先日、偽サイトで37000円だまし取られました

お恥ずかしい話ですが、先日、ネット詐欺に引っかかり37000円をだまし取られてしまいました。モノが子どもの二段ベッドというのも情けない話です。グーグルの画像検索を見るそばから、“このベッドいいね!”という息子の声に押され、注文したのが偽サイト。返信メールに書かれた“3日以内の入金なら2000円割引”のセリフを真に受けて、メガバンクの亀有支店の口座に送金してしまいました。あれ? 会社っぽくない名義だなと思ったのは後の祭り。数十分後に犯人は現金を引き出し、ドロンです。

落ち着いて考えれば、おかしなことだらけなのですが、わが子の望みならと先走ってしまいました。親心を巧みに突かれたという意味で、オレオレ詐欺と同じです。

一応、警察には届けました。“多いんですよ。この手の話”だそうです。

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銀行には振り込め詐欺被害専用ダイヤルがあり、連絡を取りましたが、口座に残高がないと預金保険機構でも対応できません。

この後の人生でだまされないための学習費として、心に刻んでおきます。

なぜ、人はだまされてしまうのか。新手の詐欺が登場するたびに、いろんな注意喚起が促されます。でも一向に被害が減らないのは、詐欺の手口が巧妙になっていることと、(他人はだまされても)自分はだまされないと高を括っている人が(私を含めて)多いからだと思います。

こんなデータがあります。

【図表】日本の消費者の特殊被害詐欺に対する認識
日本の消費者の特殊被害詐欺に対する認識
出所:行動経済学を応用した消費者詐欺被害の予防に関する一考察 2017年12月 金融中央広報委員会 福原敏恭

自尊心が招く慢心とともに、人はそもそも合理的に判断するのが不得手だという行動経済学での視点から、詐欺被害を防ごうという取り組みも盛んです。

行動経済学の理論をいくつか紹介します。

【プロスペクト理論】

不確実な利益よりも、確実な損失回避を優先しがちな心理。例えば、半分の確率で1000円がもらえるより、確実に500円がもらえることを優先しがちなこと。損を避けたいがために、人は過度なリスクを取りたがるという投資の教訓として用いられることも。

【心の家計簿】

お金を色分けして、自在に価値を変えがちな心理。例えば、給与で得た1万円は大事にするのに、パチンコで得た1万円はすぐに浪費して構わないような感覚になること。ある意味、お金にも別腹が用意されているということ。

【双曲割引】

遠い将来より、近い現在を重要視して行動しがちな心理。1年後に2万円を貰うより、今日1万円をもらう方がうれしく感じること。ついつい目先の誘惑に惑わされ、計画に反した自滅的な行動を取ってしまうこと。

【ハーディング効果】

みんながやっている行動を自分も取ろうとすること。お店に行列ができる理由として語られることも多い、行列が嫌いな人であっても、「(自分が好きな)成功している人は◎◎をやっている」といった噂話で、同調することがあるかもしれない。

【ヒューリスティック】

自分の経験や都合を、勝手に一般化してしまうこと。直感や思い込みで判断しがちであるという心理。自分にとって都合の悪い情報を排除して判断する「確証バイアス」は、心理学にも登場します。

なるほど、お金との付き合い全般に共通して言えそうですね。


ギャンブルで得たお金をパーッと使いたくなってしまうのも、行動経済学で説明がついてしまう

詐欺グループは日々、行動経済学を実践している……のかも

行動経済学を知ることは、詐欺を受けないようにする抑止効果につながりそうです。

ただし、ここで1つ、大きな問題があります。

あくまで推測ですが、これだけ詐欺の手口が巧妙になっているということは、詐欺グループも行動経済学についてかなり詳しく分析して、一歩も二歩も上を行っているような気が(被害者の一人として)するのです。

四六時中、行動経済学を実践している詐欺グループに対して、たまにしか自分を戒めない私たちは、かなうわけがありません。

実に恐ろしいことです。

やはりここは若い時分から、詐欺被害を防ぐトレーニングを積んでおくことが大切です。例えば、消費者庁では啓蒙資料として「心理傾向チェック!」を用意しています。

心理傾向チェック!(消費者庁)

きっと私はだまされる。もしかして、気が付いてないだけで、すでにだまされていたのかも――。それぐらいの気持ちで、詐欺を捉えておきたいですね。

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