「経済効果」はノーベル経済学賞受賞の「産業関連表」で計算

「映画『ボヘミアン・ラプソディ』の経済効果は○○億円」
「リニア中央新幹線実現による経済効果は○○兆円」
など、大きなイベントがあるごとに「経済効果」の話をよく耳にします。
話題の映画や商業施設のオープンをはじめ、国際的なイベント開催やインフラ整備、果ては宇宙開発まで、さまざまな分野で経済効果が公表されます。

この、わかるようでよくわからない「経済効果」という言葉。いったいどんな「効果」なのでしょうか?

経済効果とは、ある出来事が起こることで、特定の国や地域に経済的なプラスの影響がどれくらいあるのかを試算し、金額で示したものです。
その算出の基礎になるのが「経済波及効果」です。経済波及効果は、産業関連表という統計表を用いて計算します。産業連関表は、1936年アメリカの経済学者W.W.レオンチェフ博士が考案。産業連関分析による経済予測などについて、精度の高さと有用性が認められたことから、広く世界で使われるようになりました。彼は、その功績により1973年にノーベル経済学賞を受賞しています。

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日本で今年開催されるビッグイベントに、ラグビーワールドカップがあります。この大会は、4年に1度行われる15人制ラグビーの世界王者決定戦です。実はこのラグビーワールドカップ、夏季オリンピックやFIFAワールドカップと並ぶ世界三大スポーツイベントに数えられるほど、世界では大きなイベントとして人気を博しているのです。
2019年大会は、9月20日(金)から11月2日(土)まで、日本の全12都市で開催します。開幕戦は、東京都調布市の東京スタジアム(※)で行われる日本対ロシア戦です。

「初耳だわ!」「ラグビーのルールが分からない」とおっしゃる皆さまは、まず、日本ラグビーフットボール協会が作った、「ラグビーのルール <超・初級篇>feat. Kishiboy」をご覧ください。

筆者も、高校時代、部活でやっていましたが、練習終了後に6km先のバイトまで自転車で30分以内に行かなければいけなかったのが、一番キツかった思い出です。

※東京スタジアム
一般には「味の素スタジアム」として知られる。味の素株式会社がネーミングライツを取得しているため、Jリーグの公式戦などでは味の素スタジアムの名称が用いられるが、ラグビーワールドカップにおいてはこのネーミングライツが規定により無効となるため、正式名称である「東京スタジアム」の名称が使われる。同様に、横浜市の日産スタジアムもラグビーワールドカップでは「横浜国際総合競技場」と呼ぶ。

2019年大会の経済波及効果は4,372億円の試算も

ラグビーは、体の接触が激しいスポーツのため、野球やサッカーなどに比べ試合間隔が長い傾向にあります。本大会も、約7週間の長丁場。長期間日本に滞在する各国応援団も少なくありません。このため、ラグビーワールドカップは、宿泊や飲食、観光など、経済波及効果も大きな大会といわれています。

ラグビー
選手同士が激しくぶつかり合うのがラグビーの魅力。体力の消耗が激しいスポーツなので、ワールドカップでは試合間隔は原則として4日以上空けられる

ラグビーワールドカップ2019日本大会の公式ホームページによると、

大会開催における経済波及効果は、4,372億円(29.7億ポンド)と予測されています。内訳は、直接効果1,917億円(13.0億ポンド)、第一次間接効果1,565億円(10.6億ポンド)、第二次間接効果890億円(6.1億ポンド)です。

<直接効果はインフラ投資額400億円(2.7億ポンド)を含んでいる、1ポンド=147.12円(2016年購買力平均/OECD統計)で換算>

と公表されています。

2015年大会の日本代表は、過去2回の優勝を誇る南アフリカに、ラスト10分間で逆転した“世紀のジャイアントキリング(番狂わせ)”の主人公として、世界のラグビーファンを震撼させました。

今回は、予選プールを突破し、初のベスト8進出の期待が高まっています。ぜひ日本代表を応援してください。あなたの応援が、経済効果につながります。
景気後退期に差しかかった日本経済を再び浮上させるのは、ラグビーワールドカップの熱狂と、日本代表の活躍かもしれません。

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