為替が円安に大きく動く中で、FX(外国為替証拠金取引)の取引金額が増え続けています。スマホアプリの「FXなび」は、為替やチャートなどの基礎知識を学びながらFXの取引を疑似体験できる投資初心者向けのアプリで、2022年5月末時点で約380万インストールと、FXに対する注目度の高さがうかがえます。アプリを開発したグリーンモンスターの広報担当、臼田琢美さんに「FXなび」の活用法や、新機能「STEP UP」についてお話をうかがいました。
資産の一部を外貨で運用して円安に備える
20年ぶりに1ドル=135円を突破するなど、為替市場が大きく動いています。その影響もあるのか、FXを利用する個人投資家も増えていて、一般社団法人金融先物取引協会の調査によると、今年の3月には、FXの取引金額が前月比で約66%増加しました。
先日は岸田文雄首相が「資産所得倍増プラン」を打ち出しました。これに対してはいろいろな意見や評価がありますが、現実として、円安や物価高が日本国民の生活を直撃しつつある今、余裕資金を預貯金のままで置いておくリスクは今後高まっていくのかもしれません。
私たちの生活を守るためには、為替変動やインフレに負けにくい資産運用の実践がますます重要になりそうです。具体的には「通貨の分散」、つまり日本株のような円建ての資産だけでなく、米ドルなど外貨建ての資産を持つことで、投資先の通貨が日本円に偏らないようにすることが求められます。
FXの取引金額が伸びている要因のひとつに、こうした背景もありそうです。FXの取引を疑似体験できるスマホアプリ「FXなび」を運営するグリーンモンスターの広報室長、臼田琢美さんは言います。
臼田さん ここ数年、各国は景気を良くするために金融緩和を打ち出し、その影響で金融マーケットは株式を中心に上昇が続きました。ところが、ここに来てアメリカを中心にインフレが進み、さらには国際情勢の悪化で資源価格が上昇するなど、状況が大きく変わりました。
アメリカの金融政策は緩和から引き締めへと移り、金利を上げてインフレ対策に乗り出しました。一方で日本は現時点でも低金利政策を続けていて、日米で金利のギャップが開いたことが円安ドル高の要因になっているようです。
お金を日本円だけで持っているより、ドルで持った方が有利な状況が顕在化しました。各国の金融政策を見ると、円安傾向は今後もしばらく続きそうな気配です。個人投資家がお金の一部をドルなどの外貨で持ちたいと考えたときに、FXは非常に使い勝手がよく、リーズナブルな金融商品だと考えています。
レバレッジをかけすぎなければFXは怖くない
FXに対しては「難しい」「怖い」というイメージが根強いのも事実です。ネットを少し調べれば、FXの失敗談がいくらでも見つかります。しかし、そのほとんどはFXや為替市場についての正しい知識がなく、過度なリスクを負ってしまった結果です。臼田さんは次のように指摘します。
臼田さん ドル/円のような先進国の為替レートは、株式のように急激に変動することはほとんどありません。企業は急に倒産することもありえますが、国の経済が一夜にして変わることはめったになく、為替レートの変化は一般的に株式と比べてゆるやかです。為替変動そのもののリスクは、そこまで大きいものではないのです。
ではなぜFXはハイリスクだと思われるのかといえば、それはレバレッジでしょうね。
FXでは、口座に入れた証拠金の最大25倍のお金を取引できます。この仕組みを「レバレッジ」と呼びます。例として、ドル/円が1ドル=100円のときにドルを買い、101円に上昇したときに売った場合を考えます。証拠金が1万円、レバレッジが1倍であれば、利益は1%、つまり100円です。レバレッジが25倍であれば、利益も25倍となり、1万円の元手(証拠金)で2500円を得られることになります。
もちろんドル/円が100円から99円に下がった場合には、レバレッジが25倍なら損失も25倍になります。1%のドル安で、元本が一気に4分の1も減ることになるわけです。為替は必ずしも予測どおりに動くものではありません。FXで短期間に大きな損失が出てしまう要因のほとんどは「為替が大きく動いたから」ではなく、レバレッジを高く設定しすぎたことです。
臼田さん レバレッジを大きくすれば確かに投資効率は上がりますが、大損してしまうこともあります。レバレッジをかけすぎなければ、FXはそこまでハイリスクな取引とはなりません。これはFXに限ったことではないですが、ルールや仕組みを理解して、適切に活用することが大切だと思います。
そして金利が上がれば、値上がり益狙いの短期売買だけでなく、スワップポイントを狙った長期投資もできるようになります。スワップポイントとは外貨預金における利息のようなもので、たとえばドル/円であれば、米ドルと円の金利差で決まります。これまでは先進国通貨はほぼゼロ金利で、スワップポイントがほとんど期待できませんでしたが、アメリカの金利上昇により米ドルでもスワップポイントが増えることで、ドル/円を買い持ちするだけで金利収入が積み上がっていくことになります。
FXの基礎知識を学びながらデモトレードができる
