「老後の資産形成のためにiDeCo(個人型確定拠出年金)を始めたけど、転職することになったらどうなるの?」。今すぐに転職の予定がなくてもそう疑問に感じる人は多いでしょう。多くの場合、iDeCoをそのまま続けられますが、加入者資格喪失の手続きが必要なケースもあります。転職したときのiDeCoの扱いをパターン別にまとめました。
- 引き続きiDeCoに加入するケースと、その他手続きが発生するケースがある
- iDeCoの継続や移管手続きのほか、それぞれのケースに応じた事務手続きが必要
転職したらiDeCoは使えなくなってしまうのでしょうか? 実際は多くの場合、継続してiDeCoの加入が可能です。引き続きiDeCoに加入するケースと、その他手続きが発生するケースを分けてまとめました。
引き続きiDeCoに加入するケース
転職先で企業型確定拠出年金に加入するが、iDeCoへの同時加入が認められている場合
この場合は、iDeCoの加入者として掛け金の拠出を続けることができます。「加入者登録事業所変更届」と転職先企業が発行する「事業主証明書」を金融機関に提出しましょう。
なお、転職したことにより拠出額の上限が変わり、拠出額を変更したい場合には「加入者登録事業所変更届」を提出する必要があります。
転職先で、企業型確定拠出年金に加入しない人
転職先企業で企業型確定拠出年金に加入しない場合にはそのままiDeCoの掛け金拠出を続けられます。その場合は、金融機関に「加入者登録事業所変更届」と、転職先企業が発行する「事業主証明書」の提出が必要です。
今後iDeCoで掛け金の拠出を希望しない場合は、金融機関に「資格喪失届」を提出して今後は「運用指図者」として運用の指示だけを出すこともできます。
国民年金第1号被保険者(自営業者等)になった人
自営業者になった場合は引き続きiDeCoに加入が可能ですが、国民年金保険料に滞納がないことや免除を受けていないことなどの条件を満たす必要があります。自営業者の場合、毎月の掛け金拠出の上限額は国民年金基金とあわせて6万8000円までです。
iDeCoの加入を継続する場合は「加入者登録事業所変更届」を金融機関に提出する必要があります。
国民年金第3号被保険者(専業主婦等)になった人
専業主婦・専業主夫もiDeCoに加入できます。毎月の掛金拠出の上限額は2万3000円になります。継続する場合は、「被保険者種別変更届」を金融機関に提出しましょう。
その他手続きが発生するケース
転職先で企業型確定拠出年金に加入する人は、iDeCoの資産を移管することが可能です。その場合はiDeCoの加入者資格を喪失することになるため、「加入者資格喪失届」を金融機関に提出する必要があります。
転職前にiDeCoに加入していて転職先企業に確定給付企業年金がある人は、個人別管理資産(iDeCoの資産)を受け入れ可能という内容が確定給付企業年金の規約にある場合に限り、転職先の確定給付企業年金に移管が可能です。規約については、転職先の企業年金担当部署に確認してみましょう。
必要な手続きはそれぞれ異なる
ここまでご紹介してきた手続きはiDeCoの継続や移管に関するものですが、その他にも国民保険の被保険者種別の変更など、それぞれのケースに応じた事務手続きが必要です。具体的な手続きは転職先の担当部署や金融機関のiDeCoコールセンターに問い合わせるか、iDeCo公式サイトで確認して手続きに漏れがないようにしましょう。
加入資格の状況に変更があった場合の手続きについて、iDeCo公式サイトにくわしくまとめられています。参考にしてください。