地球温暖化により水の供給量は徐々に減少

それに対して水の供給量は、地球温暖化が影響して徐々に減少しつつあります。

温暖化によってもたらされる異常気象は干ばつや熱波を引き起こし、地上では渇水状態が長く続いている地域が増えています、オーストラリアは近年、何度も干ばつに襲われています。

温暖化はハリケーンや集中豪雨などの異常な天候の原因となっています。豪雨は水の供給面にとってありがたいようにも思われますが、実際にはハリケーンによって洪水や土砂崩れが発生しやすくなり、森林の生態系が破壊されてその地域が備えていた保水力が損なわれます。

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乾季が長期化していることで山火事も頻繁に発生して、これに干ばつや熱波も山火事の原因として加わります。山火事が起こると森林が広範囲にわたって消失し、ここでも保水力が失われて鉄砲水などが起こりやすくなります。温暖化によって気温が高くなれば、農作物はより多くの水が必要となります。工場での冷却水も同様に増加します。

世界中で水の需要が増加し、同時に供給が減少しつつある状況が続く結果、2050年には世界中の少なくとも40%を超える人々の間で、水に関するストレスが高まることが予想されています。

「水ストレス」とは、水の需給関係がひっ迫している状態を指します。「一人当たりの最大利用可能な水資源量」をひとつの目安に用いた場合、この数値が1700立方メートルに満たないと「水ストレス下にある」、1000立方メートルに満たないと「水不足にある」と判断されます。

一人当たりの利用可能な水資源量が1000立方メートルに満たない「水不足」の状態にある人は、20世紀初めは世界人口の2%と見られていました。それが1960年には9%に達し、2005年には35%に届いたという報告もあるほどです。

トラリピインタビュー

もともと降水量の少ない砂漠地帯では、水に関するストレスが高くなる傾向があります。それが人口の増加と経済発展により、水の利用量が急激に増大しているため、水ストレスに直面する地域が急速に拡大しています。

しかも水危機は発展途上国だけの問題ではありません。中国やインドのような、世界の主要な貿易相手国であり、世界経済の原動力となっている国々において、すでに水不足に直面しつつあります。

世界ではすでに6億人の人たちがすでに水不足に陥っており、15億人、世界の20%がなんらかの形で影響を受けているとされています。水を巡る危機の第一段階はすでに始まっており、最終的には地球の6割が水不足の状態に姿を変えてしまうと危惧されています。

水不足を解決する「海水淡水化プロジェクト」

ひとたび水不足に陥ると影響はその地域に長期にわたって及びます。水の使用を減らすと同時に、新たに水を造り出すことも必要です。ひとつの方法が海水を真水に変える海水淡水化プロジェクトです。

地球の水の97.5%は海水として存在しています。海水を真水に変えることができれば水不足に悩む必要はなくなりますが、この解決法はコストが高く、水の消費量のすべてを海水の淡水化で置き換えることは現実的ではありません。

中東、北アフリカ、中国、インドなど、水が非常に貴重な地域、最も必要とされる地域、水ストレスが高い地域では海水の淡水化が生きてくることになります。

海水を淡水に変えるには、蒸発式と逆浸透膜式があります。前者は海水を蒸発させて水蒸気を冷やして真水を得る方法で、多くのエネルギーが必要になります。後者はフィルターで海水をろ過する方法で、エネルギーは少なくて済みますが、設備に多くの費用がかかります。

東レ(3402)、日東電工(6988)、東洋紡(3101)の逆浸透膜が海水をろ過する際に欠かせないフィルターとして世界中で使用されています。

海水淡水化市場は4兆円規模と見られています。このほかに水に関連する市場には上水事業で38兆円、下水事業で35兆円、工業用水6兆円、再利用水2兆円があると見られます。水処理セラミック膜ろ過装置のクボタ(6326)、衛生トイレのTOTO(5332)、水処理に欠かせないポンプの荏原(5631)、水処理装置、薬品の栗田工業(6370)などが注目されそうです。

日東電工(6988)/クボタ(6326)月足、2008年~
栗田工業(6370)/荏原(6361)月足、2008年~

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