「FXは必ずしも怖くない」といっても、いきなり取引を始めるのは勇気がいるもの。できればノーリスクの環境で取引の練習をしてから、本番にのぞみたいものです。そんなデモトレードを無料で体験できるスマホアプリが「FXなび」です。
FXなび – App Store(iPhone向け)
FXなび – Google Play(Android向け)
「FXなび」の特徴は、本物の為替相場を使ったデモトレードだけでなく、FXや為替の基礎知識を学べる入門コンテンツが充実していること。難しい専門用語もわかりやすく解説しています。
臼田さん 「FXなび」は無料でインストールできて、メールアドレスなどの登録なしで、すぐにリアルなFX取引を体験できます。とはいえ、FXの取引は慣れないと難しいうえ、為替の世界には専門用語も多く、そこでくじけてしまう人も少なくありません。そこで「FXなび」では、初めてFXに触れる初心者の目線で、漫画や動画を使ってわかりやすく解説するコンテンツを用意しています。
FXに関する知識を学びながら実際の取引まで体験できるのが、本や動画にはないアプリの強みです。「FXなび」はApp Storeで4.6点(記事公開時点)と、たいへん高い評価をいただいています。
「FXなび」では最初からすべての機能が使えるわけではなく、アプリ内で一定の条件を満たして「レベル」を上げていくことで、新しい機能が解禁される仕組みとなっています。たとえばデモトレードの指値注文(買い値や売り値を指定した注文)は「Lv7」になると利用できます。
アプリでは、デモトレードで利益をどれだけ上げたかというユーザーのランキングも掲載されています。レベル上げやスコアアタックなど、ゲームのような感覚でFXの取引を楽しめるのも「FXなび」ならではの特徴といえるでしょう。
テクニカル分析を体験しながら学べる「STEP UP」
FXや株式投資などで、値動きを予測するための分析の方法は主に2種類あります。ひとつが「ファンダメンタルズ分析」で、もうひとつが「テクニカル分析」です。
ファンダメンタルズ分析とは、経済や企業の動向に基づく分析です。これに対して、テクニカル分析は過去の値動きのチャートをもとに、未来の値動きを予測する手法です。投資初心者にとっては、テクニカル分析は専門的で難しいというイメージがあるかもしれませんが、臼田さんは「FXの投資家なら誰でも活用できる、とても便利なツール」だといいます。
「FXなび」の「STEP UP」は、そんなテクニカル分析をゲーム感覚で学べる新機能として搭載されました。
臼田さん テクニカル分析に対して「怪しい」と考える方もいます。確かに世の中には何万円もする情報商材を売っているような人もいて、怪しいと感じる気持ちもわかりますが、そんな情報がなくても、テクニカル分析は本や動画で誰でも学べるものです。「STEP UP」は、テクニカル分析をさらに手軽に学べるように、「FXなび」のアプリ上のツールとして作りました。
「STEP UP」は過去の値動きを早送りしてチャートで表示し、テクニカル分析がどんなものかをデモトレードで実践的に、直感的に学べる仕組みになっています。
過去の一定期間における価格の平均を結んだ線を「移動平均線」といいます。たとえば日足(1日単位)のチャートで、過去5日の平均を示す短期の移動平均線が、過去25日の長期の移動平均線を上に抜けることを「ゴールデンクロス」と呼び、その後は価格が値上がりしやすくなることが知られています。このようなテクニカル分析の特徴や活用の仕方を、数分間のデモトレードで売買を体験しながら学ぶことができます。
「STEP UP」で学べるテクニカル分析は移動平均線のほか、ボリンジャーバンド、MACD、RSI、一目均衡表と、代表的な分析手法を網羅しています。
アプリを通じて投資教育にも貢献したい
「FXなび」には今後も新しい機能を追加していく予定とのこと。そのひとつが、「FXなび」の株式投資版ともいえる姉妹アプリの「株たす」の新機能、「AIチャート解析」です。
臼田さん 「AIチャート解析」は過去の株価のチャートから値動きを予測する機能で、好きな株式の銘柄を入力すると、そのチャートの形をAIで解析して、日足なら15日後、30分足なら7時間半後の価格を予測します。その予測が当たったかどうかを検証する機能もあります。
AIですから精度は向上していくと思いますが、「テクニカルでの予想が当たるのか?」を確かめてみるつもりで利用してもらうのもおもしろいと思います。
「FXなび」のようなデモトレードのアプリを通じて、今後は学校などでの投資教育にも貢献していきたいと臼田さんは言います。
臼田さん 私たちは既存の金融機関に属さない中立的な存在です。アプリを通じて、投資の基礎知識の習得と売買の仕方、投資デビューの手助け、投資での成功などを支援しています。「お金のことを学ぶのにお金は要らない」をモットーに、投資や資産形成を通じて「消費者」から「支援者」へと、人々の社会との関わり方を変えていけるようなプロダクトを提供していきたいと考えています。デモトレードですから失敗しても実際のお金が減ることもありませんので、お気軽に試してみてください!
初めてFXを学びたい方、投資を学びたい方に、これからもいろいろな形で寄り添っていければと考えています。