現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第24回は、クラウドソーシングの国内最大手プラットフォームを手掛けるクラウドワークス(3900)を取り上げます。

  • 不特定多数のクラウド(群衆)に業務を発注する「クラウドソーシング」を手掛ける
  • 「外部の人材を活用するならクラウドワークス」というポジションを確立
  • 2022年9月期は増収増益見込み。高スキル人材へのニーズを背景に事業拡大へ

クラウドワークスはどんな会社?

クラウドワークスはクラウドソーシングの国内最大手のプラットフォームです。創立は2011年です。設立からわずか2年後の2013年に東証マザーズ市場(現在は東証グロース市場)に株式新規公開(IPO)しました。

クラウドソーシングとは、企業がインターネットを通じて不特定多数の「クラウド(群衆)」に業務を発注(アウトソーシング)する新たな業務の形態です。

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クラウドソーシングは、発注する企業側には、自社の人材リソースにはない専門性をもつ人材のスキルや経験を時間やプロジェクト単位で外注できること、応募された人材のスキル・経験・報酬に応じて外注先を選択できることが大きな利点となります。

また、請け負う個人の側には、余っている時間で働くことが可能であり副業やフリーランスなどの新たな働き方ができるメリットがあり、サイトに掲載されている多くの案件から自由に応募が可能となります。

同社は「個のためのインフラになる」をミッションとしています。ただ単に働くだけでなく自身のスキルや得意なことを販売する個人のためのインフラを目指しています。


クラウドワークスの「クラウド」は雲(cloud)ではなく群衆(crowd)

クラウドワークスの強みは?

クラウドワークスの強みは業界内での優位なポジションです。

新型コロナによるリモートワークの普及や働き方改革により副業による就業も広がっています。こうした中でクラウドワークスは早くからサービス展開を行っていた強みもあり、マッチングプラットフォームの「クラウドワークス」の2021年度の登録ワーカー数は470万人となっており、年間50万~60万人の登録があります

企業や自治体などの登録クライアント数は76万社となっています。経済産業省、伊藤忠商事、NTTデータ、ヤフージャパンなどの大手が同社のサービスを活用しており、「外部の人材を活用するならクラウドワークス」というポジションを確立しています。

また、最近では企業の副業解禁が進んでおり、大企業の正社員などが実名と履歴書を公開して企業と副業・兼業でのマッチングを行う新たなサービスの「クラウドリンクス」が急速に伸びています。大企業のハイクラス人材を活用したいという企業のニーズが背景となっています。

クラウドワークスの業績や株価は?

クラウドワークスの2022年9月期は売上高が前期比24%増の(※)100億円、営業利益が27%増の46億円を見込んでいます

※前期は非連結決算のため連結決算に換算した数値での増減率です。

足下のマッチングプラットフォーム分野では事務・アシスタントやエンジニア・デザイナー領域の人材のニーズが高止まりしています。5月に発表した上半期の売上総利益はどちらも前年同期比で40%以上と高い伸びが示されました。これらの領域の人材のマッチングや紹介の単価も引き上がっており、企業のニーズに応えつつ良い人材を確保しやすくなる良い循環となっています。

8月5日の終値は1544円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約16万円です。

クラウドワークス(3900)の株価(2021年1月~、月足、終値)

新型コロナをきっかけに普及したリモートワークへの移行やもともとの国内の人材不足、ITやデザイナーなどの高スキル人材へのニーズを背景に同社の事業はさらに拡大するとみられています。

また、米国のFRB(連邦準備制度理事会)の金融引き締め観測が後退し、株式市場で売られていた成長株が見直されていることも好感されています。株価は戻りの節目となっている2021年9月の高値の1963円、同年2月の高値の2194円などを上抜ければ上昇が加速しそうです。

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