「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回は、価格競争が激化している投資信託の手数料について切り込みます。

  • 取り扱う投資信託がすべて販売手数料ゼロ(ノーロード)の証券会社もある
  • 信託報酬0.154%のファンドを100万円売った仲介業者の取り分は年264円
  • 販売会社や仲介業者は、ファンドの販売やアフターフォローにコストが必要

ファンド手数料価格破壊の時代!

皆さん、こんにちは! 新型コロナウイルス感染症はいまだ収束の気配すらありませんが、いかがお過ごしでしょうか?

筆者はまともに煽りを受けています。新型コロナを口実に仕事がキャンセルになるだけでなく、散々に振り回されたり、冷やかしに遭ったりと、新型コロナ感染症の影響が及び出した2020年以上に大変な状況が続いています。

ところで、投資の世界では「手数料価格破壊」の時代という感を受けます。

本稿では投資信託(以下、ファンドと称します)の手数料について、筆者の経験を踏まえ、特に販売会社(金融機関など)の視点から考えてみたいと思います。

さて、ファンドには「販売手数料」と「信託報酬」という2つの手数料があります。

販売手数料=買うときに支払う手数料

そもそも販売手数料とは、文字通りファンドを販売している証券会社や銀行などが受け取る手数料のことです。「年率○%」という具合に表示しますが、これは上限です。販売手数料の年率は、ファンドを販売している証券会社や銀行ごとに定めることができます。
また、金融機関ではない金融商品仲介業者がファンドを販売している場合には、仲介業者が所属する証券会社が決めた販売手数料率を、所属証券会社と仲介業者とで手数料を分け合うことになります。

ファンドの販売においても、今はネット証券が隆盛を極めているのは言うまでもありません。筆者もネット証券でファンドを購入しています。筆者の取引しているネット証券では、販売しているすべてのファンドがノーロード(販売手数料ゼロ)になっています。まさに手数料価格破壊ですね。

破壊
世の中の物価は上がっているというのに、投資信託の手数料は今も「価格破壊」が進んでいる

販売手数料……販売する側の事情

ところで話は変わりますが、筆者も昨年の夏ごろまで、およそ10年間、金融商品仲介業を行っていました。120本くらいのファンドの品揃えがあったように記憶していますが、最後の6年間は『eMaxis』など、なるべくノーロードの商品を提案、販売する方針を掲げていました。この方針は、決してネット証券との競合を意識したものではなく、お客様に少しでも利益を挙げていただきたい、それだけです。

この方針は、一見すると顧客本位の方針に思えますが、果たして本当でしょうか?

ノーロードでは、ファンドの販売に要した初期コストを全く回収できません。初期コストとは、顧客開拓に始まり、証券取引のご提案、口座開設のお手続き、投資商品のご提案、投資商品の説明とご購入手続き……などの流れに要する時間(=つまり人件費)と、交通費などです。

投資は、お客様にとっては、ご自身の財産をリスク商品に換えるのですから、相応の覚悟と信頼をもって行うことです。その一方で、ノーロードファンドを販売する(当時の)筆者は、いわば持ち出しボランティアです。

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