豊かな人生とは何をもって言うか、その指標はお金だけでしょうか? ビジネスを成功させた人に聞くと「人に恵まれた」エピソードが必ず語られます。コロナ禍を体験し、先が見えない世の中だからこそ「人と繋がる」ことの大切さが身に沁みます。“人”という字が支え合っているように、人と出会って何を学んでいくかは、人生において大切な自己投資になります。この連載では、専門知識や経験に秀でたスペシャリストの視点で、豊かな生き方の極意を語ってもらいます。第9回のテーマは、ライフラインに欠かせない水に関わるお仕事を手がけている小松智子さんにお話を伺いました(聞き手=さらだたまこ)。

小松智子さんの写真
小松智子(こまつともこ)さん
信託銀行系投資顧問会社に総合職入社、マクロ調査に従事後、代表取締役の夫とともに取締役として小松建設工事株式会社を経営。上下水道工事に長年携わって来たことを背景に、「水の可能性」を信じて「人体被害」「環境汚染」を避けた製品を形にしたいという強い思いから、経営革新事業としてGBW(グリーンバブルウォーター)の製造を開始、販売は子会社のケーアンドエス株式会社にて行う。仕事の傍ら、立教大学大学院ビジネスデザイン研究科にて経営管理学(MBA)修了(2017年)。現在、同大学院博士課程後期にて「女性の事業承継」を始めファミリー企業に関する研究を続ける。プライベートでは、一男一女の母。

意識改革がもたらす水の新規事業

コロナ禍の2度目の夏は、感染の威力も増して、コロナ収束の兆しは遠きばかりか、誰もが予断を許されない状況です。感染拡大を防止するには、初心に戻って、三密を避けて、不織布マスクをつける、手洗い・うがいの徹底、身辺の清潔・除菌をしっかり心がけ、免疫力を上げる規則正しい日常生活を守っていくしかないと思います。
それは本当に大変です。

とはいえ……1年半を超える「新しい生活様式withコロナ」を送ることで、意識や認識が変わったことも沢山あります。
それは日々の生活の中で、見落としていたものの価値観です。
昨年は、マスクやトイレットペーパー、ハンドソープや消毒用アルコールが暫くの間店頭から消えて、あらためて数カ月の日常品備蓄が必要なことを再認識しました。

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同様にライフラインの大切さも身にしみます。
豊かになった日本では、ライフラインが断たれるという経験をあまりしなくなっていたのですが、近年、日本各地がゲリラ豪雨に見舞われて、今夏も断水、停電、そしてガスの供給停止も起こり、日常生活が脅かされました。

そこで、この企画でもライフラインやそれを構成するものを再認識し、スペシャリストの方々からお話を聞いていこうと思います。
その第1弾として、今回は「水のスペシャリスト」、小松智子さんにお話を伺います。

小松さんがご主人と経営する会社は、建築工事や東京都内の上下水道の耐震配管工事を主に請け負ってきた歴史があり、世間によく知られ、東京土産としても人気がある「東京の美味しい水」を供給する仕事の一翼を担っています。

小松さんは「地球は《水の惑星》と呼ばれ、人間もある意味《水でできている生き物》であり、水無しでは存在できない。だからこそ、水を知って、水を大切に使い、水の可能性を活用することは、人類にも地球にも大切な持続化の鍵になります」といいます。

そして、小松さんの会社はコロナ禍の中で、水の可能性を活用した新規事業を展開しています。

地球と水
水の可能性を活用することは、人類にも地球にも大切な持続化の鍵

都市のインフラから家庭に視点を変えてみたら?

上水道の配管工事というダイナミックな仕事を長く手がけてきた小松さんの会社が新たに手がけるのは、家庭で使う《洗浄水》の商品開発でした。

コロナ禍の日常生活では、洗浄水に高い除菌効果が期待されています。
小松さんは「上水道の整備に関わり、家庭に飲料水を供給してきた立場から、家庭で安心して使える洗浄水も自分達の手で開発したいという気持ちが強くありまして」と、新しい洗浄水の商品開発を思い立った経緯を話してくれました。

そこには会社を経営する一方で、家庭をマネジメントする主婦であり、母でもある小松さんの冴えた視点があったのです。

主婦の冴えたひらめき
家庭をマネジメントする主婦であり、母でもある小松さんの冴えた視点が新たな事業を生み出した(写真はイメージです)

筆者もwithコロナの生活になってからは、「安心・安全」「環境にやさしい」という視点でものを選んだり、行動する意識が高まってきました。
なので、部屋の掃除も石油由来の合成界面活性剤の洗剤とは一線を画し、きれいな水から生まれた洗浄水には、とりわけ関心をもっていました。
洗浄水は、無色無臭で、洗剤やアルコールと違って刺激もなく、汚れだけでなく、除菌・消臭効果も期待できて、まさにコレ1本でキッチンから洗面、リビング、寝室……までと、至る所の掃除ができるので、なにかと重宝しています。

そんな中で小松さんの会社が開発したGBW(グリーンバブルウォーター)に出会ったとき、「えっ!」と驚いてしまいました。
それは、『野菜や果物が洗える』『歯ブラシの除菌ができる』といった情報が、トリセツから目に飛び込んできたからです。

コロナウイルスが変異して感染力が高まってきたので、日常生活で、除菌に関してはさらに神経質になっていたときに、野菜・果物や歯ブラシの洗浄・除菌という文言が刺さったのです。
そもそも野菜や果物に付着している農薬、それから歯ブラシにこびりついている雑菌なども気になっていました。
強力な洗剤で洗いたいけど、すすぐのが大変なので、野菜・果物は皮を厚めにむいたり、歯ブラシは旅館の使い捨てのように毎日取り替えて……。

でも、洗浄水のスグレモノがあれば、野菜・果物は皮ごと栄養まるごと食べられるし、歯ブラシも高級なものを1本長く使えるわけだし、かえってお得!
そうそう、まな板も熱湯消毒だけではちょっと不安だったので、合わせ技で使っています。

野菜を洗う水
安全な洗浄水なら、野菜・果物は皮ごと食べられる

もっとも「あくまで洗浄水ですから、飲料用ではありませんので、その点は容器のラベルに注意書きしてあります」と小松さんはいいます。
「肌がデリケートな方は手袋使用をお願いしていますが、GBWは99.9%の純水なので、手肌にやさしく、舐めても安全なので、口にする食器や手肌に触れる様々な日用品にも安心して使えるように開発された商品です」とのこと。

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