「預金なら安心」って本当なの? 「元本保証」って、実際に何を保障してくれるの? 実は、現金にもリスクが潜んでいるのです。本連載ではそんな「現金のリスク」を切り口に、お金のほんとうの価値を守るための資産運用について考えていきます。今回のテーマは「株式ファンドの選び方」。アクティブファンドとパッシブファンド(インデックス運用)の特徴について見ていきます。

  • 積立投資には「株式100%のファンド」。アクティブ、パッシブのどちらを選ぶか?
  • 日経平均株価や東証株価指数などの市場全体に投資するインデックス運用
  • 運用会社の哲学に基づき、ファンドマネージャーが株式を選ぶアクティブ運用

積立投資に向く「株式100%のファンド」を選ぶには?

投票する権利もないのに、アメリカ大統領選挙のニュースに心を寄せる日々が続いています。その一方で、欧州では新型コロナウイルス感染症が再び拡大しているようです。何かと気忙しい季節の変わり目ですが、読者の皆さま、お元気でお過ごしでしょうか?

さて、筆者はこれまで、積立投資を推してきました。その一方で、まとまった現金をお持ちの方にとっては、積立投資は時間の無駄に……という点も理解しております(連載第21回参照)。ですので、投資をされる方の現金の使い道やご年齢など、一律に「コレがベストです」と押し付けているつもりはございません。

アットセミナー

ところで、積立投資に向くのはどのようなファンド(投資信託)かというと、連載第20回にて「基準価額の変動の幅が大きなファンド」と申し上げております。

「基準価額の変動の幅が大きなファンド」を少しだけ具体的に申し上げますと、「株式100%のファンド」ということになろうかと思われます。

では、「株式100%のファンド」をどのように選べばよいのでしょうか? 今回は、ファンドの選び方に関する話題を綴ってみたいと思います。もちろん、筆者の視点ですから、ご覧いただいてどのようなご感想を持たれるのか、皆さん、それぞれですので……。

アナタは肉食系? それとも草食系?

「肉食系か? 草食系か?」というと、「今さら、古い質問ね」と言われてしまいそうですが。
これは筆者が講師を務めるセミナーにて、よく筆者が用いるセリフです。

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肉食系とは、ずばり「アクティブファンド」をイメージしています。ですので、草食系は「パッシブファンド」のイメージですね。
と申しますのも、英語のアクティブは「積極的」と訳され、パッシブは「消極的」と訳されるからです。

ではこの「アクティブファンド」「パッシブファンド」とは、いったいどういう性質を持つ投資信託なのでしょうか?

筆者の手元にある、2020年の最新版のファイナンシャルプランナーの教科書によると、アクティブファンドは「ベンチマークを上回る投資成果を目指す投資信託」と説明されています。

そして、パッシブファンドは「日経平均株価や東証株価指数(TOPIX)といった、ベンチマークに連動するように設計された投資信託」と書かれています。
パッシブは「インデックス運用」とも言います。インデックスとは、日経平均株価や東証株価指数のような市場の平均を表す指標のことです。ちなみにベンチマークとは、もともと測量の言葉で「水準点」や「基準点」という意味です。

が、教科書ではさらに「どのような銘柄選択を行っても恒常的に市場平均以上の運用成績を行うのは困難という効率的市場仮説に基づいている」と加えられています。

これは、「銘柄、つまり投資先の企業を選んだところで、市場平均以上の好成績を上げるのはムリですよ」ということでしょうか?
だとしたらまるで、「日経平均株価や東証株価指数みたいな、上場している株式全てに投資してしまうようなパッシブの方が効率的ですよ」と言わんばかりですね。

本当にそうでしょうか!

インデックス運用は本当に「市場全体に投資する」のか?

「インデックス運用は投資先を選ばず、市場全体に投資する」というイメージは正しいのでしょうか?

東証株価指数(TOPIX)なら、このイメージのままでしょうね。
なぜなら、東証株価指数は東京証券取引所第一部に上場している全企業が対象だからです。
では、日経平均株価の方は、いかがでしょうか?

東証一部に上場している企業の数は、2020年10月末時点で2180社です。そして日経平均株価に採用されている企業の数は、東証一部のうちの225社と、全体のわずか1割強にしか過ぎません。これで「市場全体に投資する」と言えるのでしょうか?
何だか、えらく矛盾していますね?

ところで、日経平均株価と東証株価指数に共通した特徴があります。何でしょうか?
まず、どちらも東証一部に上場している企業のみ、という点です。

そして、どちらも業種に偏りがありません。業種の分散が図られているということです。

また、言うまでもありませんが、どちらも我が国の代表的なインデックスですから、テレビや新聞、インターネットなどで情報を得ることが容易です。

つまり、日経平均株価は「225社とはいえ東証一部から幅広い業種が選ばれ、なおかつ我が国の代表的なインデックスとしてよく知られている」という背景があるために、日経平均株価のインデックス運用は「市場全体に投資するイメージ」だとみなされるのです。

個性が輝くアクティブファンド

アクティブ運用にせよ、インデックス運用にせよ、どちらも「多数の企業の株式をワンパッケージにした運用」という点では同じです。アクティブとインデックスの違いは、そのパッケージの中身、つまりファンドの投資対象となる株式を誰が選んでいるのか、という点です。

ファンドの投資対象となる株式を選ぶのは、投資信託の運用会社に勤める、ファンドマネージャーと呼ばれる人です。ファンドマネージャーは株式を、どのように選ぶのでしょうか?

インデックス運用の方は、ファンドマネージャーが選ぶも何も、東証株価指数は東証一部の上場株式の全てですし、日経平均株価は日本経済新聞社が選んだ225社です。いずれにせよ、インデックス運用の場合、ファンドの運用会社が異なったとしても、その中身に大きな差異はなさそうですね。ファンドマネージャーの個性は光らなさそうです。

一方のアクティブファンドの中身は、ファンドマネージャーが運用会社の哲学に基づき、ファンドごとの方針に沿って投資対象の株式を選んでいます。アクティブファンドの方は、運用会社やファンドマネージャーの個性がキラリと輝きそうですね。どれだけ利益を出せるのか(または損失が出てしまうのか)、ファンドによって大きく変わってきそうです。

インデックスとアクティブの違い
  インデックス運用
(パッシブファンド)
アクティブファンド
イメージ 草食系 肉食系
訳すと 消極的 積極的
インデックスに対して 連動を目指す 上回ることを目指す
投資対象を選ぶのは? インデックスが選ぶ ファンドマネージャーが選ぶ
ファンドマネージャー 個性が光らない 個性が輝く

まとめ&次回予告

今回は「肉食系」アクティブファンドと、「草食系」インデックス運用の違いについてお話ししました。
肉食系のアクティブファンドは、ベンチマークを上回ることを目指す積極派です。対して、インデックス運用の方はベンチマークに連動した成果を目標とする消極派といえそうです。

ファンドの中身を比べると、インデックス運用の方は投資対象の株式が最初から決まっているので、ファンドマネージャーの個性は光らなさそうですね。また、アクティブファンドは運用会社の哲学とファンドの方針に基づいて、どの株式に投資するかをファンドマネージャーが選びます。したがって、アクティブファンドにはそれぞれの個性があります。

そして、アクティブファンドについては、ファイナンシャルプランナーの教科書に「恒常的に市場平均以上の運用成績を行うのは困難」と書かれていたのも気になります。

さて、肉食系と草食系、この二者択一なら、読者は、どちらを選びますか?

筆者なら、「お野菜を用いたフェイクミート!」と答えます。
お野菜を用いたフェイクミートって、何でしょうね? 答えは次回にて。