インフレと聞くとバブル期の好景気をイメージしがちですが、実は不景気でもインフレが起きる場合があります。現在の日本は必ずしも景気がいいわけではないにもかかわらず、実質的に物価が上昇する「悪いインフレ」に入りかけているという見方もあるようです。資産形成でインフレに備えるためには、どんな金融資産を選べばいいのでしょうか?

  • 良いインフレは需要が供給を上回り企業の利益が増加する状態
  • 今の日本は、不景気なのに物価が上昇する悪いインフレに陥っている可能性がある
  • インフレに強い資産は、株、不動産や金などの現物資産、外貨が代表的

良いインフレ、悪いインフレとは?

インフレには良いインフレと悪いインフレの2種類があります。
良いインフレとは、経済が活発に動いていて需要が供給を上回っている状態です。需要が増えて供給が追いつかないと自然に物価も上がっていくため、商品やサービスの価格が上昇し企業の利益が増加していきます

また、企業の業績が良いと従業員の給与も上がるため、購買意欲が増してさらに消費が活発になるのが良いインフレの特徴です。良いインフレの最中ではモノやサービスの価格が目に見えて上がっていくのがわかるため、値上がりする前に早めに買おうという心理がはたらき、さらに消費が活発化します。

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一方で悪いインフレとは、景気がよいからではなく、原材料や輸送費の高騰などを理由に物価が上昇することをいいます。為替の変動による輸入コストの増加や国際的な需給関係の変動により起こるとされており、今の日本は悪いインフレに陥っているという見方が強いです。2022年4月から値上げされる「うまい棒」は、まさに原材料の高騰が値上げの要因だそうです。主な原料である米国産のとうもろこしと植物油脂の価格が上昇しているからです。

悪いインフレでは需要が伴わずに物価が上昇するので、さらにモノやサービスが売れなくなり、企業の業績は悪化します。さらに、こうした環境では従業員の給与も増えないので、物価が上がったぶん実質的な所得が減少し、生活はどんどん苦しくなっていくのです。

日本のインフレは加速するのか?

将来的に日本のインフレが加速する可能性はあるのでしょうか? 気になるインフレリスクについて見ていきましょう。

2022年の現在、日本では税収が減少する一方、コロナ対策予算が国債の発行に依存している状態です。国債の流通量が増えれば普通は長期金利が上昇しますが、現在の日本では日銀が国債をはじめ、有価証券を大量に購入して株式市場を買い支えています。それもあり金利が上昇することもなく、日銀が抱えるリスクはどんどん大きくなっています。

日銀の財務内容が悪化しすぎると日銀が発行する日本銀行券(日本円)の信用がなくなり、価値が落ちてしまうリスクが懸念されています。現在の日本の財政悪化は、もはやインフレでしか解決できない状況になっているともいわれているため、個人も将来のインフレ懸念に対し、早めに対策をしておくことが大切です。

日本銀行が抱えるリスク
大量の有価証券を買い支える日本銀行。抱えるリスクはますます大きくなっている

インフレに強いのはこの3つ!

インフレ対策に強みを発揮する3つの資産を紹介します。

1. 株式などの有価証券

インフレに強い資産としてまず検討されるのが株式などの有価証券です。
株式は企業の業績を反映したものなので、インフレ下ではモノやサービスの単価が上昇し、それに伴って収益も伸びます。そのため、インフレ中でも株価が上がり、資産価値が目減りしません。オーソドックスな対策をとるなら、インデックス型の投資信託を積立投資するのがシンプルで取り組みやすいでしょう。

2. 不動産や金地金などの現物資産

不動産や金地金などの現物資産はインフレ下にあっても価値が下落しません。現物資産を保有するのはインフレ対策として、手堅い選択肢だといえるでしょう。特に金地金は、どのような環境でも価値が変わらない安全資産として共通認識があります。そのため、インフレなど経済が不安定な局面で買われる傾向があり、価格も上昇する可能性が高いためインフレ対策資産として有力な選択肢になります。

金地金のバー
金地金は安全資産としての価値は、インフレ時にも発揮される

3. 外貨

日本でインフレが起こると相対的に日本円の価値が下がります。こうした際に、外貨建ての資産を保有していれば、インフレの影響を乗り切ることが可能です。円資産しか持っていない方は、外貨建ての資産を取り入れてみてはいかがでしょうか。

インフレに強い資産の代表=株は本当か?

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