タブーなき事故物件サイトとしてその名を轟かせるWebサイト『大島てる』。その運営・管理をするのはサイト名にもその名を冠する、大島てるさん。同氏はサイト運営以外にも、自らが事故物件専門家として書籍や講演、テレビなど多数のメディアで活躍している。今回は、事故物件が生まれる最大の要因であり、いまや社会問題として誰しもが無関係ではいられない「孤独死」について、大島氏に伺う。

大島てる
大島てる(おおしま・てる)
事故物件サイト『大島てる』の運営管理人
事故物件専門家
株式会社 大島てる 代表取締役 会長

死因の2トップは「孤独死」「自殺」、しかし両者の区別は曖昧!?

事故物件サイト『大島てる』
■事故物件サイト『大島てる』
URL:http://www.oshimaland.co.jp/
タブーなき事故物件サイトとして名を馳せる、唯一無二のWebサイト。
不動産物件は、自殺、殺人、病死などあらゆる事情が背景にうごめき、簡単に「事故物件」になりうる。Webサイト『大島てる』では、全国各地の事故物件をインターネット上で公示。不動産会社も把握していないような正確性、真実性に基づく情報で、物件選びを検討する人々の強い味方となっている。

ペリー この度は取材を引き受けてくださり、本当にありがとうございます。突然ですが、やはり「事故物件=死」を連想させるせいか、どのメディアで拝見しても、いつも喪服のような服を着ていらっしゃいますね。

大島てる 喪服というわけではないんですけどね。仕事では、今日のような落ち着いた色のスーツを着ていることが多いです。でも、よく見ていただければ、今日は紺色のスーツなんですよ(笑)。

ペリー 確かに、よく見れば黒じゃないですね(笑)。

大島てる ネクタイも、ときには柄が入っているときもあるんです。(大島さんご自身のスマホの画面を見せながら)よく喪服と誤解されがちなんですが……。

ペリー これは失礼いたしました! 私の完全なる偏見ですね。さて、場も温まって来たところで、本題の“死”について伺いたいと思います。
まず、事故物件サイト『大島てる』では、一般投稿による口コミなど広く情報を募っているとのことですが、最も多い死因とは一体何でしょうか? 例えば、自殺、病死、放火など様々だとは思いますが……。

大島てる 私たちのもとに寄せられる情報としては「孤独死」と「自殺」の2つが圧倒的に多いです。ただ、両者はきれいに区別できるものではないんです。

ペリー なぜ死因をはっきりと区別することができないのでしょうか?

大島てる 亡くなってから発見されるまでにあまりに長い期間が経過してしまうと、もともとどうして亡くなったのかがわからなくなる場合があるんです。

大島てる

ペリー それはどういうことでしょうか?

大島てる 独り暮らしの方が亡くなった場合、どのように発覚すると思いますか? 腐敗臭が室外に漏れて、隣人が管理会社に苦情を言って、ドアを開けてもらったら亡くなっていた、というパターンがとても多いんです。

ペリー 確かに、独り暮らしの場合は、死亡後すぐに発見してもらえないリスクが高まりそうです。外に漏れ出るぐらいですから、悪臭も相当なものなんでしょう……。

大島てる 「孤独死」は文字通り「孤独に亡くなった」という意味であって、必ずしも「病気で亡くなった」ということを意味するものではないんです。

「セルフネグレクト」は自らの精神や生活を追い詰め、死に至らしめる

大島てる 近年「セルフネグレクト(=自己放任)」が大きな社会問題と化しています。特に中高年男性に多いのですが、例えば会社をクビになり奥さんにも逃げられたと。久しぶりの独り暮らしを始めたものの、自炊を忘れて毎日ジャンクフードばかり……。

ペリー なかなか重くて生々しい話です。

大島てる それどころか「俺なんか生きていても仕方ない」と朝っぱらからお酒を飲み続ける。「そんな生活はカラダに悪いよ」と忠告してくれる友達もいない……となると,行きつく先は「死」です。この場合、医学的には「病死」でも社会的には「スローモーションな自殺」と言えるのではないでしょうか?

孤独のさびしさを紛らわすために酒におぼれ、その先に待つ運命は……。(写真はイメージです)

ペリー この例ですと、何か外部からの助けがあれば、未然に死を防げるポイントはたくさんあったように感じます。

「自殺」「病死」も立場次第で解釈が異なることも


■『大島てるが案内人 事故物件めぐりをしてきました 』
著者:菅野久美子
定価:619円+税
(彩図社 刊)
本書では、インターネット上で事故物件情報を掲載している大島てるのバックアップのもと、実際の事故物件を訪ね歩き、その物件が持っている特殊な事情、物語などを綴っていく。この1冊で事故物件のすべてがわかる。

大島てる ちなみに、「自殺」には「過労自殺」も含まれますね。いわゆるブラック企業で働くうちに、例えばうつ病になってしまい、飛び降り自殺したとします。

ペリー こちらもまさに深刻な社会問題です。

大島てる こういったケースについて、自殺者の遺族の一部は「病死」と解釈しているんです。心の病の結果として飛び降りたのだから「心の病による死」だ、と。

ペリー おそらくブラック企業の一部は自らの責任を逃れるために「自殺」と解釈するでしょうし……。置かれる立場によって、死因の認識がまったく異なるというケースもあるんですね。

大島てる 大家さんとしても、遺族側が「自殺」ではなく「病死」だとしてくれた方が助かるという側面がありますね。

ペリー それはなぜでしょうか?

大島てる 死因が「自殺」ならさすがに入居希望者に告げる必要があるけれども、「病死」なら事故物件ではなく、何も告げる必要がないと悪気無く思い込んでいる大家さん・不動産業者は多いです。

事故物件サイト管理人『大島てる』に聞く!あなたにも忍び寄る“孤独死”【中編】