元始、投資信託はアクティブであった……。市場平均への連動を目指すインデックスファンドが全盛の今、あえてアクティブファンドに注目する短期集中連載。第4回は、アクティブファンドの肝である「銘柄選択」について掘り下げていきます。

【第3回】すぐれた企業を選んで投資すれば、社会が良くなる

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あえて業界トップではない企業を選ぶ

ある投資信託の運用レポートに書かれていた文章を紹介します。

P&Gが素晴らしい高収益企業であり、長期投資にも適していることは言うまでもないのですが、P&Gという巨人に投資してしまうとインデックス投資に近くなってしまいます。我々のようなアクティブファンドはP&Gに勝てる企業を見つける必要があるのです。

数々の消費財メーカーがプレゼンテーションをおこなう中で、ひときわ目を引いたのが当社でした。規模では競合に大きく劣後しますが、P&Gなどの巨人相手に勝てる場所(セグメント)を選択し、柔軟に事業ポートフォリオを変化させていく当社の事業選定能力と適応能力の高さは目を見張るものがありました。小さくて動きが速いことを活かし、遊撃隊としてメジャープレーヤーに果敢に攻め込んでいくその姿は、旧約聖書に出てくるダビデとゴリアテの戦いを想起させ、まさに巨人P&Gに勝てる企業を見つけた瞬間でした。

『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』の運用レポート(2020年7月14日発行)より抜粋。太字は筆者による

この投資信託の運用助言を行っているのが、先日のインタビュー記事でも紹介した農林中金バリューインベストメンツです。日本の資産運用会社でありながらスタッフがたびたび渡米し、アメリカ企業の個別銘柄を自社で調査しています。

株式投資は構造的に強靭な企業を選別する必要がある

上記のレポートで語られている「当社」とは、チャーチ&ドワイトというアメリカの日用品メーカー。日本語版のウィキペディアの項目もない、日本人にとってはほとんど無名のこの会社に、『農林中金<パートナーズ>長期厳選投資 おおぶね』は2013年から投資し続けているそうです。
2020年6月末時点では、同社の株式がファンドの資産の4.7%を占めており、組み入れ比率はファンド全体の第7位に相当します。

世界屈指の優良企業とみなされているP&Gではなく、今後の伸びしろに期待して、あえて業界のトップではない企業を選んで厚く投資するところに、アクティブファンドの「生き様」を感じました。

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どんな「目利き」をしているかを確認する

本連載の第1回で、「アクティブファンドがどれだけ利益を上げられるかは、プロの『目利き』にかかっている」と書きました。

アクティブファンドの利益は「目利き」で決まる

私たちがアクティブファンドを選ぶときには、過去の運用実績を確認することはもちろん、以下の点も押さえておきたいところです。

・どんな「目利き」をしているか?(レストランにたとえると……)

銘柄選びの基準(レシピ)
→銘柄選びの根拠となる、資産運用会社の調査体制(料理人)
ファンドが実際に投資している銘柄とその理由(メニュー)

・その「目利き」を信頼できるか?

運用担当者の方針や運用哲学、人となり

「運用担当者の目利きの結果が運用実績なのだから、騰落率やシャープレシオ(収益と価格変動の大きさの比率。投資効率を測る指標)の数字だけ見ればいいのではないか」と思われるかもしれませんが、過去の成績が今後も続く保証はありません。たとえ今は好調でも、1年後には日経平均株価を大きく下回る成績まで落ち込んでしまうこともありえます。

そのような事態をなるべく避けるために、銘柄選択がどのようなプロセスで行われているかを、あらかじめ確認しておくことが大切です。そのためにぜひ確認しておきたいのが、投資信託の運用報告書(運用レポート)と、投資信託説明書(交付目論見書)、そして資産運用会社のホームページです。

スマホで調べる
アクティブファンドを買う前に、ファンドのレポートやホームページで運用の中身を確認することが大切

投資信託の資産運用会社は、将来の資産形成のために大切なお金を預ける相手です。だからこそ、より大きな利益を生む企業を発掘できる運用会社、大きな利益を生む力を秘めたアクティブファンドを選びたいですよね。

次回はアクティブファンドを選ぶときのポイントについて、さらに詳しく見ていきます。