レポート提供:アセットマネジメントOne(2019年5月9日)
- 足もとの米国株下落に伴い、市場参加者の不安心理を映すとされるVIX指数が上昇。一方、主要企業の1‐3月期決算は事前予想ほどには悪くない内容で、超大型成長企業の株価は決算発表後に上昇。
- 米企業業績は今年終盤から来年初めにかけて拡大の見通し。目先は米中貿易交渉をめぐる思惑に振らされるとみられるものの、業績回復見通しが今後の米国株式市場を下支えすると思われる。
米国株下落に伴いVIX指数が上昇
年初来おおむね堅調に推移してきた米国株式市場が、足もとで波乱含みの動きとなっています。
大手企業の市場予想を上回る決算などを背景に、4月23日にダウ・ジョーンズ工業株価平均(NYダウ)がおよそ7カ月ぶりの水準を回復した後、5月上旬にかけてはS&P500種指数やナスダック総合指数が相次いで過去最高値を更新しました。
しかし、その後、5日にトランプ米大統領が米中貿易交渉の長期化に不満を示し、中国からの輸入品に対する関税を25%へ引き上げる方針に言及したことを受けて、6日以降の米国株式市場では株価下落に伴い、S&P500種指数のオプションから算出された変動性(ボラティリティ)で、市場参加者の不安心理を映すとされるVIX指数の上昇がみられます。
【図表1】米株価指数の推移
※期間:2019年3月29日~2019年5月8日(日次)
米株価指数は2019年3月29日=100として指数化
出所:ブルームバーグ、ICE Data IndicesのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
主要企業の決算は事前の予想ほどには悪くない内容か
一方、米主要企業の1‐3月期決算は、S&P500種指数採用企業の業績変化率が前年同期比+1.2%(5月7日現在、リフィニティブの集計。)と推計されています。4月初めの時点ではおよそ3年ぶりに減益とみられていたことから、今回の決算発表は事前の予想ほどには悪くない内容といえます。
特に、同指数採用企業の利益全体に占める割合の高い情報技術や通信サービスといったセクターで市場予想を上回る決算が相次ぎ、フェイスブックやアマゾン・ドット・コム、アップルといった時価総額で上位に名を連ねる超大型成長企業の株価は決算発表後に上昇しました。
また、これら企業を含む10銘柄で構成されるNYSEFANG+インデックスのパフォーマンスは4月以降、NYダウやS&P500種指数を上回っています。
【図表2】米企業業績推計の推移
※期間:2019年4月1日~2019年5月7日(日次)
業績推計は2019年1-3月期について
出所:リフィニティブのデータをもとにアセットマネジメントOne作成
業績は今年終盤から来年初めにかけて拡大見通し
今後の業績については、7‐9月期にかけて前年同期比の伸びは1桁台前半にとどまると予想されていますが、10‐12月期から2020年1‐3月期にかけておおよそ10%前後に拡大する見通しです。
目先は米中貿易交渉をめぐる思惑に振らされるとみられるものの、こうした業績回復見通しが今後の米国株式市場を下支えすると思われます。
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