世の中どこもかしこも恋愛だらけ。そういえば、ドラマも漫画も歌もアニメも、小さい時から周りで流行っていたものは、結構恋愛ジャンルが多めだったよなぁ……。正直、あんまり乗り切れなかったけど、無理やり合わせて興味のある振りをしてたっけ。いや、興味がないことはないけど、ちょっと過剰に押し付けられてる気がする。 結局、「よりたくさんからモテる」ことが人の魅力の評価に直結するなら、適当に恋愛やっとくか。
……なんて、みなさん。口には出さないだけで、同じ想いを抱く人は少なくないはず。人生において恋愛や結婚ってそこまで重要なのでしょうか? 今回は、他者に恋愛感情を抱かず、性的にも惹かれないセクシュアリティ『アロマンティック・アセクシュアル』を自認する、なかけんさんにお話を伺ってきました。(聞き手・文=ペリー)

なかけん

なかけんさん
『アロマンティック・アセクシュアル』というセクシュアリティを自認し、TVや講演会、セクシャリティ別交流会などで自身のセクシュアリティの正しい知識を広める活動をしている。
アセクシュアルにも多様な指向があるが、なかけんさんの場合“他者に対して恋愛感情を抱かず、かつ性的に惹かれることがない” というもの。
ゲイ、Xジェンダーなど、多種多様なセクシュアリティを持つ5人で構成される、YouTubeチャンネル「性性堂堂」でも活動中。
モットーは“真面目に楽しくセクシュアリティを語る”。
NHKノーナレで『恋愛圏外』という番組に出演の実績あり。
Twitter @naka_X_

アセクシュアルの領域では恋愛とセックスは別のもの

なかけんさんは、『アロマンティック・アセクシュアル』というセクシュアリティを自認されているとのこと。改めてなかけんさんのセクシュアリティについて、じっくりと教えていただけますか?

なかけん はい。 私のセクシュアリティは性的マイノリティの中でも、定義が難しいと言われることが多いです。

英語で言葉の意味を考えてみるとわかりやすいと思いますよ。
『アロマンティック・アセクシュアル』の英語表記は「Aromantic Asexual」。
まず、「Aromantic」とは“恋愛的に他者に惹かれない”ことを意味します。
一方で、「Asexual」は“性的に他者に惹かれない”こと
つまり、「Aromantic」と「asexual」の要素を組み合わせたものが、『アロマンティック・アセクシュアル(= Aromantic Asexual)』になるんです。

とすると……。『アロマンティック・アセクシュアル』は“他者に恋愛感情を抱かず、性的に惹かれることがない”という意味になるわけですね。なるほど。スッと頭に入ってきました!

なかけん 「Aromantic」と「Asexual」のそれぞれ頭につく「A」は打消しの意味を持っているんです。
「romantic」は“恋愛”、「sexual」は“性”という意味ですよね。

恋愛もセックスも必要としない……。『アロマンティック・アセクシュアル(= Aromantic Asexual)』の言語的な成り立ちがよく理解できました。

なかけん ちなみに、“他者に恋愛感情は抱くけれど、性的には惹かれない”という人は、『ロマンティック・アセクシュアル(=Romantic Asexual)』になります。
「romantic」は“恋愛”、「Asexual」は頭に「A」がついて“性”の意味合いを打ち消していますから。

とはいえ、これまでお伝えした多様な「アセクシュアル」の区分は、元々海外で広く使われている定義なんです。
日本では恋愛感情も性的欲求もない『アロマンティック・アセクシュアル』のことを、ざっくりと「アセクシュアル」とまとめて呼ぶこともあります。これは日本独自の文化ですね。

“誰に対しても恋愛感情を抱かず、性的に惹かれない”、もしくは“まだ自分の指向が分からない”という方もいらっしゃいますもんね。「アセクシュアル」の中でも事情はさまざまなようですね。

なかけん 日本でも使われることの多い”誰かに恋愛感情を抱かない、性的に惹かれることがない人”という定義だと、それ以外の「アセクシュアル」に近いと感じている人の居場所がなくなってしまう。

アロマンティックアセクシュアル

私は「アセクシュアル」の人たちを集めた交流会を行っているんですが、なるべく細かな言葉の定義にこだわらず、色々なセクシュアリティの人たちを受け入れようとこころがけています。
セクシュアリティが微妙に違っても、日常で感じる違和感や孤独感、ときには「あるある話」や愚痴なんかも共有することはできるんです。