損切りや利益確定のために心がけることは?
最初は「この会社はいいな」と思って投資するのですが、保有していて「何か違うな」と思ったときには見限らなければいけない場面も出てくると思いますが、損切りは初心者でなくても難しいものです。損切りできるようになるために、どんな心がけをすればいいのでしょうか?
松下さん 損切りの準備で重要なことは2つあると思います。
1. どこまでの損失なら許容範囲か、金額ベースで確認する
松下さん 「損切りが怖い」という感覚は誰でも持つと思います。だからこそ、事前に「いくら損失を出ると精神的ダメージで耐えられなくなるか」をしっかり深掘りしておくことが大切です。
値下がり幅より金額ベースで確認するのが良いと思います。今はネット証券などで1株投資のサービスもあり、1000円で買ったとしたら10%下がっても100円しか減りません。でも10万円の10%は1万円です。いくらまでなら減っても大丈夫かを、あらかじめ確認しておきましょう。
投資初心者によくある誤解として、10万円投資して、失敗したら10万円まるごとなくなってしまうと思われがちです。でも株が無価値になるのは会社が倒産する場合であり、倒産までするような銘柄を選ぶのは逆に難しいといえます。たとえ失敗しても、損切りをすれば資金は残るので、そこまで不安にならなくてもいいと思います。
「損切り」というと後ろ向きなイメージですが、私たちのスクールでは「ここで損失を食い止めれば、残った資金を次の投資に生かせるし、そこで挽回すればいい」といった伝え方をしています。
2. 買う前に「どうなったら売るか」を決めておく
松下さん もうひとつは、買う前に売り時を決めるということです。「株価が想定外の動きをしたら退場しよう」ということは必ず伝えています。
株価が急落したときは、自分の資産を守るために損切りするのは重要ですが、逆に想定を超えて大きく上がった場合も売り時になります。急落ケースと、超サクセスケースの2パターンを最低限想定しておくように教えています。
ある程度の柔軟性も大事だと思います。「株価が2倍になったら売る」ということにこだわると、90%の上昇で売れず、そのあと株価が下落して売り時を逃してしまった、ということもありえます。超サクセスケースの中でも「最低限ここまで上がったら売ってもいい」というシナリオを考えておくといいでしょう。
もうひとつ、「まだ上がるのではないか」と目標を上方修正してしまい、期待を裏切られるケースもあります。特に投資初心者の方は上値を追いすぎず、シナリオ通りになったら売ることを徹底するのがいいと思います。
小型株と大型株でもシナリオのつくり方が変わってきます。時価総額の小さい小型株は株価のアップダウンが激しいことが多いので、伸び盛りのときに売ることを心がければ、売り時を逃さずにすみます。大型株は長期でゆっくり成長するものが多いので、時間軸を長めに取ることになります。

「株価が想定より下がったときも、上がったときもいったん退場する。買う前にシナリオをつくって、その通り実行することが大切です」
個別株投資ではNISAと特定口座を両方使う
2024年にNISAの制度が大幅に変わって、非課税投資枠が拡大したり、売却した分の投資枠が翌年に再利用できるようになったりしたことで、個別株への投資もやりやすくなりました。個別株投資でNISAをどのように活用するのが良いでしょうか?
松下さん 私が伝えているのは、NISAだけでなく特定口座も活用することです。特に、小型株で1~3年くらいの期間で数倍の利益を狙うような投資の場合、非課税投資枠の残りを気にせず売買できる特定口座の方が、小回りが利きます。
NISA口座での投資が向いているのは、5年以上の長期保有を想定した銘柄です。長い目で見て着実な成長が見込める企業であれば、市場環境の変化も乗り越えて株価が上がり、その利益はすべて非課税で手にすることができます。高配当株もNISAとの相性は良いと思います。
すでにNISAで積立投資をしている人へのアドバイスをお願いします。
松下さん 積立投資は15年後、20年後といった将来のお金をつくる目的では、確実性が高い投資だと思います。でも、それは将来のために積み立てているお金ですから、いくら値上がりしても今すぐ売ってしまうわけにはいきません。
今の人生をより豊かなものにするために、個別株にも挑戦すると、投資の幅が広がるのではないと思います。
会社に入れなくても、株式投資で事業に関われる
松下さんにとって、個別株投資の良さは何だと思いますか?
松下さん 私にとっては個別株が投資の入り口でしたが、株式投資は本当におもしろいと思います。普通に生活していたら接することができないような社会との接点をつくってくれるのが、個別株投資の良さだと思います。日々のなんでもないニュースも、「あの会社の業績に影響するかもしれない」と思えると、いろいろな話題が自分の生活に関わることとして、意味のあるものに見えてきます。
そして、投資は間接的に企業を応援できる行為です。「すごくいい会社だから、私もここで働いてみたい」と思っても、その会社に入れるわけではありません。でもその会社の株を買えば、間接的に会社の事業に関わることができるし、成功すれば資産を増やしてくれます。これこそがインデックス投資では味わえない、個別株投資ならではの楽しさです。ぜひ皆さんの投資にも取り入れてほしいと思います。
女性向け資産運用スクール ハナミラ
「女性」と「投資」は相性が良いと思います。女性はライフステージの変化のためにフルタイムで働ける期間が少なかったり、キャリアに波ができたりする中で、株式投資は常に社会とのつながりを持てる、貴重な手段でもあります。
無料の体験会も行っていますので、興味がある方はぜひホームページからお申し込みください。(松下さん)