現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第18回は、ロボアドバイザーと呼ばれる資産形成サービスを提供するウェルスナビ(7342)を取り上げます。

  • ウェルスナビはロボアドバイザーと呼ばれる資産形成サービスを提供
  • サービスを10年以上利用したいと回答している投資家が6割を超えている
  • 株価は2021年5月高値から約3分の1。高成長を背景に戻りをうかがう

ウェルスナビはどんな会社?

ウェルスナビはロボアドバイザーと呼ばれる資産形成サービスを提供しています。ロボアドバイザーとは、AI(人工知能)により、投資家があらかじめ設定したリスクの許容度に応じて、最適な投資資産の配分や運用を自動で行ってくれるサービスです。俳優の沢村一樹さんを起用したテレビCMを目にされたことのある方もいらっしゃるかと思います。

ウェルスナビ株式会社のホームページ

水への投資 世界的に不可欠な資源への投資機会 BNPパリバ・アセットマネジメント

ウェルスナビは「働く世代の豊かな老後のために最先端のテクノロジーを活用し、世界水準の個人金融資産プラットフォームを築く」をミッションとしています。

創業者の柴山和久代表取締役は財務省で9年、コンサルティング大手のマッキンゼーで5年働き、金融の知識や経験を積みました。柴山氏はあるときアメリカ人の奥さんの実家に帰った時、奥さんの両親と日本人の柴山氏の両親の金融資産の間に10倍もの違いがあることに気が付き、衝撃を受けます。この大きな違いは奥さんのアメリカの両親は早くからアドバイザーによる資産運用を続けていたことによるものでした。

こうした体験もあり、柴山氏は働く世代が安心して利用できる資産運用サービスを日本で広めるため、2015年にウェルスナビを創業しました。

アメリカの家族
アメリカでは株式投資などで資産運用に励む家庭が日本より多い

ウェルスナビの強みは?

ウェルスナビの強みは、サービスの透明性と成長性です。

ウェルスナビのロボアドバイザーは資産の運用のアルゴリズムを公表しています。また、手数料をわかりやすく開示し、取引ごとの手数料はかかりません。サービスや運用アルゴリズムをさらにより良いものにするため、社員の約半数はエンジニアやデザイナーという人員構成とし、「ものづくりする金融機関」と銘打っています

その結果、前期の2021年12月末時点でのサービスの利用者である運用者数は31.7万人と前期末比で35%増加しています。また、預かり資産の残高は5182億円と同79%増の大きな伸びとなっています。

自社によるダイレクトのサービス提供のほか、ソニー銀行、イオン銀行、SBI証券、三菱UFJ銀行、auじぶん銀行など大手金融機関との提携によるサービス提供の両方のチャネルで投資家に門戸を開いて高い成長を見せています。

さらに、平均月次の解約率は1%以下と低く、サービスを10年以上利用したいと回答している投資家が6割を超えている点はユーザーの高い満足度が表れており、評価できます。

ウェルスナビの業績や株価は?

ウェルスナビの前期2021年12月期は営業収益が前期比85%増の46億円、営業損益が4.3億円の赤字でしたが、広告宣伝費を除いたベースの営業利益は14億円と前期比で9倍超の大きな伸びとなりました。TVCMやウェブ広告などによる投資家への認知度の向上や株式相場が海外株を中心に堅調だったこともあり、成長が続きました。

今期2022年12月期は営業収益が44%増の66億円、預かり資産の目標値は簿価ベースで50%増の7790億円と引き続き成長を予想しています。

4月22日の終値は1811円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約18万円です。

ウェルスナビ(7342)の株価(2021年1月~、月足、終値)
ウェルスナビの株価チャート

株式市場は資源インフレやウクライナ情勢などで年初から不透明な相場付きとなっていますが、若い世代から高齢者まで資産の運用ニーズはさらに増しています。また若年層や投資未経験者の投資リテラシーも年々高まっており、透明性やブランド力で一歩抜き出ているウェルスナビの資産運用サービスは今後も成長が見込まれます

株価は昨年からのグロース株売りの流れで2021年5月高値4740円からおよそ3分の1となっています。ただし2022年に入ってからは1300円台で底値固めをしたのち再度の戻りをうかがうチャートの形状になっていることもあり、チャンスは多そうです。

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