投資がうまくいけば、お金を増やせますが、失敗するとお金を失います。そのため、投資をする前に勉強をして、リスク回避の術を知っておくことが、お金を増やす確率を高めるためには大切です。今回は、投資初心者の方に向け、どのような順序で投資の勉強をすればよいのか解説します。
- 投資をするとお金が増える仕組みを知る。投資はギャンブルではない
- NISAやiDeCoなどの非課税投資制度、景気循環に適した金融商品について知る
- 実際に投資を体験するのが大切。デモトレードを活用してみる
まずは「なぜ株を買うとお金が増えるのか」を知る
投資について勉強する場合、最初に理解しておきたいのが、「投資をするとお金が増える」という基本的な仕組みについてです。たとえば、投資対象として代表的な資産である株式は、投資するとなぜお金が増えることが期待できるのでしょうか。
株式は企業が発行するものです。企業は株式を発行することで投資家から資金を集め、その資金を設備投資や雇用といった経営資源に活用します。企業が成長し、利益を増やすことによって、株式を保有する投資家(株主)は、企業の利益の一部を配当として受け取ることができます。そして、企業の成長に合わせて株価そのものも上昇します。その結果、投資家は利益を手にすることができるのです。
投資とギャンブルは根本的に違う
投資とギャンブルを混同する方もいますが、両者は根本的に異なります。ギャンブルは「利益を得る側」と「損をする側」がいる構図で、ギャンブルの運営元に払う手数料の分、長い目で見れば損をする可能性が高くなります。一方、株式投資は企業が成長すれば、株主全員が利益を得ることが可能です。
もちろん、株式市場や経済情勢は日々変化しますし、企業の収益も予定どおり順調に増えていくとは限りません。世の中の動きに対して、株価は敏感に反応して動きます。したがって、株式投資で短期的に利益を得るためには、直近の値動きや変動要因を把握しなくてはいけません。
ただし、長期投資となれば話は別です。株式投資の基本原則を知っておけば、目先の値動きに一喜一憂することなく、世の中の大きな動きを捉えながら、長期的に利益を獲得することもできます。
もちろん、株式投資にはリスクもあります。企業の中には経営がうまくいかずに株価が低迷を続けて、最悪の場合は破たんに陥るケースもありえます。そのような銘柄を購入した場合は、損失を増やさないように売却を決断することも必要になります。
投資をすれば、必ずお金が増えるわけではありません。お金が減ってしまうリスクについても勉強することが大切です。
そもそも、なぜ投資が必要なのか、目的は何なのか?
そもそも、なぜ投資が必要になるのでしょうか。「投資の目的」についても、さまざまな情報に触れながら確認しておく必要があります。
今の世の中、預金だけでお金を増やすことはできません。投資をしたいと考えている方は誰しも、少しでもお金を増やしたいと思っているはずです。ただし、「何のためにお金を増やしたいか」によって、同じ投資でもとるべき手段が異なります。
例えば、老後の資金を貯めたい場合と、子供の教育費を貯めたい場合では、お金を運用できる期間が異なります。資産形成のための投資は「長期投資」「分散投資」が基本となりますが、5年~10年後に使う教育資金であれば、利益が非課税になり、いつでも解約できるNISAを活用して投資を行ったほうがよいでしょう。
NISAとは、株式や投資信託などの投資で得た利益が非課税になる制度です。現在の制度では、年間120万円まで、最大5年間の運用益が非課税になります。数年後に使うことになるお金を準備する場合に向いている制度です。
つみたてNISAも有効な手段のひとつです。NISA(一般NISA)と比較して、非課税で投資できる金額は40万円と少ないものの、非課税となる期間は20年あるため(2022年時点の制度の場合)、子どもが小さく、運用期間を20年ほど取れる場合はつみたてNISAを活用するといいかもしれません。
一方、使うのが30年先の老後資金であれば、60歳まで解約できないiDeCoの利用をおすすめします。iDeCoとは個人型確定拠出年金制度のことで、NISAと同じく投資で得た利益が非課税になり、60歳まで引き出せない代わりに掛け金が全額所得控除の対象になるため、税制面でのメリットが大きい制度です。老後資金を貯めるための投資であれば、NISAより向いているといえるでしょう。
このように、投資にはさまざまな制度や仕組みがあります。特にNISAやつみたてNISA、iDeCoはうまく使えば効率的にお金を増やせる制度なので、NISAやiDeCoの制度や活用法について勉強しておくといいでしょう。
金融商品だけでなく、経済の動きにも注目する
投資をする目的や、非課税で投資できる制度について理解できたら、次は経済の見方や、具体的な金融商品について勉強しましょう。
経済は常に動いています。世界経済や国内経済を10年単位で見ると、好景気と不景気の大きな波があります。好景気になれば株価は上がり、不景気では下がります。この景気の波にうまく乗ること、波に飲まれないことが、投資で成功するためには大切です。「景気循環」についても勉強しておくといいでしょう。
また、経済はさまざまな要因によって影響を受けます。例えば、直近では新型コロナウイルスの世界的な拡大やウクライナ情勢の緊迫化によって、経済状況が変動し、株価や為替、債券価格なども大きく動きました。
将来の経済の影響を完全に予想することは、投資のプロであっても困難ですが、「不景気になれば株価は下がりやすくなり、債券価格は上がりやすくなる」といった原則を知っておけば、状況の変化に適した対応ができるようになります。好景気に強い金融商品は何か、逆に不景気のときに持っておくといい金融商品は何か、事前に知っておくといいでしょう。
さらには、経済がどのように動いても資産全体の大きな値動きを防ぐ方法として、株式や債券など複数の資産に投資する「分散投資」について勉強することもおすすめです。それぞれの商品がどのような値動きをするか理解したうえで、さまざまな資産に分散するように心がけましょう。
「習うより慣れろ」。デモトレードで投資を体験
投資は本やインターネットなどで勉強をすることも重要ですが、効率よく知識を身に付けるには、実際にトレードをしてみるのが一番です。しかし「いきなり投資をして損をするのは怖い……」と思う方も多いでしょう。そのような方は、デモトレードを行って投資を体験するのがおすすめです。
株式投資やFXのデモトレードはネット証券やFX会社が提供しているほか、スマホアプリなどを通じても体験できます。デモトレードをすることで、株式などが経済の動向に応じてどのような値動きをするか実感できます。デモトレードに慣れてきたら、少額から投資をはじめ、徐々に金額を増やしていくといいでしょう。