熟年世代の婚活は「自由」を求めること
婚活市場でもうひとつ、大きなマーケットになっているのが熟年の婚活。若い世代とはひと味もふた味も違う婚活が展開されているようです。
村田さんは「しあわせになるためにはふさわしい準備が必要」といいます。婚活はまさにしあわせになるための準備期間。
本来はたっぷり時間をかけてじっくり準備するべきことですが、若い世代は結婚後の妊活やその後の子育てプランも視野に入れると、タイムリミットがあります。
でも、人生100年時代の今となれば、熟年の婚活は若い頃にできなかった余裕をもって取り組むことができそうです。
村田さんがお世話をした熟年カップルに「私たちは、もう子どもを作って家族を増やすことはできないけど、人生の想い出はこれからたくさん作れるから」といわれたことが大変心に響き、「ご縁をとりもって本当によかった」といいます。
そして村田さんは「熟年世代が婚活を通じてしあわせになれることは、人生において本当の意味で、あらゆるしがらみから自由になることで、それができなければ結婚の意味がない」ともいいます。
深いなあと思いました。
ふと、筆者の同業で還暦を過ぎて数年間かけて婚活に時間を費やし、ついに「理想の伴侶」に出逢ってゴールインした女性が発した言葉を思い出しました。
彼女は「結婚して、初めて気がついたの。私はひとりでなんでもやってきたけど、これからはそれが半分になる、一緒に考えたたり悩んだり決断してくれる人が傍にいる。涙が出た」って。
これぞ、「自由になる」実感でしょうか。
長く独身を続けている筆者からみれば、結婚は「しがらみだらけ」のイメージでしたが、でも、しがらみを感じるのは不幸な結婚であって、しあわせを求める結婚は、しがらみからの解放、真に自由になれることなのだと。
そうであれば、しあわせになれないなら、結婚に踏み切る必要はないでしょう。
でも、しあわせになるということは最初からハッピーではないのです。村田さんの言葉を借りれば「結婚は人生最高の学びの場であり、試練を乗り越えながら、夫婦が互いの魅力と技量を高めることができる場所」だと。
熟年カップルであれば、婚活に時間をかけていろんな試練を乗り越えて、しあわせがMAXに達してから結婚しても遅くはない気もします。人生はまだまだ長いのですから。
ちなみに、「熟年層の婚活の最高年齢は?」と村田さんに聞いたら、「80代で元気に婚活している女性がいます」とのこと。
80代といっても、婚活に積極的な女性は「人生七掛け」でアクティブで気持ちも若いので、お見合いのお相手は60代の男性も名乗りをあげるほどモテモテなのだそうで……。
そういう話を聞くと、人生100年時代、熟年の婚活はロング&ビッグプロジェクトだと思えてきます。「そうですよ、結婚は起業と似ています。長い将来を見据えて、こんなに面白くてやり甲斐のあるビッグプロジェクトは他にはありませんよ」と村田さん。
そういえば、筆者の大先輩で、若い頃はラジオ番組の放送作家や新聞広告のコピーライターの黎明期に活動し、バブル期に世界を飛び回っていろんなキャリアを積んだ女性がいました。
彼女は早くに亡くなった旦那さんを偲んでその後ずっと独身で通していたけど、80歳の誕生日のお祝いの日に、70代、60代、50代の男友達からプロポーズされたのを見事断った“武勇伝”の持ち主でした。
本人の心がけ次第でモテ期に限界はないことは彼女が証明したので、希望が見えてきました。
筆者はプロフィールにあるように“パラサイトシングル”を標榜して何冊も関連の書籍を著しています。婚活の提言者の山田教授は、パラサイトシングルの提言者でもあります。20年前に山田教授と対談したときも、筆者が「将来いつどんな形で脱パラサイトシングルを成し遂げるかを興味深く見守る」という話になったことも思い出しました。
まずは、世話になった両親の老々介護を通じて脱パラサイトとなりましたが、このあとは、ロングプロジェクトとしての婚活を楽しもうかという気持ちにもなりました。
なので、焦って脱シングルは目指すのではなく! しあわせになるためにじっくり時間をかけて準備して、すべてのしがらみから自由になるように。そのための自己投資の時間と考えて、この先も前向きに生きて行こうと、そんな思いに至ったわけです。
村田弘子さんの著書
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