「とりあえず人気のあるもの」「純資産残高が多いもの」という基準で投資信託を選ぶのも間違いではありません。しかし、適切な投資信託の選び方は、投資の目的によって異なります。投資信託の大まかな分類だけでも知っていれば、商品選びに失敗する確率は減らせるでしょう。この記事では、投資初心者が知っておきたい投資信託の種類を解説していきます。
- 投資信託は、投資対象資産や投資対象地域、運用スタイルごとに種類がある
- 代表的な分類はアクティブ、インデックス、バランス、ラップなど
- 違いを把握し、自分の投資目的やリスク許容度に合った投資信託を選ぶことが肝心
投資信託の分類方法とは?
一口に投資信託といっても、その分類方法は多様です。アクティブファンド、インデックスファンドといった分類は聞いたことがある人も多いと思いますが、その他にも、投資信託を使って資産運用をするのなら必ず知っておきたい分類がいくつかあります。
投資信託協会では、投資信託を「追加購入が可能か」「投資対象地域はどこか」「投資対象資産は何か」などの区分で分類しています。こうした分類は投資信託の目論見書を理解するのにも欠かせません。
この記事では、投資信託の分類の中でも代表的な「アクティブ型」「インデックス型」「バランス型」「ラップ型」、さらにiDeCoで人気の「ターゲットイヤー型」に対象を絞って解説していきます。
アクティブ型とインデックス型
アクティブ型(アクティブファンド)とインデックス型(インデックスファンド)は、投資信託の最も基本的な分類方法といっていいかもしれません。その違いはファンドの運用方針にあります。
アクティブファンドでは、ファンドマネージャーと呼ばれる運用のプロが組入銘柄を選定します。インデックスファンドより高い運用成果を目指すため、上手くいけば市場平均より高いリターンを獲得することが可能です。また、ファンドマネージャーは経験や知見を生かして独自の観点で銘柄を選びます。そのため、インデックスファンドに比べると運用コストが高くなりがちということは、事前に知っておきたいところです。
一方、インデックスファンドでは、日本株なら日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)、米国株ならS&P500など、ベンチマークとする指数を決めて、それに連動した運用成果を目指します。組入銘柄の選定を機械的に行うため、運用コストが低く、指数にほぼ連動した運用成果が得られるのが特徴です。
インデックスファンドは、ベンチマークとなっている指数の動きさえ確認しておけば、個別銘柄の動向をこまめにチェックする必要がないので、コツコツ機械的に長期積立投資を実践したい人などにとっては、最適な手段といえるかもしれません。
バランス型ファンドとは?
バランス型ファンドは、株式や債券、REIT(不動産投資信託)など複数の資産を対象に分散投資を行う投資信託のことです。これらの資産は、値動きが異なる傾向にあります。そのため景気や金利の動向にかかわらず、ある資産の収益が別の資産の損失を補完するため、環境に左右されにくい、比較的安定した運用が期待できます。
どの資産をどのようなバランスで組み入れるかは、ファンドによって千差万別です。株式、債券、REITに分散投資するのがバランス型ファンドの代表的な形ですが、金などのコモディティも含めるケースもあります。
バランス型ファンドを活用する場合は、どんな資産を組み入れているかはもちろん、資産ごとの組み入れ比率や具体的な銘柄などについても目論見書で確認することが大切です。
ラップ型ファンドとは?
ラップ型ファンドは、投資一任契約といって投資判断の全部または一部を金融機関に任せる運用サービスのことです。契約を結んだ金融機関があらかじめ指定した投資方針に従って、投資先の選定、売買、管理を行ってくれるので、ラップ型ファンドを買った人にとってはとにかく手間がかかりません。
従来、ラップ型ファンドはある程度まとまった資金を運用するための、どちらかといえば富裕層向けのサービスでしたが、昨今では少額からでも一任できるケースも増えているようです。基本的には投資信託を中心に運用し、顧客の希望に応じて「積極的」「安定的」などの運用スタイルが用意されているようです。
ラップ型ファンドは手間がかからない半面、手数料が高くなりがちなのがデメリットです。「投資に時間はかけたくない」「金融機関に運用を任せることに抵抗がない」という人は、ラップ型ファンドを活用するメリットが大きいでしょう。
ターゲットイヤーファンドも知っておこう
ターゲットイヤーファンドとは、リタイアする年を基準に設定し、最初は積極運用で資産を増やし、リタイアが近くなると資産を守るための安定運用に切り替えるよう設計されたファンドです。若いうちは株式の比率が多いですが、年を経るにつれて徐々に債券の比率を増やしていくパターンが一般的です。ターゲットイヤーファンドはiDeCoでよく利用されています。
株式や債券に分散投資し、運用会社がバランスを調整する点はバランスファンドとも似ています。
自身のリスク許容度や目的に合った商品を選ぶことが大切
投資信託は、投資初心者や専門的な知識がない人でも気軽に購入できるため、購入者の裾野は広く、商品展開が幅広くなっています。そのため、どの商品を選べばよいか分からないという人もいるでしょう。
今回紹介したのは投資信託の種類・分類のうち、代表的なものに過ぎません。まずはベーシックな商品を知り、そこから知識の幅を広げていけると理想的です。自分の投資目的や許容できる値動きの範囲をしっかり見極めて、目的に合った商品を選べるようにしていきましょう。