大手事業者が避けがちな「都心から遠く、単価が安い」物件も取り扱う理由

先ほどのお話でもありましたが、多くの不動産取引業者にとって実行することが難しいそのようなサービスを、なぜ御社ではできているのでしょうか。

花原さん 弊社の特徴の一つは、フレキシビリティの高さだと考えています。その点で、不動産を扱うにも大手企業であれば事業規模が大きくなるため、販売する物件の条件はどうしても「都心に近く、単価が高い」物件となり、「都心から遠く、単価が安い」物件は敬遠されがちです。

一方で地域密着型の企業は、情報も稼働できる人も少ないため、行動範囲が狭くなりがちです。そのエリア内では対応できますが、それ以外のところになると対応が難しく、融通性が効かない場合が多いでしょう。

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弊社はその両者の間のポジションをとっているため、このサービスを実現できているのではないかと考えます。

弊社はそもそも、「不動産の可能性を追求し世の中の困りごとを解決する」という目的で設立した企業です。取り扱いが難しい物件を儲からないものとみなすのではなく、販売できるよう体制を整えるからこそ、そのプロセスの中でしか入手できない情報や、新たな業者との提携の機会があります。そういう意味では、この事業にかかる費用は広告宣伝費のようなものだと捉えることができるでしょう。「たとえ大きな利益が見込めなくてもよいのだ」という覚悟のもとで取り組んでいます。

また、弊社には物件に関わる様々な資格を持つ社員が在籍し、各物件が持つ問題に対応しています。事故物件を扱える不動産取引業者は全体の2割といわれており、あまり多くない中で地方の物件も扱える業者となると、割合としてはさらに少なくなります。この点も弊社の強みといえるでしょう。

実家から上京した団塊ジュニア世代にとって切実な「実家問題」にも対応

現在、「実家」にまつわる不動産問題に特化した新しいサービスを展開されているそうですね。その新サービスの詳細もお聞かせください。

花原さん 最近増えているのが、現在住んでいる場所と相続する不動産の距離が離れているために発生している問題です。例えば都内に勤務している40代~50代の方のご実家が、九州や青森や北海道などにあり、そこに住む親御さんが亡くなってしまった際などに、遠方のためどの業者に頼めばよいかわからず、実家の相続問題などへの対応が後れてしまうといった困りごとです。我々はそれを「実家問題」と呼んでいます。40代~50代の団塊ジュニア世代と、そのご両親にあたる団塊世代で、今後ますますこの問題は増加していくと予測しています。

遠くにいる両親と頻繫にコミュニケーションをとり、想定される事態に備えることが出来ればベストですが、その時間もなく急に亡くなってしまったり、40代~50代の方には責任のあるポジションで働いていらっしゃる方が多く、特に忙しいため、わかってはいても後回しになってしまうケースが非常に多いように思います。

そこで弊社では、地方の不動産取引業者との強い連携によって、お客様の窓口は東京に設けながら、人も手間もかけずに地方の様々な問題に対応するといったサービスを提供しています。

「相続の道先案内人」として、不動産にまつわるすべての悩みをサポート

花原さん 弊社の営業社員全員が「相続診断士」という資格を所有しています。相続診断士は「相続の道先案内人」ともいえます。相続発生前後のお客様の困りごとを聞き、例えば税理士であったり、行政書士、司法書士、解体業者など、お客様ごとに必要な業者をご提案します。

この資格を持つことにより、弊社社員は不動産業者としてだけでなく相続診断士として相談を受け、不動産に関する問題が起きた場合は私たちが対応して、それ以外の問題は関連している業者様と連携しながらサービス提供を行っています。目的が不動産を売ることだけではなくなるので、お客様とよりフラットに向き合うことができるという点は、お客様にとってもメリットなのではないでしょうか。

今後は「実家問題」に対する実家周辺サービスに注力していく中で、どんな場所、どんな困りごとにも業種を横断してワンストップで対応できるよう全国規模での体制を整えていく予定です。そして、日本の多くの方が直面する実家問題解決と、投資家の方たちの不動産ビジネスの双方を支援しながら、深刻化する日本の空き家問題をはじめとする社会課題の解決をめざしてまいります。