もうすぐ2022年も終わります。「NISA・つみたてNISAの非課税投資枠を、今年のうちにすべて使い切りたい!」そう思ったときに、いつまでに買えば「年内」の扱いになるのかが気になるポイントです。そこで本記事では、NISA・つみたてNISAの今年の非課税枠を使い切るには、いつまでに買えばいいかについて解説します。
- 一般NISAもつみたてNISAも年間の非課税枠が決まっている
- 今年の非課税枠を使い切る場合は、「受渡日」がいつになるかに注意
- 申込日や約定日が年内でも、受渡日が年内でなければ翌年扱いになる
改めてNISAをおさらい
NISA(ニーサ)とは、投資の運用益に税金がかからない投資の税制優遇制度のことです。NISAは「Nippon Individual Savings Account」の略称で、正式名称は「少額投資非課税制度」といいます。
通常、投資信託や株式などの金融商品に投資を行った場合、これらを売却して得た利益や受け取った配当金に対して20.315%の税金がかかります。しかし、NISAを利用することによって、一定の金額までの投資利益を一定期間、非課税で受け取ることが可能になります。
現行のNISAは2023年までの期間限定の制度となるため、現在の制度で金融商品へ投資を行えるのは2023年までです。なお、2023年に購入した金融商品は、5年後の2027年まで非課税で運用可能です。
現行のNISAには3種類があります。成人向けには「一般NISA」と「つみたてNISA」があり、未成年向けに「ジュニアNISA」があります。
一般NISAは、投資信託や株式などの金融商品を年間120万円まで購入可能で、最長で5年間の非課税保有が可能です。つみたてNISAは、特定の投資信託を年間40万円まで購入可能で、最長で20年間の非課税保有が可能です。以上は2022年時点のNISAの制度ですが、現在、岸田政権が掲げる「金融所得倍増計画」のもと、NISAの恒久化や非課税投資枠の拡大や、一般NISAとつみたてNISAとの一本化など、国民がNISAをさらに使いやすくするための議論が進められているところです。
NISAの利用者は増加傾向にあり、個人の資産形成の手段として定着しつつあるといえるでしょう。金融庁が公開しているNISAの利用者数のデータによると、2020~2022年の3年間でNISA(一般・つみたて)の口座数は以下のように推移しています。
- 2020年6月末時点 1445万966口座
- 2021年6月末時点 1654万8428口座
- 2022年6月末時点 1703万1049口座
今年の非課税枠をきっちり使い切るには?
一般NISA・つみたてNISA口座では、非課税投資枠を翌年へ繰り越しができません。そのため非課税投資枠を今年中に使い切るには、いつまでに金融商品を購入すればいいかを把握しておき、早めに購入しておくことが大切です。
NISA口座の非課税枠は、「受渡日(うけわたしび)」によって利用状況が判断されます。したがってNISAで2022年の非課税投資枠を使い切るには、2022年中に受渡までを終えている必要があります。
注意すべきポイントは、「申込日(もうしこみび)」や「約定日(やくじょうび)」ではなく「受渡日」が年内の最終営業日までとなることです。申込日とは売買注文を出した日のことで、約定日は取引が成立した日のことです。受渡日は、代金が決済されて投資家へ投資信託受益証券が受け渡される日を指します。
受渡日はそれぞれの商品ごとに異なります。2022年の国内株式の最終取引日は、約定日が12月28日で受渡日が12月30日です。
投資信託の受渡日は商品によって異なり、申込日から4~8営業日目が一般的でしょう。ファンドによっては、海外市場の休場などの理由により申込できない場合もあります。
たとえば『楽天・全米株式インデックス・ファンド』という投資信託の受渡日は、「申込受付日から起算して5営業日目」となっており、申込の締切時間は営業日の15時までです。そのため、12月1日の13時に申し込んだ場合の受渡日は、土日をまたいだ5営業日目の12月7日となります。ということは、12月26日にこのファンドを買った場合は、受渡日は早くても1月3日となり、年内に間に合わないことになります。
海外休場日と土日祝日は営業日に含まれないため、「受渡まで5営業日」となっているファンドでも、実際の受渡完了までに1週間ほどかかることがわかります。年末までまだ日数があると思っても、ファンドによっては年内にNISAの非課税枠を使えなくなってしまう場合があります。NISAの非課税投資枠を確実に使い切るためには、受渡日が年をまたがないように注意し、早めの取引を行うことが大切です。