6月1日の日経新聞一面に政府の経済政策「新しい資本主義」の記事がありました。その経済政策のひとつ「人への投資」の中で所得倍増プランとしてiDeCo(イデコ)の拡充策があり、加入年齢を現状の65歳未満から引き上げるというものでした。今回の拡充策について、イデコの仕組みや加入条件からその疑問点についてみていきます。

*この記事は2022年5月31日の政府発表の記事に基づいて執筆しています。

  • 今回のイデコ拡充策では、加入年齢を更に65歳以上に引き上げる方針
  • イデコの加入条件は、「国民年金を(免除されず)支払っている」こと
  • しっかり年金を支払った自営業者などが逆に恩恵を受けられない可能性が高い?

2001年にスタートした確定拠出年金制度

確定拠出年金制度は2001年にスタートしました。確定拠出年金は、掛金を企業が負担する企業型確定年金(企業型DC)と加入者自身(個人)が拠出する個人型確定拠出年金(個人型DC、イデコ)があり、誰が負担するかにより2つに分かれます。

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制度がスタートした時点の個人型DCに加入できる方は、自営業者などの国民年金第1号被保険者(以下:第1号被保険者)と企業に年金制度がない会社員(国民年金第2号被保険者 以下:第2号被保険者)のみでした。

2016年の改定確定拠出年金法の成立により、従来の加入者以外に、公務員、専業主婦(夫)(国民年金第3号被保険者)、企業に年金制度のある会社員の方も加入できるようになり、この時点で、現在のiDeCo(イデコ)という愛称で呼ばれるようになりました

また、2022年5月の改定確定拠出年金法では加入年齢が従来の60歳未満から65歳未満に引き上げられました。

iDeCo(イデコ)ってどんな制度?

イデコの加入条件

2016年のイデコがスタートした時点で、原則全ての現役世代がイデコに加入できるようになりました。ただし、国民年金を免除されている方は加入することができません。もちろん、国民年金を未納している方も加入不可です。

会社員や公務員など厚生年金に加入している方は、国民年金の未納や免除はありませんので全ての方の加入が可能です。専業主婦(夫)第三号被保険者の方も同様です。

イデコの仕組み

イデコの実施主体は国民年金基金連合会になりますが、申し込みは、証券会社や銀行、保険会社などイデコを取り扱っている金融機関を選んで行います

イデコで運用できる商品は、申し込んだ金融機関の商品ラインアップ(イデコ対象商品)により異なります。また、その商品ラインアップの中から加入者自身が選択して運用します。拠出額や運用時期が同じでも選んだ商品などにより運用に差が出るため、自ずと受け取る年金額も違ってきます。
*元本割れ(拠出額>受取年金額)の可能性もあり。

イデコの税制上のメリット

税制面での「掛金拠出時」「運用時」「受給時」でそれぞれメリットがあります。

掛金拠出時では、拠出した掛金は全額所得控除の対象になり所得税、住民税が軽減されます。
運用時では、運用益が非課税になります。
受給時は受取方法によりメリットが変わります。

年金で受け取る場合は雑所得となり、公的年金等控除の対象になります。
一時金で受け取る場合は退職金となり退職所得控除の対象になります。

年金で受け取る場合 雑所得の金額=収入金額-公的年金等控除額
一時金で受け取る場合 退職所得の金額=(収入金額-退職所得控除額)×1/2

イデコ利用の注意点

税制上のメリットの多いイデコですが、原則60歳まで年金資金を引き出すことが出来ないという注意点があります。他には掛金の拠出以外に手数料が発生する点にも注意が必要です。

iDeCo(イデコ)拡充策への素朴な疑問点

今回のイデコ拡充策では、2022年5月の改正で行われた加入年齢引き上げ(60歳未満から65歳未満へ)を更に65歳以上に引き上げるそうです。

ただし、イデコの加入条件は、「国民年金を(免除されず)支払っている」ことです。

国民年金は原則20歳から60歳になるまでの40年間(480回=12カ月×40年)支払うと満額支給になり、それ以上国民年金を支払う必要がありません。ですから、第1号被保険者の方は、60歳以降も加入者として拠出金を支払うことができなくなります

ただし、60歳までに480回の支払いがない場合は任意加入者として60歳以上65歳歳まで任意加入が可能です。また、年金の受給資格(加入期間10年 120回)を満たしてない場合は65歳以上70歳未満の人も加入できます。以上の任意加入者の方は、60歳以上でもイデコの加入者として拠出が可能になります。

また、会社員など厚生年金加入者の方(第2号被保険者)は、勤続期間中に厚生年金を支払いますのでイデコの加入者として拠出金を支払い続けることができます。

しっかり年金を支払った自営業者など第1号被保険者の方ほど、恩恵を受けられない可能性が高いといえる今回の拡充策には素朴な疑問を感じます。

2022年5月31日政府発表の新しい資本主義の骨太方針案の概要の部分を参考に執筆していますので、今後拡充策が変更される可能性もあるかと思われます。

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