ビットコインのETFがあることをご存知でしょうか。今年に入り世界で初めてカナダでビットコインETFが上場承認されたことで、今後のビットコインの値動きに注目が集まっています。もしかすると、これからビットコインは投資対象としてより身近になるかもしれません。ビットコインETFの歴史と、今後に期待することをまとめました。

  • 2021年2月、ビットコインのETFがカナダのトロント証券取引所に初上場
  • 外資系資産運用会社は、ビットコインを保有できるファンドを立ち上げ
  • 今後、米国証券取引所にも上場されるか? 取引量の増加に期待が集まる

証券市場でビットコインETFが取引できる時代に

2021年2月、ビットコインのETFが初上場!

2021年4月、代表的な仮想通貨(暗号資産)であるビットコインの価格が、一時1ビットコイン=700万円を突破しました。1年前の2020年4月中旬には75万円前後でしたから、1年間で9倍以上の値上がりとなりました。

そんなビットコインがETFになる日を想像したことがあるでしょうか。2021年2月、世界で初めてカナダにビットコインを投資対象としたETFが上場し、仮想通貨ファンの間で大きな話題となりました。

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カナダのトロント証券取引所に上場した「パーパス・ビットコインETF」(銘柄コード:BTCC)は上場後2日の売買代金が4億ドル(約440億円)に接近し、上場の滑り出しとなりました。4月には同ETFの残高が10億ドル(約1100億円)を超えるなど、ビットコインETFの市場は着実に拡大しているようです。

【図表】パーパス・ビットコインETFの価格推移
パーパス・ビットコインETFの価格推移

さらに4月15日には、同じくトロント証券取引所に「インバース型」のビットコインETFが上場しました。インバース型とは、もとの資産と反対方向の値動きになるよう設計された商品のことで、ビットコインの価格が下がるときに、インバース型のETFの価格が上がるという仕組みです。

2021年4月現在もビットコインのETFが取引されているのは、世界でトロント証券取引所だけです。

ETFとは証券取引所で取引できる上場投資信託のことで、ビットコインのETFが上場したということは、証券市場を通してビットコインに投資できるようになったことを指します。カナダで初めて上場承認されたビットコインETFですが、今後世界に広まっていくのか、ビットコインの値動きにどのような影響を与えるのか詳しく読み解いてみましょう。

ビットコインETFができるまでの経緯

2017年にビットコイン先物が上場したときには、ビットコインETFが上場する日も近いという見方が大きくなっていました。しかし、2021年4月現在に至るまで、カナダのトロント証券取引所のみでビットコインETFは取引されている状況です。

ビットコインは価格の変動が激しく、価値の算定も従来の理論からすると難しいため、安定的な資産運用が求められる年金基金や保険会社などの機関投資家は、これまで積極的にビットコインに手を出すことはしませんでした。また、証券取引所を管轄する金融当局もビットコインの安定性や流動性に懐疑的な立場をとっており、世界中のほとんどの取引所では上場承認まで至っていないのが現状です。

しかし、アメリカの大手金融機関ゴールドマン・サックスがビットコインの先物に再参入したり、同じくモルガン・スタンレーが富裕層向けにビットコインを保有できるファンドを立ち上げるなど、新たな動きも出てきています。近い将来、別のビットコインETFが上場する日も来るかもしれません。

トロント証券取引所
現在、ビットコインETFはカナダのトロント証券取引所のみで取引されている

仮想通貨市場の起爆剤になれるか?

ビットコインETFがビットコインの値動きに与える影響

ビットコインETFが上場すれば、多くの投資家にとってビットコインがより身近な投資材料になります。ETFであればビットコインが組み込まれたファンドに気軽に投資できるため、ETFを通してビットコインに投資する人が増えると考えられるからです。

結果としてビットコインの取引量が増えて、ビットコインを含む仮想通貨マーケット全体にとっての起爆剤になるのではと期待する声があります。また、ビットコインがETFになると金融資産として証券市場で取引できることになるので、これまで手を出してこなかった機関投資家もビットコインを資産として保有する可能性があります。

機関投資家がマーケットに与える影響は非常に大きく、そうなればビットコインの価格が現在のように乱高下せず、一定の水準を維持できると期待されているのです。

ビットコインETFの今後

米国市場ではこれまで何度か上場申請が行われてきたものの、いずれも上場までには至っていません。しかし、今年に入ってカナダで上場承認されたこともあって米国市場でのビットコインETFの上場に期待が高まっています。

米国の証券取引市場に上場されれば、日本からもビットコインETFの購入が可能になるかもしれません。通常のETF同様、ネット証券などを利用して取引ができるようになることが期待されます。ビットコインETFが上場することになれば、私たちにとってもビットコインが身近な存在になります。今後、米国での上場の知らせを待ちたいところです。

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