テレビ、ラジオ、動画配信も含めて様々なコンテンツの台本や脚本を執筆する放送作家&脚本家が700人以上所属する日本放送作家協会(放作協)がお送りする豪華リレーエッセイ。ヒット番組を担当する売れっ子作家から放送業界の裏を知り尽くす重鎮作家、目覚ましい活躍をみせる若手作家まで顔ぶれも多彩。この受難の時代に力強く生き抜く放送作家&脚本家たちのユニークかつリアルな処世術はきっと皆様の参考になるはず!
連載第148回は、前回に引き続き、月間40本のコラムを執筆するコラムニストであり、放送作家の山田美保子さん。

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ときめきの!? 断捨離(前編)

生まれて初めて断捨離をやってみた!

山田美保子
山田美保子
放送作家、コラムニスト
日本放送作家協会会員

「片づけられない女」というよりも「圧倒的にものが多い女」に近い私。洋服にしてもファッション小物にしても“箪笥の肥やし”と言うべきものがあまりにも多い。

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クローゼットの奥には数十年前に買った”紺ブレ“がまだ入っている。W浅野がファッションリーダーだった時代のものだから30年は前の、これまた年代ものだ。たぶん、これからも着ないだろう。

仕事机の前のアクリルボックスには歴代のケータイ電話が数え切れないほど入っている。たくさんストラップが付いているもの、ビーズやストーンがキラキラ光る、いわゆる“デコ電”などである。以前、それをドラマのプロデューサーに話したところ、「いつか貸してもらうと思うから捨てないで」と頼まれた。

化粧台の下の棚を整理してみたら、使いかけのハンドクリームが20本ほど出て来てビックリした。

そんな私が、実は今夏、けっこうな断捨離をした。きっかけは、3匹いる愛犬がそれぞれ大病を患い、巨額の入院費や治療費がかかることになったから。いま振り返っても倒れそうなぐらいの額が毎週消えていき、8月に更新したばかりの保険証には「通院あと○回、入院あと○回」と動物看護士さんが記してくれた付箋が貼ってある。保険適用に限度額があるからだ。

洋服でいっぱいのクローゼットのイメージ
「圧倒的にものが多い女」の私は、“箪笥の肥やし”と言うべきものがあまりに多い(写真はイメージです)

“箪笥の肥やし”はお金になって返ってくる

まず、やったのは大量のブランドバッグをリサイクルショップに持って行ったこと。女子大生時代、「第一次ブランドブーム」に乗っかった私は、以来ずっとハイブランドのバッグを買い続けてきた。「がんばった自分への御褒美」「自分で自分にプレゼント」などなど、バブル期のファッション誌の見出しのような買い物を40年以上、し続けてきたのである。

クローゼットを見渡すと、今の自分のライフスタイルには合わないバッグやアクセサリーがたくさん出てきた。バッグの場合、いちばんはサイズ。「片づけられない女」は「荷物が多い女」でもあり、私の仕事のスタイルは仲間内から“小さな引っ越し”とも呼ばれていたのである。

不思議なもので、年齢を重ねると持ち物もそれほど多くなくなる。というわけで、小さなバッグだけを残して、中型バッグ、大型バッグをリサイクルショップに毎月のように持って行った。

ブランドショップのショーウィンドウのイメージ
40年以上、ハイブランドのバッグを買い続けてきた(写真はイメージです)
Creative Lab / Shutterstock.com

アクセサリーについても、“女子大生ファッション”や“OLファッション”に合いそうな年代ものがジャラジャラ出てきた。これらもバッグと一緒にリサイクルショップに持ち込んだ。

よくニュースやワイドショーで、リサイクルショップに持ち込んだものが高額で取引される様子を特集しているが、正直、そのようなことにはならなかった。が、意外なものが高額で引き取られたり、逆に「いまは安くなっている。これ以上の額になることはないので他にもあったら急いで持って来てください」と言われたりして、ある意味、勉強になった。

気が付けば、クローゼットもジュエリーボックスも、なんとスッキリ片付いたことだろうか。やればできる。あ……、そういえば「ときめくか、ときめかないか」と自問自答する間もなく、私は決断していた。結局、断捨離の判断基準は「使うか、使わないか」なのではないか。そして“箪笥の肥やし”は、間違いなく、お金になって自分に返ってくる。私はそこに、ときめいた。果たして私が島崎和歌子さんのように、リビングにソファーも置かない女になれるのか否か。どこかの番組で密着してほしいぐらいだ。とり急ぎ、断捨離画像だけはストックしてある。あれれ、また溜め込んでますか? 私……。

次回は高須光聖さんへ、バトンタッチ!

山田美保子さんからのお知らせ

2023年8月から「生島企画室」と業務提携しました!

生島企画室

一般社団法人 日本放送作家協会
放送作家の地位向上を目指し、昭和34年(1959)に創立された文化団体。初代会長は久保田万太郎、初代理事長は内村直也。毎年NHKと共催で新人コンクール「創作テレビドラマ大賞」「創作ラジオドラマ大賞」で未来を担う若手を発掘。作家養成スクール「市川森一・藤本義一記念 東京作家大学」、宮崎県美郷町主催の「西の正倉院 みさと文学賞」、国際会議「アジアドラマカンファレンス」、脚本の保存「日本脚本アーカイブズ」などさまざまな事業の運営を担う。

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