金融商品には、その商品の価格を変動させるさまざまなリスクが存在します。無リスク資産とされる預貯金でも、金利を上回るインフレによって相対的な価値が下がります。株式など価格が変動する金融商品では、「価格変動リスク」「信用リスク」「金利リスク」「為替リスク」「カントリーリスク」などのリスクがあります。この記事では、個々のリスクの概要を説明し、為替リスクについて再考します。

  • 日本株投資には価格変動リスクと信用リスク、外国株には為替変動リスクなどもある
  • 日本株でも外需株は為替変動の影響で利益が変わり、株価が変動する要因となる
  • 為替の変動要因は短期的には金融政策や政府要人の発言、中期的には2国間の金利差

株式投資の主なリスク

通常、日本株投資には、「価格変動リスク」「信用リスク」があるとされています。

価格変動リスクは、株式を購入後に株価が変動することにより値上がり益が期待できる反面、値下がりによる損失が発生することもあるリスクです。

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信用リスクは、投資した企業の財務状況が悪化し、倒産してしまうかもしれないリスクです。

価格変動リスクが日々起こりえるリスクに対して、信用リスクは頻繁に発生するリスクではありません。ただし最悪の場合、株式が無価値(0円)になってしまう可能性があるという、影響が大きなリスクといえます。

また、外国株式に投資をした場合は、上記の「価格変動リスク」、「信用リスク」以外に「為替変動リスク」「カントリーリスク」が加わります。

為替変動リスクは、円安や円高によって円換算の価格が変動するリスクのことです。
たとえば、外国株式に投資をして配当金を100ドル受け取った時、為替レートが1ドル120円の時は、円換算すると12,000円です。1ドル150円の場合は15,000円になり、3,000円の差が発生します。
このように、ドルベースで受け取る金額は同じでも、為替レートの違いにより、円換算した時の価格を変動させます。

トラリピインタビュー

【図表1】為替レートと外国株式の配当金のイメージ
為替レートと外国株式の配当金

カントリーリスクは、投資した国に大きな災害や紛争、政変などが起こることにより株価を変動させるリスクです。カントリーリスクは株価を下押しする要因になるリスクです。

為替変動リスクを再考

一般的に為替変動リスクは、外国株式などの海外資産に投資をした時に発生するリスクと考えられています。しかし最近(2024年8月以降)の日本株の値動きを見ますと、日本株への投資においても為替変動リスクを意識する必要があると言えます。
特に海外での収益比率が高い自動車や電機、精密機械などの外需株は、為替変動リスクが高くなる傾向があります。

たとえば、ドルに対して1円の為替変動で10億円利益が上下する企業の想定為替レートが1ドル140円の場合、実際の為替レートが145円ですと50億円利益が上振れします。138円ですと20億円下振れます。

【図表2】為替レートと企業の利益の上振れ・下振れ
為替レートと企業の利益の上振れ・下振れ

このように、想定為替レートより円安の場合は株価の上昇要因になり、円高の場合は株価の下落要因になります。日本株への投資でも為替変動リスクが発生してしまうのです。

為替相場を動かす要因は?

為替相場を動かす要因は、短期的には各国の中央銀行の金融政策や政府などの要人発言などがあります。
中期的には、2国間の金利差が要因となります。

最近の国内の株価変動は、中央銀行の金融政策や、中央銀行メンバー(日本銀行の場合は総裁、副総裁、審議委員)の発言など、主に短期的要因に起因する場合が多い傾向にあります。

最後に

今回は、株式投資の主なリスクと、日本株への投資でも「為替変動リスク」があることについて説明いたしました。
個別株ですと、為替変動リスクが低い内需株を選んで投資をするという方法がありますが、TOPIX(東証株価指数)や日経平均株価に連動する投資信託での運用では、どうしても時価総額の大きな外需株の影響を受けてしまいます。

株式投資にこだわらず為替リスクを避けたい方は、J-REIT(不動産投資信託)への投資を検討してみてはいかがでしょう。株式のような高い値上がり益は期待しづらいですが、比較的高い分配金利回りは期待できます。

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