健康に関する心配事が発生した場合、すぐに大きな病院で見てもらって安心したくなるかもしれません。しかし、まずはかかりつけ医へかかった方が、医療費の軽減につながるかもしれないことをご存知でしょうか。

  • 紹介状なしで大病院を受診すると初診・再診を問わず特別料金がかかる
  • 選定療養費は健康保険が適用されず、全額自己負担になる
  • 病気の初期症状の診察などは、まずはかかりつけ医で見てもらうのが安心

大病院での紹介状なしの受診には特別料金がかかる場合がある

紹介状なしで大きな病院を受診すると、初診・再診いずれの場合も特別料金が追加でかかります。

通常、病院で初診を受けた場合には、初診料+診療を受けた総額に健康保険が適用され、数百円~数千円が自己負担金額になります。一定規模以上の医療機関は紹介状なしで受診をした場合、これらの費用とは別に、一定額の費用徴収を法律で義務付けられています。この特別料金のことを「選定療養費」と言います。

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選定療養費の徴収を義務付けられているのは、高度な医療技術を用いた治療を行う「特定機能病院」や、病床が400床以上ある地域医療支援病院です。徴収される金額は病院ごとに異なりますが、初診の場合は5,000円以上(歯科の場合は3,000円以上)、再診の場合は2,500円以上(歯科の場合は1,500円以上)と定められています。また、病床が200床以上の病院についても、それぞれの病院が設定した金額の選定療養費がかかります 。

ただし、以下のような場合は選定療養費がかからないとされています。

  • 他の医療機関からの紹介状がある場合
  • 救急搬送された場合
  • 生活保護による医療費扶助を受けている場合
  • 労災や交通事故などでの受診をした場合
  • 同じ病院の別の診療科に通院中の場合
  • 特定健康診査、がん検診で「要精密検査」「要治療」になり、医療機関を受診するよう指示があった場合

など(詳細は病院のウェブサイトで必ずご確認ください)。

選定療養費には健康保険が適用されず、全額自己負担になるので、医療費負担も大きくなってしまいます。また、今後の診療報酬改定内容次第では、さらに選定療養費の金額が大きくなることもあるでしょう。ただでさえ医療費が必要な状況で、費用負担が増えるのは避けたいところです。

紹介状を書いてもらうのにも費用はかかりますが、こちらは健康保険が適用されるので、直接大きな病院へ行くよりも負担が抑えられるでしょう。

大きな病院と小さな病院の機能分担を推進する目的で導入されている

選定療養費が導入されているのには、病院の規模に応じた機能分担を推進する目的があります。

より高度な医療を提供する大きな病院を受診すれば、健康面での安心感を得られるかもしれません。しかし、自己判断では適切な診療科を選ぶことが難しいことも多いでしょう。また、大きな病院に人が集中することで待ち時間の長時間化や、本当に必要な人が医療を受けられない可能性なども厚生労働省の審議会では指摘されています。

こうした状況を改善するため、病気の初期症状などの診察は地域の診療所などが担い、必要に応じて大きな病院の適切な診療科で高度な医療を受けられるように紹介を行う、といった流れを作る目的で選定療養費が導入され始めました。

相談しやすいかかりつけ医を見つけておくと安心が得られる

健康診断の結果や日常生活の中で感じた自覚症状など、健康面で不安を感じることも少なくないでしょう。そうしたことを相談しやすく、そしてわかりやすい説明をしてくれるかかりつけ医を見つけておくことで、安心感ともしもの時にも適切な治療をすぐに受けられる態勢が整えられるかもしれません。

かかりつけ医のイメージ
日常生活で感じた健康面の不安などを気軽に相談できるかかりつけ医がいると安心

予約のしやすさや、通いやすさなど、かかりつけ医を探すポイントは様々です。厚生労働省では、かかりつけ医を探している人のために、地域の医師の情報を提供する取り組みも行っています。そうした情報のまとまった「上手な医療のかかりかた.jp」というサイトもありますので、参考にしてみてくださいね。

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