現役証券アナリストの佐々木達也さんが、株式市場で注目度が高い銘柄の強みや業績、将来性を解説する本連載。第36回は、ソースやドレッシングの製造販売を手掛ける食品メーカー、ピエトロ(2818)を取り上げます。
- ピエトロはソースやドレッシングの製造販売を手掛ける食品メーカー
- ピエトロの強みは、創業時から続く手間ひまや材料などにこだわった製法
- 今期は大幅減益を見込むが、コロナ禍やインフレの一服による業績回復に期待
ピエトロ(2818)はどんな会社?
ピエトロはソースやドレッシングの製造販売を手掛ける食品メーカーで、東証プライム市場に上場しています。オレンジ色のキャップのドレッシングをスーパーで見かけたり、愛用されている方も多いのではないでしょうか?
ピエトロは1980年の福岡、天神の小さなスパゲッティーレストラン「洋麺屋ピエトロ」として創業しました。
創業者の故村田邦彦氏は、当時ナポリタンやミートソースが主流だったところを「炊き立てのご飯に合うものは、茹でたてのスパゲッティーにも合う」として、明太子や納豆などを和のテイストを取り入れたメニューが人気となりました。この時に待ち時間に出していたサラダにかけていた醤油ベースの玉ネギをベースとしたドレッシングが非常に好評でした。当初は、お客さんにせがまれてワインボトルの空き瓶に入れておすそ分けをしていましたが、好評だったので店頭でもドレッシングを販売するようになりました。これが口コミで広がり、人気となったので福岡の博多大丸や東京の日本橋・三越など百貨店で販売するようになるとさらに売り上げが伸びていき、贈答用としても全国で愛用されるようになりました。
その後は、レトルトソースやフリーズドライスープの製造販売やレストラン事業も手掛けるようになり、事業を拡大。2002年には、東証2部(現在の東証スタンダード市場に相当)に上場を果たしました。
ピエトロ(2818)の強みは?
ピエトロの強みは、創業時から続く手間ひまや材料などにこだわった製法です。ドレッシングの仕込みには、食品メーカーで一般的な巨大なタンクを使用せずに、レストランの厨房で使うサイズの2倍の大きさの寸胴鍋で、少しずつ何度も仕込みを繰り返しています。また、玉ネギやニンニクなど材料の下ごしらえも皮むきやすりつぶしなどの工程を手作業で、丁寧に行なっています。これにより痛んだ玉ネギなどの混入を防いだり、水分や旨みが抜けてしまうことを避けています。
また、ドレッシングに使用する醤油は、九州の醸造元に特注の少し甘い醤油を用いており、野菜の旨みを引き立てています。
ピエトロ(2818)の業績や株価は?
ピエトロの今期2023年3月期は売上高が前期比7%増の90億円、営業利益は92%減の3000万円と大幅減益を見込んでいます。不採算店舗の閉鎖費用や油、大豆など原材料費の高騰が響いています。一方でレストラン事業の売り上げ高はコロナ禍から回復しています。1月の既存店の直営・FC売上高は前年同月比21%増と好調でした。客数は3カ月ぶりに13%増とプラスに転じています。
また、1月にドレッシングなどの値上げを行なった効果も今後、利益率の改善につながると見られます。値上げは昨年の4月に次いで創業以来3度目となります。インフレで各企業が値上げを相次いで実施しており、消費者らに受け入れられる素地はありそうです。
2月24日の終値は1828円で投資単位は100株単位となり最低投資金額は約19万円です。
ピエトロの株主優待は年に1回、毎年3月末時点の株主に対して100~300株未満の株主に対しては1200円相当、300株以上の株主に対しては5000円相当の自社商品の詰め合わせが進呈されます。
株価は2022年11月以降は1800円を中心としたレンジでのボックス相場が続いています。コロナ禍やインフレの一服が進めば、業績の回復も見込まれるとみています。ピエトロの商品を愛用している方であれば、株式の保有も検討してみてはいかがでしょうか?