額が非課税になるため、大きな節税効果を期待できるでしょう。
iDeCoのメリット③ 受け取りの際にも所得控除が受けられる
iDeCoの税制面でのメリットの3つ目は、受け取りの際にも所得控除を受けられることです。iDeCoを一時金として受け取る場合は「退職所得控除」の対象となり、iDeCoを年金として受け取る場合は「公的年金等控除」の対象となります。
受給開始の時期は、基本的に60~70歳のあいだで加入者が決められます。受け取り方法は、一時金か年金のいずれか、または一時金と年金の併用を選択可能です。
もし忘れたら……確定申告で取り戻す!
会社員の方で年末調整を忘れてしまった場合は、確定申告で所得控除の申請ができます。確定申告の際に必要となる書類は、主に以下の5つです。
- 確定申告書
- マイナンバー確認書類
- 源泉徴収票
- 身分証明書
- 小規模企業共済等掛金払込証明書
確定申告の提出期間は、毎年2月16日~3月15日です。出し忘れのないよう早めに書類を作成し、必ず期間内に提出しましょう。
なお、小規模企業共済等掛金払込証明書は毎年10~11月あたりの時期に自宅へ郵送されますが、引越しをした場合には注意が必要です。引越しした際に住所変更をし忘れてしまい、小規模企業共済等掛金払込証明書が手元に届かないケースがあります。
小規模企業共済等掛金払込証明書は紛失してしまっても再発行が可能なため、発送期間を過ぎても自宅に払込証明書が届かない場合は発行元の窓口へ問い合わせてみましょう。