レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年4月10日)
- IMFが発表した世界経済見通しは、2019年の世界全体の成長率について3.3%と、1月時点の予想から0.2%引き下げ。主要先進国、新興国のいずれも成長率予想が軒並み下方修正されるかたちに。
- IMFは2020年の成長率を3.6%と据え置いたものの、世界経済には多数の下方リスクがくすぶり続ける旨を指摘しており、今後の世界経済の動向には引き続き注視が必要と思われる。
2019年は世界全体で3.3%成長予想
9日に国際通貨基金(IMF)が発表した世界経済見通しで、IMFは2019年の世界全体の成長率について3.3%と、1月時点の予想から0.2%引き下げました。IMFは米中貿易摩擦の強まりのほか、アルゼンチンやトルコの経済先行き懸念、ドイツの経済減速、中国の信用引き締めなどが世界経済の拡大を弱めたとしており、先進国、新興国のいずれも成長率予想が軒並み下方修正されるかたちとなっています。
【図表】IMFによるGDP成長率見通し
※2019年以降は予測値
インドのGDP成長率は会計年度(4月~翌年3月)ベース
出所:IMF「World Economic Outlook Database, 2019.4」をもとにアセットマネジメントOne作成
欧州の引き下げ幅が全体を上回るかたちに
地域別にみると、IMFは先進国全体の2019年予想を1月時点から0.2%引き下げました。なかでもドイツやイタリアといったユーロ圏や英国の引き下げ幅が先進国全体を上回るものとなっています。米国については、政府機関の一部閉鎖の影響や昨年の減税効果のはく落から0.2%引き下げました。日本については、0.1%引き下げましたが、IMFは消費税率引き上げの影響は政策により抑制されるとみている模様です。
新興国については、全体の予想を0.1%引き下げました。ブラジルやメキシコといった中南米諸国などが新興国全体よりも大幅な引き下げとなっています。一方、ロシアを据え置いたほか、中国については景気刺激策の効果を考慮したとみられ、0.1%引き上げました。こうしたことなどから、新興国全体としては4%台の成長が続く見通しとなっています。
2020年は据え置きもリスクはくすぶるか
IMFは2020年の世界全体の成長率について3.6%と、予想を据え置きました。2019年後半に新興国経済の回復を見込んでいることが据え置きの背景にあります。
ただし、世界経済には多数の下方リスクがくすぶり続ける旨を指摘しており、米中貿易交渉の行方に依然不透明感がみられるなか、今後の世界経済の動向には引き続き注視が必要と思われます。
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