これから買う投資信託を選ぶときや、運用中の投資信託の良し悪しを測るときには、投資信託のパフォーマンスを示す指標を確認することが必要です。騰落率や分配金、シャープレシオなどの、投資信託の運用実績を示す代表的な指標について解説します。

  • お金がどれだけ増えたかを示す騰落率は投資信託の最重要指標。分配金も要チェック
  • ベンチマークで騰落率の優劣を判断。投資信託の運用効率を測るシャープレシオ
  • レーティング、リスクメジャーなどの指標も。ただし過去の実績は未来を保証しない

運用報告書や情報サイトで確認できる投資信託の指標

預貯金と違って、投資信託には値動きがあります。長い目で見れば期待される収益は預貯金より高いのですが、時期によっては値下がりして、元本を下回ってしまうこともあります。

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投資信託を選ぶときは、できるだけ収益が高く、なおかつ値下がりしにくいものを選びたいところ。短期的な値動きの大きさと、長期的に期待できる利益の大きさのバランスも、投資信託のパフォーマンスを示す重要な指標となります。

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ここでは、投資信託会社がホームページで公表している運用報告書や、投資信託を評価する情報サイトなどで確認できる、投資信託のパフォーマンスを示す指標について解説したいと思います。

投資信託の指標① 騰落率

投資信託選びは「騰落率」の確認を忘れずに!

騰落率とは、投資信託が一定の期間にどれくらい値動きしたかを示す数字です。例として、基準価額が10,000円の投資信託が、1年後に11,000円になり、その間に分配金を500円支払った場合には、合わせて1,500円のプラスとなるので、1年間の騰落率は+15%となります。

「期間内にどれだけお金が増えたか」を示す騰落率は、投資信託の最も重要な指標といってもいいでしょう。騰落率は投資対象によって大きく異なり、一般的には債券より株式の方が騰落率は大きくなります。

たとえば同じ日本株式を対象とする投資信託で、騰落率が高ければ、優れた運用をしていると判断できるかもしれません。ただし、比較する期間によって騰落率が逆転することもあるので、複数の投資信託で騰落率を比べる場合には注意が必要です。

投資信託の指標② 分配金

【徹底解説】投資信託の「分配金」の仕組みと注意点

分配金とは、投資信託の運用資産の一部を切り崩して投資家に支払うお金のことです。どれだけの頻度で、どのくらいの金額を支払うかは投資信託によって異なります。分配金を支払わない投資信託もあります。

投資信託の分配金は、よく預貯金の利息と比べられます。分配金と利息の大きな違いは、投資信託の分配金は投資元本を下回って払い出す場合があることです。つまり、投資家の手元に現金が入ってきても、投資信託の基準価額が元本を下回り、全体でも資産がマイナスになる場合もあるのです。したがって、単純に「分配金が高いファンドが良いファンド」とはならないのです。①騰落率と合わせて確認することが大切です。

分配金がある投資信託を検討する際は、分配金のメリットとデメリットを理解したうえで選びましょう。

投資信託の指標③ ベンチマーク

投資信託は対ベンチマークの成績に注目!

①騰落率は投資信託にとって最重要の指標ですが、騰落率の良し悪しを判断するためには、適切な比較対象が必要です。それが「ベンチマーク」です。

投資信託のベンチマークとは、投資信託を運用する際に指標とする基準のことです。通常は、株式であれば株価指数のように、市場全体の平均を示す指数が使われます。

たとえば、日本株に投資する投資信託の1年間の騰落率が+15%としましょう。騰落率だけ見ると、運用に成功したように見えます。しかし、もしこの1年間にTOPIXが20%上昇していたら……。この投資信託の運用は優れていると言えるでしょうか?

ベンチマークと比較することで、投資信託の実力を測ることができます。

投資信託の指標④ シャープレシオ

投資信託のシャープレシオとは? 使い方を解説

シャープレシオという指標は、上記①~③の指標と違って、投資信託会社のレポートに書かれていない場合がほとんどです。投信情報サイトなどで確認することになります。

投資信託のシャープレシオとは、「リスクに対してどれだけリターンを上げられたか」、つまり値動きの大きさに対して、期間内の騰落率がどのくらいだったかを示す指標です。投資信託の運用効率が高いか低いかを判断できます。

シャープレシオの数字が大きい投資信託は、「小さい値動き(=小さいリスク)で大きな値上がりを実現した」ことを示し、運用効率が高いファンドだといえます。

シャープレシオの数値は投資対象によって大きく異なるため、国内株式同士、外国債券同士など、同じ資産に投資する投資信託同士で比べることが大切です。

投資信託の指標⑤ レーティング

上記①~④は投資信託の実際の値動きや、支払われた分配金に基づく指標ですが、「レーティング」はこれらの指標をもとに、投資信託の評価会社が独自の基準でファンドごとの良し悪しを評価し、数値で表したものです。

最も有名なレーティングは、モーニングスター社が算出している「モーニングスターレーティング」です。過去の運用実績に基づいて投資信託を5段階で評価しており、★が5個のファンドは、同じカテゴリー(投資対象などの区分)で上位10%に入る優れたファンドという評価となります。

ほかに「リスクメジャー」「トラッキングエラー」などの指標も

上記①~⑤のほかにも、投資信託のパフォーマンスを図る指標があります。「リスクメジャー」は、投資信託の値動きの大きさを示す数値。「トラッキングエラー」は、ベンチマークである株価指数などへの連動を目指すインデックス型の投資信託が、ベンチマークの値動きとどのくらいかい離したかを示す数値です。

投資信託のレーティングって何?

投資信託の指標は過去のもの。未来は保証しない

投資信託の騰落率もシャープレシオも、これらの数値をもとにして算出したレーティングも、あくまで過去の実績に基づくものです。いくら今までのパフォーマンスが優れていたとしても、この先もそれが続くとは限りません。

もちろん、これまでパフォーマンスが相対的に高かった投資信託は、この先も同様に優れた運用を続ける可能性が高いと考えるのが自然です。それでも、未来を保証できないのが投資の世界です。

投資信託を運用する際には、これらの指標を参考にしながら定期的に運用実績を確認することが大切です。もしパフォーマンスが悪化していると感じたら、今後の投資先を変更したり、場合によっては売却して別の投資信託と入れ替えたりすることで、運用効率を高められるかもしれません。

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