投資信託には毎月や3カ月ごとなど定期的に分配金が払い出される投資信託が数多くあります。分配金が出ていると定期的に収益を受け取れるので、うれしくなる人も多いでしょう。しかし、たくさん分配金を出しているファンドの運用が上手くいっているかというと、必ずしもそうとは言い切れません。分配金を受け取ることによるデメリットもあるのです。本記事では分配金のメリットやデメリットについて解説します。

  • 分配金には「普通分配金」と「特別分配金(元本払戻金)」の2種類がある
  • 定期的に分配金を払い出すと、複利効果を期待できなくなる
  • 長期の資産運用を志向するのではあれば、定期分配の仕組みは不要

投資信託の分配金とは

投資信託の分配金とは、運用資産の一部を取り崩して投資家に還元するお金のことです。分配金が支払われると、投資信託の基準価額はその分だけ下がります。

分配金を出すか否かはもちろん、その金額や頻度については投資信託によって異なります。まったく同じ投資対象に投資しているファンドであっても、分配金を出しているものと出さないものがあります。分配金を出すファンドは「毎月分配型(毎月決算型)」や「年1回決算型」のように目安となる分配回数を示したコース名が付けられ、分配金を出さないコースは「資産成長型」と名付けられることが多いようです。

その場合、分配金が出ているファンドにするか、出ていないファンドにするかを選択することも、ファンド選びの重要なポイントのひとつになります。

分配金には2種類ある

分配金には2種類の分配金があり、税務上の取り扱いが異なります。

① 普通分配金

普通分配金とは、運用収益の中から支払われる分配金のことを指します。この場合、分配金を払い出しても基準価額が個別元本を下回ることはありません。個別元本とは、ファンドを購入した時の基準価額のことで、具体的な金額は投資家によって異なります。また、普通分配金は、配当所得として課税されます(NISAなど非課税口座で運用する場合は課税されない)。

② 特別分配金(元本払戻金)

特別分配金(元本払戻金)は文字通り、元本を払い出す分配金のことを言います。元本を払い出しているので課税対象にはなりませんが、分配後の基準価額は個別元本を下回ることになります。

普通分配金と特別分配金の違い

分配金を受け取るメリット・デメリット

投資信託の分配金は、そのまま現金で受け取るか、同じ投資信託に自動で再投資するかを、買うときに選ぶことになります。
分配金を受け取ることでどのようなメリット、デメリットがあるでしょうか。

分配金のメリット……投資の成果を実感できる

分配金を受け取るメリットは、投資の成果を定期的に実感できることです。きちんと利益が出ている投資信託であれば、毎月分配金を出していても、個別元本を下回ることなく運用を継続できるでしょう。

「分配金をもらって投資成果を実感したい」「一定の運用収益を取り崩しながら運用したい」という方にとっては、分配金の仕組みはメリットがあるといえるでしょう。分配金を現金で受け取るのは、これから資産を貯めていく必要がある若い世代よりも、現役時代に貯めたお金の寿命をなるべく先延ばししながら取り崩していく高齢世代のほうが、メリットを実感しやすいかもしれません。

分配金のデメリット……複利効果を得られない

一方、分配金のデメリットは、投資の複利効果を得られないことです。複利効果とは、投資によって得られたリターンを受け取らずに再投資することで投資元本が増えて、先々のリターンが雪だるま式に増えていく効果のことです。

毎年のリターン(騰落率)がそれほど高くなくても、分配金を受け取らずに長期で運用すれば、複利効果によって資産をより大きく成長させることが可能になります。

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例えば、年率リターンが4%の金融商品を20年間運用する場合、利益をすべて受け取ると資産は+80%で1.8倍になる計算ですが、利益を受け取らずに再投資すれば、複利効果で資産は約2.2倍になります(税金は考慮せず)。せっかく長期運用を実践できるのにも関わらず、いちいち収益を分配金として払い出してしまうのは、福利効果が得られず運用効率が悪いといえるでしょう。

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また、分配金を再投資することも可能ですが、分配金再投資はいったん受け取った分配金を再度投資する形になります。よって、普通分配金が出ている場合には、NISAなど非課税口座を使用していなければ、一度課税されて20.315%分を引かれてしまうため、再投資できるのは分配金の約80%分のみとなり、複利効果が薄れてしまいます。分配金を出さない「資産成長型」のコースが選べるのであれば、はじめから資産成長型を選ぶほうが運用効率はよくなるでしょう。

「分配金が多いファンド=いいファンド」とはいえない

複利効果を得られないこと以外にも、分配金を受け取る際には注意点があります。

認識しておきたいのが、「分配金が多いファンド=いいファンド」とは限らないということ。中には運用成果が伴っていないにも関わらず、無理して特別分配金(元本払戻金)を継続して出しているファンドもあります。

今回は分配金のメリットやデメリットについて解説しました。もしあなたが将来のために資産形成をしているのであれば、定期分配の仕組みはないほうがいいでしょう。定期分配型のファンドでメリットを得られるのは、投資信託などの運用で資産寿命を延ばしつつ、資産を定期的に取り崩すような運用を志向している方に限るでしょう。その場合も、ファンドによっては、分配金に個別元本の払い戻しが含まれる、つまり個別元本が減っている可能性があることを理解しているのが前提となります。

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